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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第773回 どこも「正常化」に向けて一気に舵を切れないのは同じ…

2021年09月13日

 前回更新分の本欄で、ユーロ/ドルについて「一時1.1900ドル台を回復する場面もあったが、これでひとまず当面の上値の目安に到達し、戻り一巡となる可能性も大いにあろう」と述べた。実際、ユーロ/ドルは一時的にも1.1900ドル台に乗せた後に反落し、徐々に調整色を強めて先週8日には一時1.1800ドル割れ寸前の水準まで値を沈めた。

 先週は7日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催されたわけだが、その結果とラガルド総裁会見の内容が伝わった後、最終的に市場はユーロ売りで反応した。理事会では「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の元での債券購入ペースを緩やかに縮小する方針」が打ち出されたが、全体としては「かなり慎重な姿勢」との印象が強かった。
 振り返ると、8月下旬から9月初旬にかけては複数のECBメンバーからPEPP縮小に前向きな発言が相次いでいた。そのことと実際の結果との間のギャップが強く感じられたことは事実である。また、ラガルド総裁が「PEPP購入ペースの減速はテーパリングではなくて微調整」と発言したことも相応のインパクトとなった。
 言うまでもなくPEPPは「あくまでも『緊急』の対応措置」であり、いずれ段階的に規模が縮小されるのは自明である。そもそも、今年3月以降の購入ペースがかなり速かったことも事実であり、ラガルド総裁が「今回は微調整」と述べたのも、そのペースを元に戻しただけという意味であったと見られる。
 もちろん、デルタ変異株の感染拡大の行方が今のところ見通しづらいということが政策決定の背景にはあるわけだが、それはユーロ圏に関わらず、米国や豪州などでも同様である。実際、先週7日の政策会合で「この9月から債券購入の規模を縮小する方針」を打ち出したオーストラリア準備銀行(RBA)の施策を見ても、その具体的な進め方は多分に緩和的で「ハト派的テーパリング」とでも呼ぶべきものであった。
 こうしたRBAの対応や8月下旬に行われたFRBの年次シンポジウムにおけるパウエル議長の講演内容などから考えても、今回の理事会でECBが金融政策の正常化に向けて一気に舵を切ることは難しいと、事前に市場も冷静に判断していたようだ。やはり、ECBがその舵を切るときは、それ以前に米連邦準備理事会(FRB)やRBAの方が先に動いていると考えるのが妥当であろう。そうであるとするならば、今後もドルや豪ドルに対して「ユーロだけがヤケに強い」といった展開が続くことは想定しにくい。

 先週の段階でユーロ/ドルが62週移動平均線(62週線)の位置まで値を戻し、結局は同線に上値を押さえられる格好となったことも見逃せない。目下の62週線は上向きであるが、数週内には同線を31週移動平均線(31週線)が上から下に突き抜け、いずれは62週線自体が下向きに転じてくる可能性も否定できない。
 また、昨年7月以降に形成していると見られる三尊天井(ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ)が既に完成していると捉えることもできそうである。そうであれば、中期的にはやや大きめに下値余地を見込む必要も生じかねない。当面の下値の目安は8月20日安値からの上昇幅に対する50%押し=1.1785ドル処になると見られ、今そこには一目均衡表(日足)の基準線が位置している。同線をも下抜けた場合には、次に61.8%押し=1.1750ドル処が意識されやすくなると見る。
 一方、ドル/円については8月半ば以降、109.60円処の下値支持が非常に堅い。先週も9日に一時109.62円まで下押したところから反発し、10日には110円近辺まで値を戻す場面があった。同日に発表された8月の米生産者物価指数(PPI)が強めの結果となったことも一因であり、その意味では今週16日に発表される同小売売上高の結果と市場の反応も大いに気になる。むろん、それで来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議論が急にタカ派寄りになるということもないだろう。その意味ではドル/円の上値も自ずと限られるが、110円台半ばあたりまでの戻りはあってもいいと見る。

(09月06日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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