16日にトルコ中央銀行とSARB(南アフリカ中央銀行)が利下げをしたことに関しては先週も書きましたが、今週は南アフリカにスポットを当ててみたいと思います。
SARBは16日開催の金融政策委員会で政策金利を0.25%引き下げて6.25%とすることを決定しました。金利据え置きが市場予想でしたから利下げは予想外の決定となりました。
経済・物価見通しの下方修正が今回利下げの理由となった可能性があります。
経済成長率に関しては2020年、11月の1.4%から1.2%に、2021年1.7%から1.6%に、2022年2.3%から1.9%にそれぞれ下方修正しました。
インフレ率に関しては2020年は5.1%から4.7%、2021年は4.7%から4.6%、2020年は4.5%に据え置きと、こちらも下方修正が目立ちました。
南アフリカは構造的な問題の解決が急がれますが、慢性的な電力不足による経済の足かせなどにより成長率が低下しており、2019年5月の会合以降は引き下げの方向性を打ち出していました。そして今回の成長率、インフレ率予測の下方修正を受けて利下げとなりましたが、利下げ事態のサプライズはそれほどありません。
問題は今回という時期がサプライズだったわけです。
なぜならば2月に発表される2020~21年度の予算案の発表があります。その予算案の発表までは金融政策を据え置くと市場は予想していたわけです。
なぜこの予算案が重要かというと、南アフリカの格付けにかかわってくるぐらい重要な発表になるからです。
2019年10月に発表された中期財政計画で財政見通しを大幅に下方修正したことで、南アフリカを大手格付け会社では唯一の投資適格に据え置いているムーディーズが格付けを引き下げて投資不適格にするのではないかという懸念が高まりました。
現状では大手格付け会社ではS&P、フィッチが投資不適格にしていますから、ここでムーディーズが投資不適格に引き下げると南アフリカ国債は投資不適格となり、資金流出が加速することになります。
その意味では次回2月の予算案の発表は重要なイベントになります。
予防的な利下げなのかもしれませんが、利下げによって一時ランドは売られましたがその後は反発し利下げの影響は限定的になっています。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
ZAR/JPY1時間足BIDチャート
チャートはランド円の時間足です。利下げ発表直後は7.599円まで下落しましたが翌日には7.672円まで反発しました。
その後は中国での新型肺炎の流行によりリスク回避の流れとなり21日に7.528円まで下落しましたが23日には再び7.671円まで上昇しました。
高値圏の7.67円付近は1月11日下抜けするまでサポートされていたレベルで、1月11日以降はこのレベルがレジスタンスとして機能しています。
7.67円付近を上抜けできれば1月9日の高値7.749円付近への上昇となりそうです。しかし上値は重くレンジ内の動きが予想されます。
その場合は1月21日の安値7.528円、1月8日の安値7.452円付近がサポートとして意識されます。
2月の予算案の発表まではランドの上値は抑えられながらもレンジで推移するのではないかと思われます。
(レンジなどのレートは20日から23日終値を利用しています)