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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第572回 もはや市場の関心は米3月利上げの「次」へ…

2017年03月13日

 今週14-15日のFOMCで追加利上げを決定することを市場が“ほぼ確実視”しているなか、先週10日に注目の米雇用統計が発表された。2月の非農業部門雇用数者数(NFP)は予想を上回る伸び(+23.5万人)となり失業率も低下した(4.7%)が、市場はこれらの材料をすでに織り込んでいたものと見られる。
 今回、最も市場の関心が高かった「平均時給」の伸びは前月比で+0.2%と予想を若干下回ったが、前年同月比で+2.8%という結果は十分に評価できる。また、前月(1月)分の値が同+2.5%から+2.8%に上方修正されたことも見逃せない。
 インフレ率の伸びが緩慢な状況にあるなかで平均的な賃金は2%後半の伸びを続けているわけであるから、少し長い目で消費が拡大しやすいことは確かであろう。ただ、インフレ率の伸びが緩慢なままであると、なかなかFOMCメンバーらによる将来の金利見通しは上方修正されにくいとも言える。
 もはや市場の関心は今後の利上げペースに移っている模様だが、今のところは「年3回」と見込まれている利上げペースが「年4回」に修正されるとの確信が得られるまでには至っていない。もちろん、それは米政権が押し進める経済政策案のスケールや具体的な内容がいまだ明らかとなっていないことも一因であると考えられる。
 その意味からしても、やはり今週16日に米議会へ提出される「予算教書」や“歴史的な”税制改革案などの内容を、まずはしっかりと見定めたいというのが今の市場の総意ということになろう。

 先週10日のドル/円は、前日のNY終わり間際に一旦115円にタッチする動きとなった流れを引き継ぎ、米雇用統計の結果に対する期待の盛り上がりもあって、一時は115円台半ばの水準まで上値を伸ばすこととなった。
 結果、その時点では2月15日高値=114.94円を上抜けて1月半ばあたりから形成してきたヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム(逆三尊)を完成させるような格好となったが、NY終わりにかけては114.70円台までスルスルと値を下げることとなり、いまだ「完成した」とは言い切れない状態にある。よって、まず今週はネックラインの114.94円処をクリアに上抜けるかどうかに注目しておきたい。同時に、一目均衡表の日足「雲」上限をクリアに上抜けるかどうかという点も大いに注目されるところであり、同水準を上抜けてくれば、そこからの上方視界は開けてきやすくなるものと思われる。
 もっとも、先週10日の日足ロウソクが上ヒゲを伴う陰線となったことで、目先は一時的にも調整が生じる可能性があることは否定できない。10日にロス米商務長官による日米貿易交渉絡みの発言が伝わったこともあり、今週末に行われるG20財務相・中央銀行総裁会議に対する市場の警戒感が燻る可能性もありそうだ。

 また先週10日は、米雇用統計発表後にユーロ/ドルが急騰して1.0700ドル台をうかがう動きとなったことも注目された。前日に行われたECB理事会の声明やドラギ総裁会見の内容が想定していたよりもタカ派的だったことも見逃せないがが、何より10日はブルームバーグが「ECB当局者らが債券購入プログラム終了前の利上げがあり得るかどうかを検討したことを複数の当局者が明らかにした」と伝えたことがユーロ買いを誘うこととなった模様である。
 おそらく、売り方のストップロスを巻き込みながらの一時的なユーロ買い戻しの動きであったと思われるが、目先は余韻が残る可能性もあり一応は警戒しながら、場合によっては戻り売りの機会をうかがいたい。
(03/13 08:50)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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