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第648回 なおも要警戒!?ポンドとユーロの下値リスク

2018年11月19日

 先週14日、英国のメイ首相は閣議で欧州連合(EU)離脱協定案の承認を半ば強引に取り付けた。これに対して、すでに与党や閣内からも反対の声が上がっており、党首の不信任投票を探る動きも出てきている模様。もちろん、このままでは来年1月に山場を迎えると見られる英国議会での承認など得られるべくもないと言えよう。
15日には、ラーブEU離脱担当相の辞任が伝えられてポンド/ドルが1.3000ドル処から1.2700ドル台前半の水準にまで一気に急落。正味のところ、メイ首相以外は誰も責任を負いたくないものと見える。独り孤軍奮闘するメイ首相には平気で「不信任」を突きつけながらも、後任の首相候補に手を挙げる者は誰一人いない。
聞くところによれば、最近の世論調査では「EU残留」の方が「EU離脱」を上回っているという。ならば、国民投票をもう一度やり直せば良さそうなものだが、それは決して容易いことではないとされる。しかし、再投票以外の選択肢として、現状では「合意なき離脱」以外に考えにくいのが実情と言えるだろう。まさに“泥沼”である。

その意味でも、今後しばらくはポンドの下値メドを見出すことが難しいと言え、同時にそれはユーロ/ドルの下値リスクにもつながる。
加えて、ユーロの弱気材料という点ではイタリアの予算案を巡る問題というのもある。先週13日、イタリア政府はEUが求めていた予算案修正の要請をあからさまに拒否。これを受けて、欧州委員会は今週21日に最終判断を公表する方針とされる。その内容が「制裁」という形になろうとそうでなかろうと、どのみちユーロにとってポジティブな結果は得られにくいと考えざるを得ない。
周知のとおり、ユーロ/ドルは先週12日に一時1.1214ドルまで下押し、そこで一旦反発して足下では若干のリバウンドが生じる展開となっている。実のところ、この直近安値は2017年1月安値から今年2月高値までの上げに対する61.8%押しの水準に近く、そんな節目の一つに到達したことで一旦下げ渋る展開となったことは何ら不思議ではない。むしろ、目先の戻りに惑わされることなく、ここから安易に上値を取って行くことには慎重でありたい。
一応、目先の戻りメドは9月24日高値=1.1814ドルから直近安値までの下げに対する38.2%戻し=1.144ドルあたりから50%戻し=1.151ドルあたりと見ておけばよいものと思われ、そうした節目水準に達する転機が見られた場合には戻り売りを検討したい。また、少し長い目で直近安値を下抜けるような展開となった場合、次の下値の目安となり得るのは1.100ドルの心理的節目、さらには2017年1月安値から今年2月高値までの上げに対する76.4%押しの水準=1.080ドル前後ということになろう。

一方、先週14日のNY時間入り後、それまで114円を試す動きを続けていたドル/円は週末に向けて下値を切り下げ始めることとなり、週末16日には一時112.63円まで下値を試す場面があった。
FRB副議長やダラス連銀総裁などが世界経済の先行きをやや悲観視するような発言を行ったせいで米10年債利回りが一時3.06%まで下落したことが背景にあるなどとされていたが、これらの講釈は後付けの部類であろう。むしろ、14日の原油価格が13営業日ぶりに反発し、足下で下げ渋る展開となっていることが目先的にもユーロを反発させ、結果的にドルが調整含みとなっている点が大きいと見られる。
結局、16日の終値は一目均衡表の日足「雲」上限付近(112.80-90円処)に位置することとなり、やはり同水準あたりが目先のサポートとして意識されやすいだろう。112.80円処というのは10月26日安値から11月12日高値までの上げに対する50%押しの水準であり、一つの下値の目安になり得ると思われる。
(11月19日 07:30)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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