中国で広まったコロナウィルスによるリスク回避の流れを受けて、新興市場は週初まで下落しましたが、その後は反発しました。対ドルではトルコリラが下落、ランド、メキシコペソは上昇しました。対円では3通貨揃って上昇しました。
トルコ中央銀行は1月30日に四半期インフレ報告書を公表しました。注目されているインフレ見通しは2020年末が前年同月比8.2%(10月の報告書8.2%)、2021年末5.4%(同5.4%)2022年末5%と今後3年間でインフレ率の低下を予想しています。
一方で2月3日に発表されたトルコの消費者物価指数は前月比1.35%と前回の0.74%から上昇、前年比も12.15%と前回の11.84%から上昇しました。
2019年10月に8.5%まで低下した消費者物価指数はむしろ上昇しています。
2018年の消費者物価指数は一時24%台まで上昇しましたが、これは通貨危機の影響によりトルコリラが急落し、通貨安を招いたことが原因で物価上昇となりました。
トルコは経常収支の赤字が続いており、このことは通貨安の原因になります。3日に発表された1月の製造業PMIは51.3と2018年3月以来景気の分岐点の50を超えて足元の景気は回復基調です。
しかし景気の回復は輸入の増加による貿易収支の悪化を通じてリラ安の圧力になります。またトルコは欧州からの観光客が多いのですが、冬場は観光客の減少が経常収支の悪化、リラ安の原因になります。
加えて2018年は米国との関係悪化による地政学的リスクの高まりもリラの下落の材料になりました。加えて直近はシリアのアサド政権軍に対する攻撃を行いアサド政権の後ろ盾であるロシアとの関係も影響を受ける可能性があります。
このようにトルコリラは下落の材料が多く、2月19日に予定されているトルコ中央銀行の政策金利発表が注目されます。足元でインフレ率が上昇する中でさらなる利下げを行えば緩和の行き過ぎとなる可能性もありリラ安を招く可能性もあります。
今週の新興市場ではトルコリラ円は1.2%上昇、南アランド円は2.2%上昇、メキシコペソ円は2.5%上昇とリラの上昇が他の通貨と比べ弱い状況でした。
トルコリラは19日の中央銀行の金利発表までは警戒感からリラの上値は重くなるかもしれません。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
TRY/JPY 日足BIDチャート
ドルトルコリラは1ドル=5.9885リラと2019年8月以来のドル高リラ安レベルとなっています。
チャートはリラ円の日足です。
リラ円は1月6日に17.945円の安値まで下落後1月17日に18.823円まで上昇しましたが、2月3日に18.074円まで下落し18.30円付近に反発しています。
18円は2019年8月以来の安値で重要なサポートレベルになっています。ここを下抜けすると17.50円付近への下落リスクがあります。
18.40円付近に一目均衡表の基準線が位置し雲の下限もそのレベルに位置しています。ここが上抜けできれば雲の上限の18.52円付近への上昇が予想されます。一方で18.40円が抜けなければ18~18.40円のレンジが予想されます。