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第641回 予備選の日程が一巡すると米大統領の言動にも変化が…

2018年09月10日

 先週6日のNY市場引け間際、またしても突然の“トランプ砲”が発せられ、市場では俄かに円買いの動きが強まることとなった。それは、単に米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の記者による電話取材の内容を伝える記事に過ぎなかった(インパクトとしてはトランプ氏自身のツイートの方が最近は強い)わけだが、このところ各方面から実に様々な“攻撃・口撃”を受け、言わば針の筵(むしろ)のような状態に置かれた目下のトランプ氏だけに、今後はますます血迷って、一層突飛で強硬な策を講じてくる可能性も大いにあり得るものと一応は覚悟しておかざるを得まい。
 実際、米大統領は先週7日にも、遊説先に向かう米大統領専用機内において記者団に対して「(新しい)合意に達しなければ、日本は大変な問題になると認識している」と吠えまくったらしい。わがまま言いたい放題、やりたい放題の荒くれ者だが、その立場上、行使できる様々な権限を携え持っていることも事実であり、個々の発言を「何を戯言」などと一笑に付すわけにも行かない。
 先週7日発表の米雇用統計(8月)では「平均時給」の伸びが事前予想を大きく上回ったことで、せっかくドル/円が一時111.25円処まで買い戻される場面もあったのだが、その後は件のトランプ発言で失速し、一時は110.75円処まで下落した。「まったく、市場も付き合いがいい」と言いたくもなるが、売り一巡後には再びドルが買い直される展開となったことも見逃せず、結局のところ今は最終的に「有事のドル買い」なのだと思い知らされる展開でもあった。
 つまり、昨今は円高圧力がかかりやすくなる場面で同時にドル高圧力もかかりやすくなるので、結果的にドル/円の下値は限られる。もちろん上値も限られるから、このところはずっと一目均衡表の日足「雲」のなかでもみ合いを続けている。横這いの21日移動平均線と絡む展開が続いており、ないも当面は方向の掴みにくい展開が続くと見られる。
 また、このところは31週移動平均線が下値サポートとして意識されているようなところもあり、仮に同線を下抜けても次に週足「雲」上限の節目がサポートになると見做される可能性が高い。また、依然として2015年6月高値と昨年11月高値を結ぶ以前のレジスタンスラインが、今はサポートラインとして機能しているといった感もある。

 これだけ強めのサポートが機能しているのであるから、何かきっかけ一つで上値追いの展開となっても良さそうなもの。肝心のきっかけがなかなか得られないことも事実なのであるが、場合によっては株価の動きが一つのきっかけとなる可能性もあろう。
 振り返れば、このところのドル/円は日経平均株価の値動きを横睨みしながらの展開となっていたような印象が強いわけであるが、周知のとおり、その株価も8月30日高値=2万3032円をつけて反落し、以降は調整含みの展開を先週末まで続けていた。
 実のところ、今年の8月も海外勢は日本株を売り越しており、これで9年連続。もはや8月の相場低迷は致し方なしと考えるべきであろう。他方、過去に米中間選挙が行われた年の株価は決まって年末高になるというアノマリーもある。そして、今週14日はメジャーSQの日程が到来。これら複数の事情を勘案すると、既に「調整十分」と思われる株価がそろそろ強めに動き出してきてもおかしくはない。
 もちろん、なおも米政府による対中制裁関税の発動に対する警戒は解けないが、もはや「中国からの輸入品ほぼすべてに関税を掛ける」という段になってくると、将来的にどれほどの悪影響が米中及び世界全体の経済にもたらされるかはとりあえず別として、目先的な市場の材料としては一種の“打ち止め感”が出てくるということにもなろう。
 米国では今来週で地方の予備選の日程も一巡する。そうなれば、米大統領の言動からも通商政策重視の色合いが(徐々に褪せ、より景気刺激的な姿勢が強調されて行くようにもなるものと思われる。
(09月10日 09:45)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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