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第727回 米実質金利の低下一服でドルじり高の展開は今しばらく続く…

2020年09月28日

 欧米で新型コロナウイルスの感染が再び拡大傾向を辿っている。
 とくに欧州では過去最多の新規感染者数を記録しており、日増しに深刻度が高まっている。当然のことながら、欧州で一頃まで盛り上がっていた早期景気回復への期待も後退し始めており、先週の週初あたりからユーロに対する売り圧力が強まっている。
 もともと、過去最大に積み上がったユーロロングのポジションを解消する動きは9月初旬あたりから強まっていた。奇しくも、9月1日にユーロ/ドルが一瞬1.20ドル台に乗せる動きとなったことが、ロングポジション解消の契機となったようなところもある。
 そこに、欧州での新規感染者数の急増という要素が加わったことで、ついにユーロ/ドルは21日移動平均線(21日線)をクリアに下抜けることとなった。さらに、先週22日以降は一目均衡表の日足「雲」の中に潜り込み、とうとう1.1700ドル処の節目をも下抜ける弱気の展開となっている。同時に、日足の遅行線が「日々線」を明確に下抜けてきていることもチェックしておきたい。
 ユーロ/ドルは3月安値から9月高値まで2段上げを演じたわけだが、2段目の起点となった6月安値から9月高値までの上げに対する半値押しの水準が1.1590ドル処で、目先は同水準が下値の目安の一つとなろう。なお、仮に日足「雲」下限を下抜けるような展開となった場合には、61.8%押しの1.1500ドルあたりが一旦意識される状況となってもおかしくはないと見る。

 むろん、米国においても感染の再拡大が鮮明になっているうえ、いまだ追加経済対策の規模を巡る与野党の対立が収まる気配はない。9月初旬からは米株価も調整局面に入っており、リスク回避ムードの高まりからドルが買われ易くなっていることもユーロ/ドルの下げの一因として見逃せない。
 よって、一つには米株価が持ち直しの動きを見せるかどうかが、今後の外国為替相場においても一つのカギを握ると見られる。もちろん、それはコロナ感染の再拡大に歯止めが掛かるかどうかということにもよるが、コロナ禍を追い風にしている側面もあるIT・ハイテク株全般については、そろそろ調整一巡となりそうなムードもある。
 ただし、足下では米国における実質金利の低下が一服し始めていることも事実。その点も考え合わせると、米株価の上値は当面、押さえられがちとなりそうな感じもしないではない。その意味からすれば、今しばらくドルのじり高傾向は続くようにも思われる。

 なお、足下のドル高傾向はユーロのみならずポンドや豪ドルに対しても鮮明になっており、そのぶんクロス円の上値は全般に重くなっているものの、その割にドル/円は比較的堅調に推移している。先週末25日のドル/円は一時的にも21日線を上抜ける場面も見られており、目先は同線をクリアに上抜けるかどうかが一つの焦点。上抜けた場合は、次に日足「雲」の下限から上限にかけての水準が意識されやすくなると見ておきたい。
 ドル/円は先週21日に一時104円割れ寸前のところまで下押し、切り返してからの強気トレンドは足下で継続している。興味深いのは、アジア時間帯に一旦調整含みとなるものの、欧州時間入り後には持ち直すというパターンを続けていることであり、それはこのところ欧州株が軟調な展開を続けていることと無縁ではなかろう。その意味で、当面は英・独・仏を中心とした各国の株価指数の動きにも目を向けておきたい。

 一方、9月半ば以降に豪ドル/円の下げが少々きつくなっている点にも要注目。先週末にかけて試された74円処というのは、3月安値から直近(8月31日)高値までの上げに対する23.6%押しの節目にあたり、そろそろ下げ止まってもおかしくはないものの、節目を下抜けると一段下げの展開となる可能性が高い。個人的には、ロスカット覚悟で節目処から打診的に買いを入れる算段で臨みたい。
(09月28日 08:35)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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