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第713回 米・日株価が上げ一服ならドル/円、クロス円も一服?

2020年06月08日

 依然として、米・日株価は上値追いの展開を続けている。先週あたりは一旦調整を交える可能性が高いとと見る向きも多かったが、実際にはなおも上げの勢いが衰えず…。先週5日の米株市場においては、NYダウ平均の上げ幅が一時1000ドルを超える場面もあったうえ、ナスダック総合指数が取引時間中の史上最高値を更新する場面もあった。
 強烈なリスクオンの流れが続いており、ついに日経225先物も5日のナイト・セッションで2万3000円の大台に乗せる動きとなった。むろん、売り方はたまらず、損失覚悟の買い戻しを迫られるといった展開が、今しばし続く可能性さえある。
 ドル/円の売り方においても状況は同じで、ことに先週は2日に89日移動平均線をはじめ一目均衡表の日足「雲」上限、200日移動平均線(200日線)といった重要な節目を次々に上抜ける展開となったことが大きい。思えば、先週のスタート時は市場にリスク選好ムードが拡がっていることで「ドル売りと円売りが同時に進行し、結局のところドル/円は上にも下にも動きにくい」と見る向きが少なくなかった。
 ところが、2日以降は見る見るうちに200日線ばかりか3月高値から5月安値までの下げに対する半値(50%)戻しの水準=108.84円までブレイクし、豈図らんや週末5日には61.8%戻しの水準=109.52円まで上抜ける驚異の上げを演じて見せたのである。

 3月半ば頃に一時、極端に強まったドルの調達懸念が後退し、市場では徐々に「リスク選好のドル売り」と称される動きが強まったわけであるが、それが嵩じて先週の週末にかけては、さすがにドルが安くなり過ぎたとの感も強まったように思われる。そこに、5月の米雇用統計の予想外に力強い結果が飛び込んできたことで、一気にドルを買い戻す流れが強まったということもあろう。
また、そもそも「ドル売りの圧力以上に円売りの圧力が強くなっていた」ということもある。それは、一つに豪ドル/円やユーロ/円などクロス円全般が強含みの展開を続けたことで、その流れがドル/円にも波及したということに因る。
 前回更新分の本欄では、豪ドル/円の行方に要注目と述べたうえで「62週移動平均線(62週線)や一目均衡表の週足『雲』下限が位置する73円台半ばあたりの水準を試す可能性がある」としたが、実際には62週線や週足「雲」下限の水準を易々とブレイクし、ついには週足「雲」上限をも上抜ける強烈な上昇となった。
 結果、豪ドル/円は一時76,75円まで上値を伸ばし、昨年12月の高値をも上抜けてしまった。言うまでもなく、それは「コロナ以前」の水準ということになるわけで、さすがに目先は少々行き過ぎといった感もしないではない。
 豪ドル/円とドル/円はともに日経平均株価との正の相関が強く認められるわけであるが、当の日経平均株価が2万3000円台を試したところで今週末にメジャーSQを迎えるという事実関係にはやはり留意しておく必要があろう。既知のとおり、2万2000~2万3000円という価格帯は言わば「真空地帯」であったが、23000円より上の価格帯には少々まとまった出来高があり、2万4000円を試すのはそう容易いことではない。

 つまり、そろそろ日経平均株価の上げが一服となり、当面はやや調整含みということになれば、同時に豪ドル/円やドル/円の上値も少々重くなりがちとなろう。
 よって、今週のドル/円、クロス円とはやや慎重に向き合いたいところ。まず、ドル/円は110円処が上値の「壁」となるかどうかを見定め、一旦押し戻されるようであれば短期スタンスで戻り売りを基本としたい。むろん、下値にも自ずと限りがあると考えられ、一つには200日線が目安となろう。
同様に、ユーロ/ドルについても目先は上げ一服となる可能性が高いと思われ、基本的には短期の売りスタンスで臨みたいと考える。とりあえず、下値の目安は1.1150-1.1100ドルあたりのゾーンと見ておきたい。
(06月08日 08:50)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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