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第626回 「3%の壁」ブレイクで目の前の景色が変わった!?

2018年05月21日

 先週も「基本ドル強気」の流れは継続した。
 言うまでもなく、その背景には米10年債利回りの上昇があり、先週18日のアジア時間には一時3.126%と2011年7月以来の水準まで上昇する場面さえあった。結局、同日のNY時間には一旦大きく水準を低下させることとなったが、それは週末の調整という部分が大きかったと見られる。
 一つには、日々発表される強めの米指標の結果が市場を「ドル強気」にさせている。15日に発表された5月のNY連銀製造業景況指数が20.1と事前予想の15.0を大きく上回る結果となったことに加え、17日に発表された5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数も34.4と事前予想の21.0を大きく上回る結果となった。さらに、4月の米小売売上高(15日)や米鉱工業生産(16日)も強めの結果となり、それらが米債利回りの上昇の一つの要因として大きかったことは間違いない。
 以前から想定していたとおり、今年の年明けあたりから米国経済の成長加速がデータの上で明らかになる状況が続いている。なにしろ、足下ではなおも米企業による「求人」の件数が過去最高を更新し続けているのである。順番からすれば「求人の増加」がまずあって、後に「賃上げ期待の高まり」→「個人消費の活性化」→「生産(製造)の活発化」→「物価(インフレ率)上昇」と相成るわけで、今年は年末に向けて米インフレ率がグッと強含んでくることとなろう。だからこそ、米FRBは「金融政策の正常化」を着々と進めているのである。

 もちろん、イタリア債の価格下落や新興国通貨の下げなどが目下のドルを支える役割を果たしている面もあるが、やはり米10年債利回りが「3%の壁」をブレイクしたとの感が強まっていることは見逃せない。ひとたび10年債利回りの重しが外れれば、2年債利回りとの差が縮小しにくくなる(イールドカーブのフラット化に歯止めがかかりやすくなる)可能性も高まるものと思われ、そうなれば無用に市場でリスクオフのムードが強まるケースも減少することとなるだろう。
 やはり「3%の壁」をクリアにブレイクしたところから目の前の景色は劇的に変わるものと思われる。わかりやすく言ってしまえば、そこからは暫く経済がバブルの様相を呈することとなり、そのなかでドルも上がれば株価も上がり、いずれは金などの国際商品価格も暫く強含みで推移する時間帯というのが訪れるようになるのである。

 そうは言っても、目先的には足下のドル高にスピード警戒感や過熱感が募ってきていることも事実であろう。ドル/円で言えば、なおも2015年6月高値と2016年12月高値を結ぶレジスタンスライン(=トライアングルの上辺)は一旦上値を押さえられるところとなるだろうし、ユーロ/ドルで言えば62週移動平均線と一目均衡表の週足「雲」上限が位置する水準(現在は1.1675ドル~1.1719ドル)は当座の下値サポートとして機能しやすいものと見られる。依然、基本はドル強気の流れということになり、当面の下値は相当に難いと思われるが、一時的な調整を交える可能性も十分にある点には留意したい。
 もちろん、なおもドルが一段の上値を追う展開を続ける可能性もないではない。
 例えば、今後もドル/円が目立った調整も交えずに前記のトライアングル上辺=重要なレジスタンスを上抜けてきたり、ユーロ/ドルが前記のサポート水準をあっさり下抜けてきたりすれば、それは非常に興味深い展開ということになる。そうなれば、ドル/円は昨年の秋から今年の年明けにかけて位置していた113-114円処を試す可能性が出てくるし、ユーロ/ドルは昨年11月安値=1.1554ドルをとりあえずは試す可能性も出てくるだろう。
(05月21日 08:50)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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