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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第596回 ドル/円、クロス円は一定の戻りを試す動き

2017年09月11日

 週末8日にドル/円は一時107円台前半の水準まで大きく下押す場面があった。週末9日に北朝鮮の建国記念日を控え、またも何らかの威嚇行動をとる可能性があるとの警戒感から、そのときが近づくほどに見る見る水準を切り下げるという展開であった。
 加えて、相次ぐ大型ハリケーンの猛威が米国本土を襲っていることもドルにとっては不遇である。NY連銀のダドリー総裁も述べていたが、今年のハリケーンによる被害は米国経済に相当のダメージを及ぼすことが見込まれ、長い目で見れば救援・復旧・復興需要が経済にプラスに作用する可能性も大いにあるが、さすがに7-9月期のGDPにとっては相応のマイナス要因となりそうである。結果、年内もう一回の米利上げ実施の可能性が一段と低下するとなれば、さらにドルは買いにくくなる。
 とりあえず、北朝鮮建国の記念日は何事もなく通過したが、10月(10日)には朝鮮労働党の記念日がやってくる。めでたくも何ともない“記念日”であるが、市場がその日に向かって再び一定の警戒感を強める可能性もないではない。

 それにしても、先週8日のドル/円がいともあっさりと108円を下抜ける展開となって行ったことは個人的にも少々ショックであった。これまでの北朝鮮によるミサイル発射実験に関しては、市場も世界経済全体にさして影響はないと見ていた模様だが、さすがに核実験、それもミサイルの先端に搭載可能な水爆の実験に成功したとなると、市場の警戒レベルもこれまでとは少々違ってくるということなのであろう。
 そのレベルの差を考えれば、4月安値の108.13円を含めた108円台のサポートをここで一旦下抜けて年初来安値を更新するのも道理ということか。理解はするが、結果的にドル/円の週足ロウソクが62週線や一目均衡表の週足「雲」下限の水準をとうとう終値で下回ってしまったことは、なんとも後味が悪い。
 もちろん、北朝鮮が何ら行動を起こさないままに9日という日を通過したことで、週明けのドル/円は上に「窓(ギャップ)」を開けてのスタートとなっており、とりあえずは108円台を回復する動きとなっている。米フロリダ半島付近を襲った大型ハリケーン・イルマの勢力が弱まっていると伝えられていることもドル買い戻しの一助にはなっている模様である。
 ただ、北朝鮮制裁の決議案を巡る国連安保理での採択は本日(11日)行われる予定であり、まずはその結果と北朝鮮の反応を見たいというところもある。仮に北朝鮮がしばらく静かにしていたとしても、市場でのリスク警戒が大きく後退して行くまでには、かなりの時間を要することとなろう。いずれにしても、今しばらくは不透明な状況が続くことに変わりはなく、ドル/円、クロス円の戻りも自ずと限られるものと見ておかざるを得ない。
 ドル円については、まず今週の週足・終値があらためて一目均衡表の週足「雲」下限(現在は108.82円)よりも上方に位置することとなるかどうか、さらに言えば62週線(現在は109.57円)をも再び上抜ける展開となってくるかどうかを確認したい。

 一方、ユーロ/ドルは先週7日に行われたECB理事会とドラギ総裁の会見後も高止まりの状態を続けている。個人的には、ドラギ総裁が「最近のユーロのボラティリティーの多寡周りは不確実性の源泉。将来の政策決定には為替も考慮する必要がある」と述べた点を重要視しておきたい。これは、明らかに足下のユーロ高を警戒し、けん制している。
 このところ安心してドルが買える状況ではなかったため、市場は致し方なくユーロで手元資金を無理やり回転させようとしてきたようなところもあると見られる。よって、個人的にはユーロ/ドルの一段の上値を追いかけることにはかなり慎重でありたいと考える。ユーロ買いに少々お熱を上げ過ぎた市場の今後の対応を暫し見定めたい。
(9月11日 09:48)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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