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第742回 FOMC後のパウエル議長発言と人民元の行方が気になる…

2021年01月25日

 先週22日、米CNBCは「大型の追加対策の必要性を疑問視する野党・共和党議員が増えている」と伝えた。この一報を受け、市場では「バイデン米大統領の提案より規模が縮小する」との見方が強まり、リスク資産に向き合う姿勢がやや軟化している。
 そもそも、米国における新型コロナウイルスの感染拡大は依然として収束の気配を見せておらず、市場では足下の不安と将来の期待が交錯している。結果、ドル/円は所謂「リスク回避のドル買い」の流れも相俟って週末にかけてやや値を戻す展開となったが、なおも一目均衡表の日足「雲」下限(現在は103.87円)が目先の上値抵抗としては意識されやすく、なかなか104円台を積極的に試すといった展開にまでは至らない。
 
 先週19日にはイエレン前FRB議長の財務長官指名承認公聴会が行われ、事前に米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「(イエレン氏は)市場が決定する為替レートへのコミットメントを確認するとともに、ドル安を目指さないと明言する見通し」となど伝えていたこともあって、市場ではドルを買い戻す動きが少々強まる場面も見られていた。
 結局、イエレン氏は「米企業の競争力を上げるためのドル安は望まない」などと発言していたものの、全体に想定内の内容であったことも事実で、目先は「一旦出尽くし」の感が強まったことも一因となってドルを買い戻す流れは一巡した。
 また、今週予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)の日程を控えて、ドルの上値を追うことに慎重なムードもないではない。今回のFOMCでは政策方針の変更はないものと見られるが、FOMC声明やパウエル議長会見の内容から想定以上にハト派的なムードが感じられた場合には、あらためて米債利回りが弱含みとなり、ドルに売り圧力がかかりやすくなる可能性もある。
 年明け以降、米ダラス連銀のカプラン総裁やボスティック・アトランタ連銀総裁などから年内にテーパリングが開始される可能性についての言及が相次いでなされたが、後にパウエルFRB議長が「今は出口戦略について話す時期ではない」、「利上げ時期はまったく近くない」などと慌てて火消しに回る一幕があったことも思い起こしておきたい。
 むろん、一部の「テーパリング観測」や「早期利上げ観測」がさすがに時期尚早と考えられることは言を俟たない。それにしても、今回のFOMCで想定以上にハト派寄りの姿勢が示されるリスクについては一応警戒しておかねばなるまい。パウエル議長の発言次第で、ドル/円は再び21日移動平均線(21日線)を下抜け、103円台前半の水準を試す可能性もあると見られる。
 ただ、年明け早々に一気に進んだ中国人民元高・ドル安の流れが足下で一服しているという点も実は見逃せない。とりあえずは、1ドル=6.45元処に人民元の上値の重さが感じられる状況となっており、このあたりで一旦、ドルが対人民元で買い戻される展開となれば、それは円売り材料の一つにもなり得る。

 一方、ユーロ/ドルは先週19日あたりから少々値を戻す動きとなっており、目先は21日線(現在は1.2192ドル)を再び上抜けるかどうかが焦点。とりあえず、下値は一目均衡表の日足「雲」上限に支えられた格好となっている。
 先週21日に行われたECB理事会後、会見に臨んだラガルド総裁の発言は想定していたよりも楽観的であったという印象が強く、そのことがユーロを下支えすることとなったのは間違いない。とはいえ、相変わらず域内の感染拡大が収束の気配を見せていないことも事実であり、いましばらくはもみ合いを続ける公算が大きいと見られる。
 結果的に21日線が強い上値抵抗として機能した場合は、再び1.2150ドル処を試し、同水準をクリアに下抜けると1.2100ドル処まで下押す可能性が高いと見る。逆に21日線を明確に上抜けた場合には、1月6日高値から18日安値までの下げに対する61.8%戻し=1.2235ドル処から1.2250ドル処を試すと見ておきたい。 
(01月25日 08:35)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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