中国の湖北省の省都武漢で感染が拡大した新型コロナウィルスによる肺炎は中国全土に広がり、日本を含む各国に伝播しています。筆者は医学の専門家でありませんから当然詳病気に関する詳しいことは語れませんが、少なくともマーケットに対する影響はしばらくは続くのではないでしょうか。
当然今回の肺炎の電線は中国が一番大きな悪影響を受けるわけですが、中国との地理的、経済的な結びつきが強いアジアの国々がまずは影響を受けます。
しかしドル人民元が0.76%の上昇(ドル高人民元安)にとどまるなかで、ドルトルコリラは0.61%の上昇(ドル高リラ安)、トルコリラ円は0.41%の下落、ドル南アフリカランドは2.57%の上昇(ドル高ランド安)、ランド円は2.15%の下落となり、今週はランドの下落が一番大きくなっています。
一方でドルメキシコペソは0.05%の下落(ドル安ペソ高)となり、ペソ円は0.45%の上昇となっています。
28日に発表された12月のメキシコの貿易収支は12億8300万ドルの黒字となりました。2019年の黒字は61億ドル(2018年は133億ドルの赤字でした)となり1996年以来の大幅な黒字になりました。
12月は輸出は前年比2.1%の減少で4か月連続の減少でしたが、輸入は5.1%の減少となり7か月連続の減少となりました。メキシコは2019年はリセッションとなり、経済減速で輸入が減少したことで貿易黒字が増加しました。
あまり良い質の黒字増加ではありませんが、貿易収支の改善を受けてメキシコペソは買われました。ドルメキシコペソは18.92付近から18.71付近に下落(ペソの上昇)、メキシコペソ円は5.747円から5.827円に上昇しました。
南アフリカランドが肺炎被害の拡大で混乱する中国より下落幅が大聞いというのも不思議なのですが、30日に国営電力会社エスコムが電力供給が厳しいとして夕方に計画停電を実施する可能性を明らかにするなど引き続き経済の減速がランドの下落圧力になっています。
今回の新型肺炎の拡大が沈静化するまでは株式市場は下落圧力がかかり、新興国通貨も上値が重い動きが続くものと思われます。
来週の予定は2月3日のトルコの1月の消費者物価指数、7日のメキシコの1月の消費者物価指数が注目されます。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
MXN/JPY1時間足BIDチャート
チャートはメキシコペソ円の1時間足です。20日に5.9080の高値まで上昇しましたが、28日に5.738円まで下落しました。貿易収支の改善などを受けて5.844円まで上昇しました。その後はリスク回避の流れを受けて5.757円まで下落しましたがニューヨーク市場の終盤にかけて反発して5.801円で終了しています。
短期的には一目均衡表の転換線の5.787円付近がサポートされており、このレベルが維持できれば30日の高値5.844円付近への反発が期待できます。しかし、このレベルは短期的には重要なレジスタンスとなっており、ここが上抜けできないと28日の安値の5.737から5.844円を中心としたレンジが予想されます。
レンジ、終値は27日から30日のニューヨーククローズまでを利用しています