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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第768回 方向感に乏しい展開続くがドルの一段の下値は攻めにくい

2021年08月02日

 先週27-28日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明内容とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見内容は、タカ派とハト派の間のバランスを見事に取っていたとの印象が強く、市場に特段の手掛かりを与えるものとはならなかった。
 もっとも、それは「FRBの政策手腕の巧みさが光った」というより、目の前の情勢があまりにも複雑になってきていることから「容易に政策の方向性を定めることも示すこともできない」という“現実”を反映していたようにも思われる。なにしろ、足元でデルタ株が猛威を振っている状況にあって、あろうことか近頃は「ワクチンブレークスルー(突破)型」の感染も増えているというのである。今後の行方については、その道の専門家であっても確たることは言えない状況にあると言えよう。

 その一方で、日々発表が相次いでいる米主要企業の4-6月期決算の結果が全体に好調であることも見逃せない。先週末までにS&P500企業の約半分が決算発表を終え、そのうち事前の市場予想を上回る好調な結果を発表した割合は90%以上に上った。
 また、先週末30日に発表された6月の米個人所得・支出のデータや7月のシカゴ購買部協会景気指数、同ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などは、いずれも事前の予想を上回る強めの結果を示していた。
 個々の指標結果に対する市場の反応は限られたものとなったが、米国景気が着実に回復歩調を辿り続けていることに間違いはない。それはいずれ必ずFRBの政策の方向性の変化へとつながって行き、あらためて市場でドル買い材料視されることになると思われる。

 翻って日本では、先週末30日に政府が新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を6都道府県に拡大することを決定し、決定の発表・報道がなされる前の時間帯に取引が行われていた日本株も大きく値を下げた。当然、市場のムードはリスク回避的なものとなり、東京時間帯のドル/円の上値は重いままとなった。
 NY時間帯に入るとドル/円は買い戻しが優勢となったが、それは月末の持ち高調整によるところもあったと思われる。いずれにしても、基本的に当面の方向感は極めて見出しにくい。とはいえ、下値を積極的に攻めるといったムードではないことも事実である。
 そもそも、先週27日以降のドル/円の下げは23、26日に一旦上抜けかかっていた21日移動平均線(21日線)を再び下抜けたことに対する失望感からの見切り売りによるところが小さくなかった。ただ、売り一巡後は一目均衡表の日足「雲」下限に改めてサポートされる格好で切り返しており、今週米国で発表が相次ぐ重要指標の結果次第ではドル買いの勢いが復活する可能性も十分あると見る。
 ことに、6日に発表される7月の米雇用統計に関しては、やはり「6月から7月にかけて多くの州で失業保険の上乗せ給付措置が終了したことに伴い、求職活動再開の動きが雇用者数の大幅な増加につながっているかどうか」という点が興味深い。結果的に非農業部門雇用者数(NFP)の増加が市場予想を大きく上回ってくるようなら、あらためてドル/円が110円台半ばあたりまで目先的にも値を戻す可能性はあると見る。

 一方のユーロ/ドルについては、1.1750-60ドル処の節目がサポートする格好で切り返し、ひとまず先週末は次の節目と見られる1.1850-60ドル処まで値を戻した。同水準をクリアに上抜けてくれば、次に1.1950-60ドル処を試す可能性が高いと見るが、上抜けることができなければ再び1.1750-60ドル処まで値を沈めることになろう。
 市場は「FRBがそろそろテーパリングに関わる具体的な議論を開始する」との見方を着実に織り込み始めており、そうした観点からもユーロが主体的に強含んでいるというイメージはない。また、今しばらくは「中国リスク」も気に掛かるところで、やはり当面のユーロ/ドルの行方はドルの行方にかかっていると言えよう。
(08月02日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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