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第564回 「米利下げ観測」が燻る中で行われる米雇用統計

2019年06月07日

 『現時点での利下げ判断は時期尚早』というウィリアムズNY連銀総裁&カプラン・ダラス連銀総裁の表明で、「米利下げ観測」は一応緩みました。しかし「金利面のドル売り要因」であることは変わっておらず、「米中懸念」「メキシコ懸念」も依然として燻り続けているのが実状です。このため“下げ渋り”こそ見せているものの、“上値が重い”は変わっておらず、現在は“108円前半~半ばで膠着”を強いられています。

 ただ先週記した「逆イールドの過大評価(鵜呑みにはできない)」を鑑みれば、すでに“織り込み済”、ややもすれば“往き過ぎ”である可能性が否めないところがあります。

 「逆イールド」が警戒されるのは『およそ1年後には米景気後退(リセッション)』という過去の傾向があるからですが、その当時に「FRBの米国債大量購入」という事案はありませんでした。つまり現状では「まだ逆転しない(相当差がある)」、仮に景気後退に向かっているとしても「まだ先(少なくとも1年後ではない)」という可能性が残る中、FF金利先物(2020年1月)では“2.4%⇒1.7%(-0.7%)”、米国10年債利回りは“2.7%⇒2.06%(-0.64%)”と、ここ2か月ほどですでに低下しています。本稿執筆時には幾分戻していますが、すでに“2.5~3回分(FRBの1回当り利下げ幅は0.25%が基本)”を織り込んでしまった格好といえます。そうなるとここからさらに「米利下げ観測」を織り込みにかかるのは、いささか無理がある…?

 こうした状況下、本日は米雇用統計が行われます。前哨戦の一つ、ISM製造業PMIは「2016年10月来の低水準(52.1)」であり、ADP雇用統計は「2010年3月来最小(+2.7万人)」と落ち込んだ事実があります。一方でISM非製造業景況指数は「前回および事前予想を上回る堅調(56.9)」さを見せており、構成項目の雇用指数は「製造業/非製造業ともに改善(製造業52.4⇒53.7、非製造業53.7⇒58.1)」という状況といえます。

 「米利下げ観測」が根強いことを考えれば、『下振れへの感応度が高まっている』と考えるのが自然…。つまり予想を下回れば“ドル売り再開”という可能性は高いといわざるを得ないのは事実…。しかし前記「利下げの織り込み度合い」を考えれば、どこまで下値を探れるかは未知数…。逆に予想を上回るもしくは下回ってもたいしたことなければ、“ポジション調整(往き過ぎた円買い・ドル売りの巻き戻し)”となる可能性も…?

 「好悪入り混じる」が基本の中、「米利下げ観測」でにわかに注目度は上がっている今回の米雇用統計。あくまで結果次第ですが、「非農業部門雇用者数(NFP:+18.0万人)/失業率(3.6%)/平均時給(前月比:+0.3%/前年同月比:+3.2%)」からの乖離具合に注目です。


※当コラムは毎週金曜日の更新です(金曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 武市佳史(たけちよしふみ)
    大阪府出身。ファイナンシャル・プランナー(AFP)。 日本におけるFX(外国為替証拠金取引)の草創期より業務に従事。現在ではマネーパートナーズのチーフアナリストとして、為替コラムの執筆やWebセミナーの講師を務めるだけでなく、日経CNBCを始めとする数々のメディアに出演・寄稿している。


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