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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第802回 今の日本の「実体」を考えれば円安の流れはしばらく続く…

2022年05月02日

 日銀会合前は海外勢を中心に「さすがに、(足元の急激な円安も考量して)多少は手心を加えてきてもいいだろう」と読んでいたフシがあった。それだけに、今回の会合で日銀が出してきた“回答”には多少なりの驚きをおぼえると同時に、日本の経済社会が抱える深刻な“闇”をあらためて思い知る思いがしたのではないだろうか。そうでなければ、もう少しドル/円は129-130円処でもみ合う展開となったはずである。
 それが、実際には130円処をいともあっさりと上抜けて、あっと言う間に131円台乗せである。かなりの勢いでストップロスを巻き込む動きもあったのだろうが、より本質的なところでは「実体に照らせば、今回の日銀の判断には違和感がある」から「実体に照らしたからこそ、日銀は正しい判断を下した」に市場の見方が変わったということなのかもしれない。それほど、サムイ「実体」がそこにあるということ。そうであるならば、まだドル/円の強気トレンド=実需を伴った正しい円安の流れは基本的に続く。

 先週末29日は円安の流れが一服し、ドル/円も一旦130円割れの水準まで下押すこととなったが、それは月末のフロー絡みによるところが大きいと見られる。加えて、日本や中国の大型連休、英国の3連休なども控えていたことから、積み上がっていたドル/円のロングポジションを一旦解消しようとする向きが多かったのも道理と言えよう。
 また、米企業の決算絡みで主要な米株価指数が軒並み大幅下落となったことも見逃せない。週明けの東京市場でも株価が弱含みで推移する公算は大きく、結果、リスク回避の円買いがもう一段進む可能性もあると見られる。ただし、29日の米株安は言うなれば「アマゾン・ショック」であり、一時的なものに留まると見ておく必要もあろう。
 もちろん、米株価にとっても今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果とその後の市場の反応が極めて重要であることは確かである。

 奇しくも、先週29日に発表された1-3月期の「米雇用コスト指数」において賃金が前年度比4.7%上昇し、過去最高を記録した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が3月に「現在の賃金上昇ペースは2%のインフレ目標と整合しない」と述べていたことから考えても、当然、FRBには“積極的な対応”が求められることとなる。
 対する日本の賃金上昇率は、いまだ実質ゼロ%の水準に留まる。まして、諸物価の上昇はこれからが本番となることが想定されている。よく言われるように、消費者物価が上昇しても賃金が上昇しなければ金融政策を引き締め方向に誘導することはできない。「賃金が上がらない理由」が日本の経済社会の深層に潜む構造的問題にあることは明らかで、それが改善に向かわない限り基本円安の流れを変えることは難しい。

 先週末は、円だけでなくユーロやポンとも対ドルで買い戻された。それも月末要因によるものと考えられ、やはり今後もユーロ/ドル、ポンド/ドルは軟調に推移しやすい。
 ユーロ/ドルに至っては、ついにコロナ・ショック時の1.0636ドルをも下抜けてしまった。かくなる上は、もはや2017年1月安値=1.0340ドルを意識せざるを得ない。先週28日には一時1.0471ドルまで下押す場面もあり、むしろ所謂「パリティ」の水準をそろそろ意識し始めなければならないのかもしれない。

(05月02日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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