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第650回 パウエル議長発言の真意はどこに?

2018年12月03日

 1日に行われた米中首脳会談の結果は周知のとおりで、とりあえず米国による中国への追加関税の発動は猶予されることとなった。
 ひとまずの“休戦”となったことで、週明けの東京市場は大幅な株高で反応しており、あらためて年末に向けた一段高への期待は高まる。足下における日本株の過度な割安感が多少なりとも解消される方向となれば、市場全体のムードもリスクオンに傾きやすくなり、基本的にドル/円、クロス円にとっても上値に期待しやすいムードとなろう。
 とはいえ、今回の米中首脳会談の結果がさほど大きなサプライズだったわけではないうえ、追加関税の猶予期間が90日間と比較的短期間に定められたことなどから、今回の結果は「単なる時間稼ぎ」との見方もできなくはない。
 もちろん、当面は株高&円安の方向に一旦傾く可能性もあるわけだが、それが持続可能で力強いトレンドになるかどうかは、向こう90日間における米中両国の高官級協議の行方次第ということになることだけは理解しておく必要がありそうだ。
 思えば、11月は月初めの時点から「月末に行われる20カ国・地域(G20)首脳会議で米中首脳会談が行われる予定がある」とわかっていたことから、月を通じて一定の警戒感を伴う手探りの状態が続いた。結果、ドル/円の値動きは非常に限られたものとなり、11月の月足ロウソクは「小陽線」を描くこととなった。
 とまれ、11月の月足・終値でも一目均衡表の月足「雲」より上方に位置し、これで3カ月連続となったことは特筆に値すると思われる。ちなみに、62カ月移動平均線(62カ月)よりも上方に位置するようになるのは6カ月連続のことで、なおかつ今年3月以降の月中安値を結ぶサポートラインは依然として利いている。
 つまり、テクニカル的な見地からすれば、なおもドル/円は「基本強気」と見ていいことになる。こうした見立ても成り立ち得ることを、いたずらに否定することは憚られる。

 そもそもファンダメンタルズ的な要因や政策、イベント等を要因に仕立てて、様々に相場の先行きを予想することも決して容易ではない。もちろん、市場が間違ったり、勘違いしたりすることも少なくない。いや、最近は以前よりもはるかに多い。
 ひとつに、先週話題となったNYエコノミッククラブでのパウエルFRB議長発言であるが、それを市場が「そろそろ利上げ打ち止め」と理解したのは勘違いであるとする指揮者は少なくない。大事なおことなのでおさらいしておきたいのだが、このほど議長は足下の米金利水準について「中立レンジを若干下回る」などと述べた。「レンジ」とされているのは大よそ2.5-3.5%あたりの水準と考えられ、その「(レンジ)下限」に現在の政策金利(2.00-2.25%)が近づいていることは事実である。
 まして、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において大方の市場予想通りに追加利上げが実施されれば、米政策金利は2.25-2.50%にまで引き上げられる公算が大であり、まさに「レンジ」の下限に手が届くということになる。このことから市場では俄かに利上げ打ち止め観測が台頭することとなり、結果として米株価やNY金先物価格が大幅高を演じることとなったわけだ。
 とはいえ、この「レンジ」には随分と幅があることも事実で、その下限から上限までの幅というのは、言うなれば「利上げ4回分」にも相当するほど大きい。もちろん、そのレンジの真ん中を取った「中間レート」という概念もあるわけだが、それだからといって「大よそ3.0%前後というのが打ち止めの目安」と決め込んでしまうのは「少々乱暴ではないのか」と思わないではいられない。
 仮に市場がパウエル発言を曲解したのだとすれば、目下の米2年・10年債利回りは低下し過ぎということになり、いずれ再上昇してくれば、それはドルの下値を支えよう。
(12月03日 09:30)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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