FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

外貨投資 転ばぬ先の智慧

最新の記事

第696回  いよいよドル/円はトライアングル上放れ?

2020年01月20日

 年明けにひと悶着あった米・イラン間の緊張は、双方がともに本格的な武力行使は回避したいとの意向であることが確認され、とりあえず事態のエスカレートは避けられることとなった。また、米中貿易交渉の第1段階における合意の文書署名も無事に済み、さしあたり市場のムードは足下でリスクオンの方向にグッと傾いている。
 結果、今やNYダウ平均は29000ドル台に乗せる強い動きとなっているうえ、S&P500種やナスダック総合指数、フィラデルフィア半導体株(SOX)指数なども、連日のごとく史上最高値を更新し続けている。米株高に連れて一定の勢いを取り戻しつつある日経平均株価も足下では2万4000円台に乗せる動きとなってきており、それに呼応するようにドル/円は110円台を回復する強めの動きとなっている。

 なお、長らくの懸案であった米中対立や一時的にも緊迫化した中東情勢がとりあえず落ち着き、そうした事柄が市場で材料視されにくくなっていることもあり、目下の市場の関心は久しぶりに米国の経済指標・景気データなどに向かっている。
たとえば、先週16日に発表された昨年12月の米小売売上高は前年同月比+5.8%となり、依然として米雇用情勢が堅調に推移していることと平仄を合わせる格好となった。また、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数が+17と、前月(12月)の+2.4から大幅に上ブレしたことに対しても市場の関心は高かったようである。
さらに同日、全米ホームビルダーズ協会が発表した1月のNAHB住宅価格指数が75と前月の76と同様に高水準であったことも目を惹く。既知のとおり、同指数が「70を超えるか否か」は、過去の歴史において米連邦準備理事会(FRB)が政策方針を決定する際に決して小さくない影響をもたらしてきた。
一方、米国の住宅販売は好調続きで、17日に発表された12月の米住宅着工件数も160.8万件と、事前予想の138.0万件を大きく上回った。こうして見てくると、米株価と米住宅価格は既にバブル化し始めていると見ていいのではないか。むろん、それは「まだ序の口」というレベルに過ぎないものと個人的には考える。

 少し振り返ると、本欄の昨年末(12月30日)更新分ではドル/円の月足チャート上において確認できる「一目均衡表(月足)の『雲』のねじれ」について触れている。前回の「ねじれ」が生じた2015年6月以降、長らく局面に三角保ち合い(トライアングル)を形成する局面にあったことを考えると、今回の「ねじれ」は「トライアングル上放れ」の可能性を大いに匂わせるものと見ることもできる。
 気が付けば、もはやトライアングルの上辺は110.20円処にまで降りてきており、いよいよ同水準を上抜けるかどうかが一つの大きな焦点となってきている。ほぼ同じ水準に現在、週足「雲」上限も位置しており、同水準を上抜ければ週足ベースでの『三役好転』も見て取れるようになる。先週末(17日)のドル/円は一時110.29円まで上値を伸ばす場面があり、まさに足下ではテクニカル的に見て一つの正念場を迎えているとも言える。むろん、足下の重要な節目が強い上値抵抗となる可能性もあるが…。

 今週は、日銀金融政策決定会合やECB理事会の日程も控えているうえ、米国において主要企業の決算発表も相次ぐ。21日からスイスで開催される「ダボス会議」に2年ぶりにトランプ米大統領が参加することも一つの注目ポイントとなりそうである。
 また、先週までユーロ/ドルの週足ロウソクが3週連続して長めの上ヒゲを伴う陰線となったことも見逃せない。仮に、ユーロ/ドルが日足「雲」を下抜ける展開となった場合には、同時に昨年10月安値と11月安値を結ぶ中期サポートラインを下抜けることにもなり、ドルの強みが一層増す可能性がある点にも注目しておきたい。
(01月20日 09:10)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産取引業協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 外貨投資 転ばぬ先の智慧 > 第696回  いよいよドル/円はトライアングル上放れ?