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第728回 当面の焦点は、トランプ米大統領の容体と米追加経済対策の行方

2020年10月05日

 今週の外国為替相場は、米国の追加経済対策の行方が一つの大きな焦点。加えて、トランプ米大統領の体調に関する報道や同氏によるツイートの内容が価格変動のカタリストになる可能性も高いと見られる。
 既知のとおり、先週2日午後(日本時間)にトランプ氏が新型コロナウイルスに感染していた事実が明らかとなり、日本株やドル/円、クロス円が一時急落する展開となった。報道を受けて時間外のダウ先物が大きく値を下げたことに連れる格好となったわけだが、そこには例によってアルゴリズム取引の“暗躍”もあった模様である。
 後に、トランプ氏の容体が「今のところ軽症」と伝わったことにより、とりあえず市場は落ち着きを取り戻すこととなったが、当面は「トランプ氏の容体が重症化せず、順調に快方へ向かうかどうか」を見守りながらの相場展開ということになるのだろう。

 「トランプ氏の容体に重症化の兆しが見られなければ、大統領選への影響は限定的なものに留まる」との声も市場からは聞かれる。むろん、米政権による感染対策の杜撰さはあらためて問われるところだが、それは今に始まった話ではない。むしろ、トランプ氏が今回の感染の事実を、どのように“生かす”のかが注目されるところである。
 一方、足下では米国の追加経済対策を巡る与野党の協議がいよいよ大詰めとなってきており、先週末時点では民主党のペロシ下院議長が合意について「楽観している」と述べたと伝わっている。合意へのメドが見えてくるようであれば、金融市場は全体にリスク選好的なムードを色濃くしよう。もちろん、それもトランプ氏の容体次第ではあるが。

 先週末2日の米株相場で、NYダウ平均が400ドル超の下落からスタートしたのにも拘らず最終的に134ドル安(前日終値比)に留まったことは、週明けの東京市場でも好意的に受け止められよう。なお、米10年債利回りが一時0.70%台に乗せる動きとなったことも見逃せない。
 全体にリスクオンのムードが拡がることを前提とすれば、基本的にはドル売りと円売りが同時に強まると見られるが、米金利がやや強含みで推移するならば円売りの方がドル売りに勝り、ドル/円は多少なりとも戻り余地を試そうとするだろう。
 トランプ氏のコロナ感染報道を受けた後、ドル/円は一時105円割れの水準を試したものの、ほどなく105.40円処まで値を戻す展開となった。さらに、週明けのオセアニア時間帯には105.60円処まで持ち直す動きも見られており、目先は先週末にかけて幾度か試された105.70-80円処まで勢いが持続するかどうかを見定めたい。
 なお、米追加経済対策が合意に至ることとなれば、とりあえずは素直にドル買いが強まると考えられ、その場合は105.80円処のブレイクに成功するかどうかが注目される。ブレイクすれば、一旦は一目均衡表の日足「雲」のなかに潜り込む動きとなる可能性もあろう。ただ、依然その上値余地は自ずと限られると見られることに変わりはない。

 一方で、先週一旦戻りを試す動きを見せていたユーロ/ドルについては、基本的に戻り売りの姿勢で臨みたいと個人的には考える。
 先週2日、欧州連合(EU)統計局が発表した9月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比で0.3%の低下という結果になり、域内の消費者マインドは高まっていないことが明らかとなった。
 既知のとおり、新型コロナ感染第2波が猛威を振るっている状況下では無理もなく、場合によっては欧州中央銀行(ECB)が追加緩和策実施の検討姿勢を強める可能性も十分にある。今週はラガルド総裁がコメントを発する機会が複数設けられており、その内容に相場が敏感に反応する可能性もあるものと心得ておきたい。
(10月05日 08:40)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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