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第616回 3月いっぱいはドル/円に一段の下値リスク?

2018年03月05日

 思えば、先週は週初(26日)こそNYダウ平均が399ドルほどの値上がりとなったものの、翌27日以降は299ドル安、380ドル安、420ドル安、70ドル安と、4営業日で合計1171ドルも下押す散々な展開となった。
 周知の通り、27日と28日はパウエルFRB議長による議会証言、1日と2日はトランプ大統領による追加関税発言が主なドル売り要因とされた。よくも、こう次々と不穏な材料が飛び出してくるものだ…。
 とはいえ、パウエル議長の議会証言に関しては、その内容が市場の想定よりもややタカ派寄りであったことから一旦はドルが買われる場面もあった。それでも、結果的に米金利が上昇したことを受けて米株価は大きく値を下げ、連れて日経平均株価までもが弱含みとなるものだから、なおさらドルは対円で上値を伸ばしにくくなる。
 さらに、東京時間帯には依然として本邦機関投資家による米国債の損切りが3月期末に向けてまとまった形で出てきている。加えて、この時季恒例のリパトリエーションの動きとそれを警戒するムードがドル/円の上方視界を遮る…。もはや米・日株価もドル/円、クロス円も全般に下げ過ぎの印象が強くなっているものの、概ね3月いっぱいは反発のきっかけがなかなかつかみづらいことも事実であろう。

 正直、個人的にはドル/円について2月16日安値=105.55円が「20週(安値)サイクル」のボトムになり得るものと考えていた。しかし、先週2日には一時105.25円まで下押す場面もあり、少なくとも安値サイクルが一旦終了し、底入れから反発の動きへ転換したとの見方は見直さねばならない。
 トランプ氏は、今回方針として打ち出した輸入制限措置の詳細について今週中に明らかにすると述べており、とりあえずは市場も様子見の構えを強めそうである。一方で、欧州連合(EU)や中国など主要な米貿易相手国が「場合によっては、敢然と報復措置に打って出る」との構えを見せていることに対しても当面は警戒を怠れない。
 とにかく、まだ市場にはドル売りを仕掛けたいムードが残っており、まさに「(ドルの)弱気相場に買い材料なし」の状態が続いている。どんな材料が飛び出してきても、目下の市場は解釈の仕方次第で大半をドル売りの口実にしてしまう。
 よって、まだ3月いっぱいは「場合によってドル/円がもう一段の下値を一時的にも試す可能性はある」と心得ておくことが必要となるのだろう。仮に、今後一時的にも105.00円を下抜ける場面があった場合、まず一つの目安となるのは2016年12月高値(=118.67円)から昨年4月安値(=108.13円)までの下げ幅を昨年11月高値(=114.73円)から下方にとった104.20円あたりの水準ではないかと思われる。

 なお、周知のとおり、今週は9日(金曜日)に2月の米雇用統計の発表が控えている。思えば、2月初旬にドル/円が位置していた110円前後の水準からの急落は1月の米雇用統計における「平均時給」の伸びが想定以上に高く出たことがきっかけであった。
 1月の平均時給については、後に「記録的な寒波の影響で平均労働時間が短縮されたことにより、固定給を受け取っている労働者の時間あたりの賃金が計算上高く出た」との指摘もなされていた。はたして、2月の「平均時給」の結果は、市場に蠢く様々な思惑に対してどのように応えてくるのであろうか。
 場合によっては、結果としての金利上昇が再び「悪い金利上昇」と勝手に解釈され、ドルにとってはダメ押しとなる可能性もあろう。ただ、3月が終わりさえすれば本邦勢の「期末」要因もきれいさっぱり消え去るし、米大統領が2月初旬に提出した予算教書に対する議会の態度も明らかとなる。その結果、少なくともドル/円と日本株に対する売り圧力はだいぶ弱まるものと見ておいていいものと思われる。
(03月05日 10:10)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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