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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第583回 そろそろドルの下値余地は限られてくる!?

2017年06月05日

 先週末3日のドルは急落。周知のとおり、同日発表された米5月の雇用統計において「非農業部門雇用者数(NFP)」の伸びが事前に市場予想を大きく下回り、同時に3月分と4月分のNFPも下方修正されたことが最大の要因となった。
 5月の「失業率」は4.3%にまで低下し、ほぼ“完全雇用状態”と言える情勢にあるなかでNFPの伸びが鈍化するのは致し方ないことでもある。思えば、4月のNFPの速報値=+21.1万人というのが些か出来過ぎであった(今回、17.4万人に下方修正された)。
 ただ、前日(2日)発表された5月のADP全米雇用レポートの結果(+25.3万人)がすこぶる好調だっただけに、そこで一旦期待を膨らませた市場にとっては大きな失望ということになった模様だ。毎度のことではあるが、毎月のADPとNFPの結果がやけに大きく異なるケースは多い。そして、わかっちゃいるけど…毎度毎度、其々の結果に市場は右往左往させられている。
 とまれ、注目の「平均時給」は前年同月比+2.5%と、市場予想(+2.6%)はやや下回ったものの順調な伸びを続けており、総じて今回の米雇用統計の結果が米6月利上げの可能性を否定するものにはなり得ない。ただ、市場は6月のFOMCを通過した後の利上げペースに対する見立てを修正すべきかどうか迷い始めているようでもある。

 いずれにしても、先週3日のドル/円は再び110円台前半の水準にまで値を沈め、あらためて200日線や一目均衡表の日足「雲」下限を試すような格好となった。
 この200日線は上向きの状態を続けており、4月半ばに一時108円台前半まで下押したときもそうであったように、当面のドル/円の下値サポートとして機能することが期待される。よって、目先的にもドル/円が同線を下抜けるような展開が見られれば、打診的に押し目を買い拾っておくのも一法ではあると思われる。もちろん、同線に接近し、下抜けずに反発した場合も一旦「買い」というのが『グランビルの法則』である。
 もちろん、日足「雲」下限も十分に当面の下値サポートとして機能し得る。今年2月下旬に一旦、日足「雲」下限の水準を試した後、急反発して数日後に日足「雲」上限を試す展開となったことは、まだ記憶に新しい。普通に考えれば、200日線と日足「雲」下限という複数の重要な節目が居並ぶところでは一旦下げ渋りやすく、そこは撤退覚悟で試し買いしてみるところと言えるのではないだろうか。
 ちなみに、ドル/円の月足は5月の終値でも月足「雲」上限より上方に留まることとなった。6月の月足「雲」上限は111.40円処に位置しており、少々気の早い話ではあるものの、6月末時点で同水準を上回ることとなるのかどうかという点も注視しておきたい。

 一方、足下でドル安の流れが強まっていることを一因に、いよいよユーロ/ドルは一つの重要な節目と見られる1.1300ドルをうかがう展開となってきている。思えば、昨年11月の米大統領選において開票結果が明らかになるにつれ、一時的にも急速にドル安が進んだ場面でつけられたユーロ/ドルの高値が1.1300ドル処であった。また、今年2月22日安値と3月27日高値を元に弾き出される「E計算値」も1.1300ドル処である。
 目先、一旦は1.1300ドル処を試すにしても、果たしてユーロ/ドルはそこから一段の上値余地を拡げることとなるのか。一つの鍵を握るのは8日のECB理事会であり、市場にはECBがフォワードガイダンスを金融緩和の「出口」に向けて変更してくる可能性があると見ている模様である。個人的には、先週29日にドラギ総裁が「フォワードガイダンスを含め金融政策による異例な規模の支援がなお必要」と述べたことを重視したい。
(06/05 08:50)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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