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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第567回 日米首脳会談を控えて身構える市場

2017年02月06日

 先週31日、米大統領が中国や日本を名指しして「市場で何年も通貨安誘導を繰り広げている」と述べたことが伝わり、結果としてドル/円が一時的にも112円割れ寸前の水準まで売り込まれる場面を目の当たりにすることとなった。後に行われたFOMCや1月の米雇用統計発表の結果次第で「ドルがある程度買い直される可能性も」との期待もあったが、其々の結果は必ずしも市場の期待を上回るものとは捉えられなかった模様だ。
 FOMC声明の内容は前回からほとんど変化がなく、今後の利上げの回数や時期などのヒントも提供されなかったことから、米利上げ加速見通しが後退してドルは少々軟化した。また、1月の米雇用統計の結果については、非農業部門雇用者数(NFP)の伸びこそ市場の事前予想を上回ったものの、平均時給の伸びが予想を下回ったことや失業率がやや上昇したことを市場は嫌気した。もっとも、失業率の上昇は労働参加率の上昇で説明がつくことも事実で、むしろ米雇用情勢の改善が一段と進んでいると解釈できよう。

 先週3日の米雇用統計の結果発表後、一時112.30円まで下落したドル/円だが、NY時間の終盤になってからは一気に下げを取り戻す場面も見られた。周知のとおり、それはサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が「3月のFOMCでは利上げの協議があり、3月利上げの論拠も一部あると見ている」などと語ったことによる。
 結果、一時は113円台の水準を回復する場面もあったが、なおもドルが上値余地を拡げにくい状況に変わりはない。依然として米新政権の政策の不確実性が大きいということはもとより、今週10日には日米首脳会談が控えているわけであるから、ドル/円の上値余地が限られるのも無理はない。
 先週末、複数のメディアから「日本政府が公的年金の積立金の運用による米インフラ投資を首脳会談の席で米国側に提案する」といったニュースが伝えられて一時物議を醸すこととなったが、安倍首相は「GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人の運用に私は指図できない」と述べている。
 このことについてNHKニュース(3日夕)は「安倍首相は『日米首脳会談では、インフラ投資などによってアメリカ国内の雇用を生み出し、成長につなげていくことを包括的に説明したい(パッケージの話をしていく)』という考えを示した」と伝えるとともに「GPIFの高橋理事長は『インフラなどに投資する場合には欧米の先進国が中心であり、理屈のうえでは、結果としてアメリカのインフラへ向かうということもありうる』と述べた」と報じている。おそらく、これが最も現実的な方向性であると考えられ、そのことを市場がどのように捉え、反応してゆくのか、まずは見定める必要があろう。
 一方、テクニカル面では今のところ「昨年11月安値から12月高値までの上昇に対する38.2%押し」=111.98円や一目均衡表の週足「雲」上限(先週は111.77円に位置)などが下値サポートとして機能する格好になっており、総じて一つの心理的節目と言える112円処では一定の底堅さが感じられることも事実である。もちろん、それだけにひとたび112円処をクリアに下抜けるような展開となれば、そこから一段の下値リスクへの警戒も必要になるものと一応は心得ておきたい。

 また、目下のところユーロ/ドルが日足「雲」上限の水準で上値を押さえられる格好となっている点にも引き続き注目しておかねばなるまい。相当に強い上値の壁として意識されやすいものと思われるが、それだけにひとたび同水準をクリアに上抜けてくれば、そこからドル安の流れが少々強まることもあり得るものと見ておく必要はあろう。
(02/06 09:05)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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