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第796回 ドル/円はレンジを一段切り上げた感が強い

2022年03月14日

 先週のドル/円は、週末にかけて5日続伸して117円台に乗せる展開となった。今年2月高値の116.34円を上抜けるかどうかが一つの焦点となっていたが、結果的に同水準を上抜けてから一段と上値追いの動きが加速した。
 週末11日の日足ローソクは実体部分だけで1円超の値幅を伴う陽線となり、足元でレンジを一段切り上げたとの感が強い。目先は、昨年1月安値と3月高値、9月安値から導き出されるN計算値=117.47円処や、昨年11月24日高値と今年1月4日高値を結ぶ直線の延長線上=「上昇チャネル」上辺の水準(現在は117.60-70円処)が上値を押さえる可能性もあるが、それらの水準を上抜けてくるならば、近く118円台前半の水準が視野に入ってきてもおかしくはないと思われる。

 背景には、一つに今週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を意識した米長期金利の上昇がある。既知のとおり、米10年債利回りは先週10日に一時2.02%まで上昇する場面もあった。同日発表された2月の米消費者物価指数(CPI)が40年ぶりの高い伸びとなったことが一因と見られる。
 今回のFOMCについては、すでに米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が0.25%の利上げ実施を示唆しており、もはや市場の関心は「その次」に移っている。市場には「4月のFOMCで0.5%の大幅利上げもあり得る」と見る向きも少なくはなく、ひとまずはFOMC後に公開される参加メンバーらの金利予想(ドット・プロット)を確認したい。
 むろん、目下のウクライナ情勢を鑑みて参加メンバーらが慎重姿勢を強める可能性もあり、その点はかなり流動的であることも心得ておかねばならない。
 今回のFOMC声明や終了後の議長会見の内容、あるいはドット・プロットの結果次第では、市場が失望の反応を露わにする可能性もないではなく、一旦はドル/円が目先調整の動きを見せる可能性もある。その場合は、あらためて116.34円処を意識した値動きとなる可能性も大いにあると見ておく必要があろう。

 なお、今週はFOMCの翌日に行われる英中銀金融政策委員会(MPC)の内容と、その結果に対する市場の反応からも目が離せない。先週末11日に発表された1月の英月次GDPが事前の想定を大幅に上回る結果となったこともあり、市場では追加利上げ実施の観測が一層強まっている模様である。
 もちろん、ウクライナ危機の影響を考えると、英景気の先行きについて楽観視ばかりもしていられない」。実際、先週のポンド/ドルは週末にかけて昨年12月安値をクリアに下抜ける動きを見せた。先週行われたECB理事会の結果が、市場で「予想外にタカ派的な印象だった」と捉えられていることも足元でポンド安の一因となっており、ますますMPCの結果に対する市場の反応が気になる。

 ユーロ/ドルについては、前回更新分の本欄で「とりあえず次の下値の目安になりやすい1.0800ドル処まで下値を試しに行く可能性までは想定しておきたい」と述べた。実際に先週7に日は一時1.0806ドルまで下押す場面があり、一つの重要な節目に到達したとこともあって、その後は一定の戻りを試す動きとなっている。
 ウクライナ危機がユーロ圏経済に及ぼす悪影響を危惧する声は当然聞かれるのだが、同時にパンデミックから立ち直る動きが一層強まれば、域内経済の成長は維持されると見る向きもあるようで、ここは非常に判断が難しい。
 さしあたり、ユーロ/ドルは1.0950ドルを軸とした1.0800-1.1100ドルのレンジ内での値動きになると見て、比較的短期で押し目買いと戻り売りを仕掛ける算段で臨みたいと個人的には考える。                 

(03月14日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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