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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第580回 ドル強気の流れも目先は少々息切れ気味

2017年05月15日

 前回の本欄で、ドル/円について「113円前後に集中している複数の節目を一気にブレイク展開となった場合には、そこから一段の上値余地が拡がるものと考えられる」などと述べた。
 実際、先週8日にドル/円は89日線や一目均衡表の日足「雲」上限、今年1月高値と3月高値を結ぶレジスタンスラインなどを一気に上抜ける展開となり、9日~11日は連日で一時114.30円台まで上値を伸ばす場面が見られた。また、ドル/円の週足ロウソクは3週連続して終値で31週線と週足「雲」上限よりも上方で推移する強気の展開を続けている。
 ただ、週末にかけて日足ロウソクが2日連続で陰線となったり、先週の週足ロウソクがやや長めの上ヒゲを伴う格好となったりしたことで、目先は少々息切れ気味との感もある。4月下旬以降の上昇がやや急ピッチであったことから、このあたりで利益確定の動きが出てきやすくなるのも致し方なしということなのであろう。そのためか、先週12日に発表された米4月の小売売上高や同消費者物価指数のやや弱めの結果に対する市場の反応はやけに強いものとなった。
 市場の米6月利上げ期待が一気に萎えるというほどではないが、今しばらくドル/円は調整含みの展開を続ける可能性もあるものと見ておかざるを得ないだろう。目先は113円処が意識されやすく、同水準を下抜けた場合には、やはり日足「雲」上限の水準が視野に入ってきやすくなるものと見られる。
 いずれにしても、一つの重要な節目である115円は目先的に少し遠くなったように感じられる。仮に再び上値を試す流れに戻ったとしても、昨年12月高値から今年4月安値までの下げに対する61.8%戻し=114.65円あたりの水準では一旦上げ渋りやすくなりそうである。個人的には、113.60円を軸に112.80-114.40円のレンジ内での値動きが中心になると想定して、今週のドル/円相場と向き合いたい。
 6月のFOMCまで残り1カ月を切り、その間にはどこかであらためて追加利上げを意識した動きになる公算が大きい。よって、当面はスウィング感覚で押し目買いのチャンスをうかがう時間帯ということになるものと個人的には考える。

 一方、ユーロ/ドルは先週8日の取引スタート時に1.1014ドルの高値をつけ、それ以降はヘッジファンドがロングポジションを手仕舞う動きを中心とした利益確定の売りが続き、11日は一時1.0840ドルまで大きく下押す展開となった。
 当座の下値は21日視線にサポートされる格好となり、12日には1.0930ドル処まで一気に値を戻すこととなったが、週足チャート上では89日線や週足「雲」、昨年5月高値と11月高値を結ぶレジスタンスラインなどに上値を押さえられる格好で下ヒゲを伴う陰線となった。複数の重要な節目が集中している水準であるだけに、ここは一種の正念場と言える。
 市場ではECBの出口戦略に対する期待が高まっているようだが、一層の現実味が伴ってくるまでには今暫しの時間が必要であるとも思われる。また、仏大統領選・決選投票に相前後して1.1000ドルの節目を試したものの、クリアにブレイクできなかったことに対する失望感も一部に燻っているものと見られる。
 今週も、とりあえずは1.0900ドルを軸に1.0840-1.0960ドルのレンジ内での値動きが中心になると想定し、想定レンジを放れる展開となった場合には、上値の目安を1.1000ドルまで、下値の目安を1.0800ドルまで拡げたいと個人的には考える。
(05/15 09:05)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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