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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第570回 目先はドル/円、クロス円の下値リスクに要警戒

2017年02月27日

 先週は、米株価がすこぶる堅調に推移し続けるなか、週末に向けてドル/円がダラダラと下落し続ける様子がやけに印象に残る週であった。
 仏大統領選の不透明感が払しょくしきれないことやFOMC議事録の内容が予想していたほどタカ派的ではなかったこと、米新政権による経済政策の実行が遅れるとの懸念が拡がったこと、米財務長官の場当たり的な発言が市場を混乱させたことなどなど、円高やドル安の要因をこじつけることはいくらでもできるのだが、その一方でNYダウ平均が11営業続伸となるなど、なんとなく不可解な感じが残る週でもあった。

 仏大統領選については、候補の1人であった中道派のバイル氏がマクロン元経済産業デジタル相の支持を明らかにし、いわゆる“ルペン・リスク”は後退している。「FOMC議事録には3月利上げの可能性がはっきりと示されていなかった」との指摘もあるが、それは至極当たり前のことであるとも言え、「そのことがドル売り材料視された」と言われてもどこか釈然としない。
 米財務長官は、たしかにTVインタビューに応えて「長期に渡り低金利を続ける可能性」などと述べたようだが、その前日には「強いドルは米経済への信頼を反映」、「ドル高は長期的には良いこと」などとも述べている。今のところは、まだムニューチン氏が米財務長官の器としてふさわしい人物といえるかどうか、かなり疑わしいところがあるのではないかと思われてならない。
 とにもかくにも、まず今週は28日に米上下両院合同本会議において行われる米大統領演説(所信表明)の内容をしっかりと見定めることに尽きる。これまで市場は大いに期待してきているわけであり、その期待を満足させる、あるいはそれ以上にポジティブ・サプライズな内容であれば、素直にドルが買い直されるだろうし、その逆もまた然りである。
 目下の市場では「市場が期待しているほど具体的な内容が米大統領から示されるわけではなさそう」と見る向きが徐々に増えてきている模様である。注目の「予算教書」が議会に提出されるのも3月中旬頃までずれ込むとされている。しかるに、当面はドルの上値が押さえられやすくなると見る向きも少なくはない。

 目先は、一つにドル/円が一目均衡表の日足「雲」下限にサポートされるかどうかが注目される。同水準を下抜ければ、やはり一旦は弱気ムードが拡がり易くなろう。仮に同水準を下抜けた場合には、次に直近(2月6日)安値の111.59円、さらには週足「雲」上限(現在は111.36円に位置)が下値サポートとして機能し続けるかどうかという点にも注目することが必要となる。
 すでに89日線を下抜ける状況にあって、さらに日足「雲」下限や直近安値などをも下抜ける状況となれば、場合により昨年11月9日安値から12月15日高値までの上昇に対する50%押し=109.94円あたりまで目線を下げなければならなくなる可能性もないとは言えないように思われる。
 一方でユーロ/ドルは、なおも一目均衡表の日足「雲」下限の水準を巡る攻防を続けている。ルペン・リスクが少々低下したとはいえ、諸々の欧州政治リスクは今後も燻り続けると見られ、なおもユーロを積極的に買い上げる場面であるとは言い難い。とはいえ、今週28日の米大統領演説が市場を失望させることとなれば、一時的にもユーロ/ドルに一定のリバウンドが生じる可能性も否定はできまい。
 総じて、今週はドル/円、クロス円の下値リスクに対する警戒が怠れない週ということになりそうである。
(02/27 09:30)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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