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第637回 テクニカルに下抜けたユーロ/ドルには一段の下値余地!?

2018年08月13日

 前回更新分の本欄で「基本的に対ユーロ&円でドル高というのは間違いない」などと述べた。しかし、より正確には「ユーロ<円<ドル」と考えるべきなのであろう。先週あたりはトルコや英国の先行きに対する懸念から市場全体のリスク回避ムードが強まったことにより、結局のところ外為相場はユーロ安と同時に円高・ドル高になった。
 結果、ユーロ/ドルは先週9日のNY時間あたりから大きく下落し始め、ついに10日の東京時間中には重要な節目である1.1500ドルを下ける展開に。英フィナンシャル・タイムズ紙が関係者筋からの情報として「ユーロ圏の金融機関によるトルコへのエクスポージャーについてECBが懸念している」と伝えたことが直接のきっかけになったようだ。

 足下で一気に1.1500ドルの節目を下抜けることとなったユーロ/ドルは、ついに一目均衡表の週足「雲」下限の水準を下抜け。月足「雲」下限も下抜けており、とりあえずは31カ月移動平均線(31カ月線)が位置するところ(現在は.1.1412ドル)で下げ渋った格好となった。1.1500ドルが極めて重要な節目であると認識されていただけに、ひとたび同水準を下抜ければ、そこからは次々にストップを巻き込む展開となって一旦は少々キツイ下げとなるのも当然ということになりそうだ。
 10日のNY時間にユーロ/ドルは一時1.1400ドルをも下抜ける場面を垣間見たが、NY終わりまでに1.1410-20ドルあたりまで少し値を戻した。ただ、一時的なショック安の戻りとしては少々心もとない感じも残している。目先は多少の戻りが試される可能性もないではないのだろうが基本的には弱気継続で、短期的には1.14300ドル処を上抜けたら1.1470-80ドルあたりまでの戻りを試すと見て、そこで戻り売りを仕掛ける算段で臨みたいと個人的には考える。
 なお、当座は昨年1月安値から今年2月高値までの上げに対する61.8%押し=1.1188ドル~1.1200ドルあたりが下値の目安として意識されることになると見る。また、1.1500ドル処をネックラインとする三尊天井(ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ)が完成したと考えるなら、中長期的な下値の目安は一段と下方に見込まれることとなる。さしあたっては、少し長い目で1.1000ドル処がまずは意識される展開になって行くと個人的には見ている。

 一方、ドル/円は先週10日のNY時間に一時110.60円割れの水準まで下押す場面があったものの、基本的には底堅い印象である。夏季休暇シーズンの真最中であるだけに、ポジション調整絡みでのドル売り・円買いも見られなくはないが、ドル/円の110円台半ばから111円処にはしっかり買い注文が居並んでいるといった印象だ。
 今週も完全に夏季休暇モードということになると思われるが、そうした状況であるからこそ無用に相場を混乱させるような要人発言などが聞かれにくくなると見ることもできるだろう。いまやドルは高金利通貨であり、すでに9月の米利上げが確実視されていることも考えれば、なおもドル/円については「やや強気」と見ておいていいものと考える。
 先週10日付の日本経済新聞『スクランブル』にもあったように、日本の株式相場が9月に浮上するとの見方が一部にあることは間違いない。一つには「米中間選挙の予備選が9月に終わると、それまで通商政策に重点を置いていた米大統領が減税やインフラ投資などに政策の力点を移すようになる」というのがその根拠だ。
 仮に、米中間選挙の日程が迫る中でそうした力学が働くことも事実であるとして、それ以前に日本の上場企業の4-6月期が全体に想定以上の好結果となっていることもまた事実である。このような状況にあって、さらに8月のドル/円の月足・終値が一目均衡表の月足「雲」上限を上抜ければ、9月以降のドル/円の上値には日本株とともに期待が膨らむ。
(08月13日 09:15)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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