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第624回 ドル/円は重要な節目に到達で目先は戻り一巡感?

2018年05月07日

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 先週2日、ドル/円は一時110円台に到達する場面があった。
 以前から本欄でも述べてきたように、重要な心理的節目の一つでもある110円処には複数の節目が集中している。一つに、それは昨年11月高値=114.73円から直近(3月23日)安値=104.64円までの下げに対する50%戻しの水準(=109.70円処)であり、また2016年12月高値から直近安値までの下げに対する38.2%戻しの水準(=109.95円)でもある。
 そもそもドル/円は2015年6月に125.85円の高値をつけて以降、現在もなお三角保ち合い(トライアングル)を形成していると考えられる。このトライアングルはA-B-C-D-Eの5波構成になると見込まれ、そのうえで2016年12月高値からの調整をC波とすると直近安値はC波の終点=D波(リバウンド波)の起点と考えることもできると見られる。
 このトライアングルの上辺(2015年6月高値と2016年12月高値を結ぶレジスタンスライン)は現在112円台半ばの水準にあり、その点を踏まえたうえでD波の目標値というものを考えると概ね110円あたりという水準が中期的な上値の目安として想定されるという点も見逃せない。また、現在110.20円近辺に位置している200日線が当座の戻りの目安として意識されやすいということもご承知おきのとおりである。

 振り返れば、先週2日のNY時間にドル/円が一時110円台に乗せたのは同日予定されていたFOMC声明の発表より少し前の時間帯であった。声明発表後は一旦109.60円処まで下押す展開となっており、このことから市場は声明内容を「想定以上にタカ派寄りという印象ではなかった」と捉えた模様。なおも「6月利上げ期待」は追認されていると受け取ることもできる内容ではあったが、とりあえずはFOMCを通過したことで一旦「材料出尽くし」という印象でもある。
 なお、先週3日、4日はドル/円が一時109円を割り込む場面もあったが、これは主に米中通商協議の行方を懸念するムードが拡がったことが原因であった。結局、同協議は半ば不調に終わったとの印象もあり、その点は今後もドル/円の上値を押さえる要因の一つになり得るものと認識しておく必要があろう 
 ただ、大きな流れとしてのドル高基調がそこにあるという点も常に念頭に置いておきたい事実である。なにしろ、6月のFOMCで追加利上げの実施決定が下されれば、米政策金利はNZ政策金利(現在1.75%)をも上回る水準にまで引き上がるのである。

 先に「(ドル/円の)D波の目標値」という話題に触れたが、その観点からすれば当座の上値は200日線あるいは52週線(現在は110.43円)あたりまでに限られると見ることもできるものと思われ、後に一旦は足下のスピード調整という意味合いも含めたやや軟調な展開となる可能性があるものと見ておくことも必要となろう。
 一時調整後に(あるいはロクに調整も交えずに)52週線を上抜ける展開となってきた場合には、いよいよトライアングルの上辺が意識されることとなり、仮に同水準をブレイクすれば、その後は少し長い目で112-114円あたりでの値動きとなることが見込まれる。

 一方、先週はユーロ/ドルがおよそ4カ月ぶりに1.2000ドルを下回る展開となり、一段のドル高を支援する流れも強まっていた。先週4日にHISマークイットが発表した4月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)改定値は55.1と、速報の55.2から下方修正され2017年1月以来の低水準となった。
 なおも年初から引きずっている景気の陰りが晴れる兆しはなく、こうしたことはECBの政策方針に大きく影響するであろうし、これまで市場の見立ても大きく修正を余儀なくされることになろう。
(05月07日 08:50)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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