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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第640回 今週は懸案事項が多くてかなり動きにくい!?

2018年09月03日

 先週末(31日)、東京ビッグサイトで行われていた『日経IR・投資フェア2018』に足を運んだ。会場内にいた市場関係者数人からは「これほど盛況になるとは、正直想定していなかった」という声が多く聞かれた。その理由を筆者は「一つに、多くの個人投資家が有望銘柄の発掘に苦労しているから」であると考える。
要するに、かつてないほど今は先が読みづらい。その実、8月31日付の日本経済新聞『スクランブル』は「プロのファンドマネージャーたちが銘柄選別に苦労している」、「AIも手を焼く」などと伝えていた。なにしろ、今や世界経済の命運は異形の米大統領トランプ氏と3人の独裁者(中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領)らが握っているのである。彼らは其々に自身の立場と面子を最大に重んじることにのみ腐心しており、多くの言動には論理的な裏付けなどほとんどないものだ実に先が読みづらい。当然、外国為替相場の先読みについても同様である。

 周知のとおり、米政権は先週27日、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を巡ってメキシコ政府との間で合意した。それを市場は一旦好感し、米・日株高となったことでリスクオフのムードも一旦は後退。なお、NAFTAの再交渉ではカナダがいまだ米国と合意できておらず、協議は今週5日に持ち越されることとなった。なおも紆余曲折はあるものと思われるが、そのこと自体が市場全体に及ぼす影響は自ずと限られよう。
 むしろ、目下の問題としてより大きいのは、米政府による2000億ドル規模の対中制裁関税措置が今週6日にも発動される可能性があるという点である。もちろん、まだ時間的猶予はあるし、米政府が行う米企業への意見聴取の結果、発動が見送られる可能性もないとは言えない。ただ、とにかく今はどちらに転ぶかわからないからとりあえず目先は様子見、あるいは一旦ポジションを整理しておくというのが少なからぬ投資家のスタンスということになろう。
 もっとも、少し長い目で見ると米国の強硬な通商政策もいずれ落とし処を見出そうとするときが訪れると見られる。対メキシコの次は対カナダであり、注目の中国については既に相当切羽詰まってきている。11月にも首脳会談が行われる見込みとされ、それまでは水面下での交渉が続くこととなるのだろうが、逆に言えば、すでに中間選挙目的という役割は徐々に終わろうとしており、最終的な着地は「選挙後」ということなのであろう。
 そうであるとすれば、今後は次第に市場のりスク警戒感が和らぐことで、そのぶん円買いニーズも低下して行く可能性があるということになるのではないか。目先はカナダ、中国に対する米国の出方を大いに警戒する必要があるものの、来週以降は「また別の展開があり得る」ということになるものと見られる。

 結局、8月のドル/円の月足・終値は一目均衡表の月足「雲」上限をブレイクすることができなかったが、なおも31カ月移動平均線や62カ月移動平均線よりも上方に居留まっており、一定の底堅さは十分に感じられる。
なお、日足では先週29日に一時的にも日足「雲」上限を上抜ける場面があった。週末にかけては再び押し戻されるような格好となったが、依然として89日線や日足「雲」下限、21日線などにサポートされていると見ることもでき、ここでも下値の堅さは確認できる。ただ、今週は基本的に動きにくい週になると思われ、ドル/円の値動きもかなり限られた範囲内(110.50-111.50円のレンジ内での値動きを想定)に留まることとなろう。
 ユーロ/ドルも今週は動きにくいと見られるが、日足「雲」上限付近が上値抵抗として機能していると考えられ、基本的には同水準あたりで戻り売りのタイミングをうかがいたいと考える。やはり、先週28日に一時達した1.17ドル台はやや過大評価ということになろう。
(09月03日 09:10)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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