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第793回 ユーロ安・ドル高の基本的な構図は変わりなし

2022年02月21日

 先週の金融相場は、兎にも角にもウクライナ情勢に関して様々に錯綜する情報に振り回されることに終始した。結果、米・日の株式相場は基本的に軟調な展開となり、米10年債利回りも週末にかけて1.91%台まで低下することとなった。
 15日には、ロシア軍が訓練後に一部撤退を開始したと発表したことなどによって、一時的に市場の緊張が和らぐ場面もあったが、その後、ロシアのプーチン大統領が「ウクライナ政府がジェノサイド(集団殺害)を行っている」と語ったり、ウクライナの親ロシア派武装勢力が「政府軍が複数回の砲撃を加えてきた」と主張したりしたことで、あらためて市場の緊張は高まることとなったのである。
 つまりは、ついにロシアによる「偽旗作戦」が本格的に繰り広げられ始めたということになるものと思われるが、たとえこれが「偽旗」であることが明らかになったところで、ロシアが厚顔無恥にも侵攻を開始する恐れがあることは否定できない。
 とりあえず今週後半にはブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相との会談が設定されることになったと伝わっているが、果たしてラブロフ氏は反故にすること前提で声掛けに応じたというのか。仮に会談が実現したところで、問題解決に向けた建設的な議論が戦わされるとは思えないが、いずれにしても市場はしばらく様子見に徹するしかない。

 とまれ、先週もドル/円は一目均衡表の日足「雲」上限の水準に引き続き下値をサポートされる格好となり、週の終値は21日移動平均線(21日線)よりも上方で引けている。
 ウクライナ情勢の緊迫化で市場のリスク回避ムードが一層強まっているわりに、意外なほど底堅く推移しているのは、やはり米連邦準備理事会(FRB)による積極利上げへの期待が根強いこともあるのだろう。
 少し振り返ると、先週15日に発表された1月の米生産者物価指数(PPI)は総合指数で前年比9.7%の伸びとなり、16日に発表された1月の米小売売上高も前月比3.8%増と事前の市場予想(2.0%増)を大幅に上回った。
 いずれもFRBの積極利上げ姿勢を正当化するデータであったと言えるが、ここにきて市場のなかには積極利上げによる景気への悪影響を懸念する向きが増えている模様であることも事実ではある。そのため、FRBが今後打ち出す具体的政策について、それがどのような内容であろうとも「市場の期待には届かない」と見ておくことも必要なのではないかと思うところもある。
 少なくとも、これまで市場があまりに先走ってあらん限りの「タカ派」を目の前に並べては、それを一つ一つすでに織り込んできたことは間違いない。それは「3月に0.5%の利上げ実施」、「年内の利上げは7回」、「最初の利上げ実施後直ちに資産圧縮(QT)実施」などといったものであり、最新は「3月の会合を待たずに緊急利上げ」である。これらのうち一つでも、市場の期待に届かないものがあれば一旦ドルは売られやすくなろう。

 実は、欧州中央銀行(ECB)の政策についても同様のところがあって、やはり市場が過度に高めている期待ほどタカ派に傾斜することはないのだろうと思われてならない。
 つまり、仮にウクライナ問題が収束に向かったとしても、基本的にユーロ安・ドル高の構図に変わりはなく、ドルは対円でも底堅く推移するものと考えられる。
 仮に、ドル/円が前述した日足「雲」上限や21日線のサポートをクリアに下抜けたとしても、日足「雲」下限と89日移動平均線が位置する114.40―50円処というのは、次の下支え役として意識されやすい存在であると思われる。
 一方、ユーロ/ドルは1.1320ドル処での下値サポートが機能するかどうかを見定めながら、仮に同水準を下抜ければ1.1280ドル処まで一層の下押し、同水準をサポートとして反発したなら1.1360ドル処までのリバウンドが生じるものと見ておきたい。

(02月21日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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