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第794回 なおもウクライナ情勢は流動的で油断は禁物

2022年02月28日

 先週24日、ついにロシアは先週24日にウクライナへ侵攻するという暴挙に出た。
 結果、同日のNYダウ平均が一時800ドル超の下げを演じる場面もあったが、最終的には前日終値比+92ドルで引けることとなり、ナスダック総合指数は同3%超の上昇となった。市場には目先の悪材料が一旦出尽くしたとのムードが広がったようだ。
 さらに、翌25日の米株市場では主要3指数がともに大幅高。NYダウ平均は前日終値比834ドル高となり、幅広い銘柄で買い戻す動きが強まった。むろん、それはロシアとウクライナとの間で停戦に向けた協議が行われるとの報道を受けて、事態の収束に向けた期待感が一気に広がったためである。
 実際、ウクライナのゼレンスキー大統領は昨日(27日)、ロシア側交渉団との協議をベラルーシ国境にて前提条件なしで行うと明らかにした、ただ、ロシア側が停戦の条件としてウクライナ側に突き付けると思われる条件は、ウクライナの非武装化やNATO非加盟による中立化など、かなり一方的なものであると考えられることから、ウクライナのゼレンスキー大統領がとてもそのまま条件を受け入れるとも考えにくい。
 ロシアに対する欧米諸国の経済制裁は、ついに「SWIFTと呼ばれる国際的な決済ネットワークからロシアの特定の銀行を締め出す措置を実行することで合意」というところまで強化されようとしているが、それでロシアが欧米諸国からの提案をすんなり受け入れて西側の圧力に屈するぐらいなら、ハナからウクライナ侵攻には踏み切っていないだろう。
 今しばらくはギリギリの駆け引きが続くと見られ、その行方を市場がどのように受け止めることとなるのか見定めて行く必要があろう。なおも、油断は禁物である。

 とまれ、市場では目先の悪材料出尽くし感からか、ウクライナ侵攻が始まった直後に極端に強まった緊張感が徐々に和らいでいるようでもあり、ユーロ/ドルは24日のNY時間入り後に一時1.1100ドル処まで大きく下押す場面があったものの、そこから先週末のNY時間終わりにかけては1.1280ドル近辺まで値を戻すアンワインドの動きが続いた。
 ただ、あろうことかプーチン大統領が核戦力をちらつかせ、対ロ制裁を強化した欧米をけん制する姿勢を露わにし始めているからには、あらためてユーロ/ドルが1.1100ドル処を試す動きとなる可能性も十分にある。実際、週明けのオセアニア市場は1.1120ドル近辺からのスタートとなった。だからといって、ここから、無闇に下値を攻めることだけは避けたい。むしろ、再びアンワインドの動きが生じる局面を待つのが得策ということになろう。また、ポンド/ドルについても同じようなことが言えると考えられ、当面は1.3350ー1.3650ドルのレンジ内の値動きが続くという前提で、レンジ上限での戻り売りとレンジ下限での買い直しを試みたいと個人的には考える。

 一方、ドル/円については前回更新分の本欄で「114.40―50円処というのは、次の下支え役として意識されやすい」と予想した通り、先週24日に一旦114.40円処まで下押したところで底入れ&反発し、週末にかけては115円台半ばの水準まで戻りを試した。
 あのロシアが人命を脅かすような暴挙に出たというある種の緊張感は、久方ぶりに「有事のドル買い」というワードを持ち出すにふさわしい状況とも言える。もちろん、米国で続くインフレ高進への対応の必要性が一層強まっていることも確かであり、先週25日に発表された1月の米個人消費支出やPCEコアデフレーターの結果も米連邦準備制度理事会(FRB)による早期の対応を促すに十分なものであった。
 今週は、パウエルFRB議長が半期に一度の議会証言に臨むこととなっており、当然、その内容は聞き逃せないが、もはや織り込み済みの部分も大いにあると考えられ、むしろ肝心は証言を受けた市場の反応ということになろう。とりあえず、ドル/円については115.50円を軸として115.10-90円のレンジ内での値動きになると想定しておきたい。

(02月28日 07:30)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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