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第745回 米債利回りの一段の上昇を背景にドルは強含み

2021年02月15日

 先週末12日のNY債券市場で、米10年債利回りは1.2%台、米30年債利回りは2.0%台に乗せる動きとなった。結果、2-10年債の利回り格差は一段とスティープ化が加速しており、それだけ米追加経済対策の実施に伴う景気回復期待とインフレへの懸念が市場には根強くあるといった実情を浮き彫りにしている。
 むろん、その背景には前回更新分の本欄でも触れた「ワクチン」の存在がある。目下のところ、米国では一部地域でワクチンの在庫不足が発生してはいるものの、コロナの新規感染者数は目に見えて大きく減少している。
 ワクチン普及に向けて、薬局やスーパーなど小売店での接種も始まっており、なおも在庫や流通の問題があるとはいえ、少なくともユーロ圏諸国や日本などに比べれば遥かに速いペースでワクチンの拡大が着実に進んでいる。言うまでもなく、それだけ社会が日常を取り戻すタイミングも米国は早いと考えることができ、そうした要素が為替市場における価格形成のメカニズムに影響を及ぼさないはずはない。

 聞くところによると、欧州連合(EU)主要国のワクチン接種率は英米の4分の1程度に留まっているという。そして、なおもEUはワクチンの生産面におけるボトルネックの問題を完全には解消できていない。そのぶん、今後の景気回復のタイミングについても英米に大いに後れを取ると懸念されている。
 市場の一部では「いずれは欧州も周回遅れで回復軌道に乗るわけで、ゆえに景気循環通貨に位置付けられるユーロは買われやすい」などという理屈も聞かれるが、普通に考えれば正面切ってユーロをガンガン買い上げようという気にはなり難い。
 そんななか、ユーロ/ドルは2月初旬に一時試した一目均衡表の日足「雲」下限の水準から切り返して、先週9日には再び21日線を上抜けるやや強含みの動きに転じた。とはいえ、当面の上値余地は自ずと限られるものと見られる。先週10日、欧州委員会は2021年のユーロ圏成長率予想を従来の4.2%から3.8%に下方修正したが、やはりその根拠はワクチン拡大のスピードに対する懸念にあったということも見逃せない。
 当面、ユーロ/ドルの1.2150ドル処は一つの節目として意識されやすく、同水準をクリアに上抜けることができないようであれば、再び日足「雲」下限水準を試すことになると見る。さらに、同水準をも下抜けた場合には、次に昨年11月安値から今年1月高値までの上昇に対する61.8%押し=1.1888ドル処が視野に入ってくる可能性もあると見る。

 ちなみに、EUで最後にワクチンの接種が行われるようになったのはオランダで、最初の一人が接種を受けたのは1月6日のことであった。翻って、日本では今週あたりからようやく接種が始められる見通しと伝わっている。
 もはや言葉もない。個人的には、このような状況にあってもなお円を積極的に買い進もうとする向きの気が知れない。もちろん、国内メーカー製のワクチンに世界中からのオーダーが引きも切らないなどという夢のような話でもあるのなら別だが…。
 前回も述べたように、ドル/円は2月初旬に200日移動平均線(200日線)を一時上抜けるも、結局は同線にまともに押し戻される格好となり、先週10日には一時的にも105.50円処を下抜ける場面もあった。
 とはいえ、実のところ同日には21日移動平均線が89日移動平均線(89日線)を上抜けるゴールデンクロス(いまだ89日線は下向き)が示現しており、基本的に底堅い印象であることに変わりはない。また、日足の遅行線が日足「雲」上限の水準で下支えされる格好となっている点も、実は地味ながら見逃せない。
 いずれ再び200日線を試す可能性は高いと見られ、仮に同線を上抜けた場合、昨年のコロナ・ショック後につけた高値から直近安値までの下げに対する38.2%戻し=106.07円が次の上値の目安の一つになると見ておきたい。     
(02月15日 07:30)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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