【全体相場はリスク選好に】
今週に入り市場はリスク選好の流れになりました。リスク選好という言葉はもう死語になってしまった感じもありますが、今週は久々にオーソドックスなリスク選好の動きになっています。
オーソドックスなリスク選好というのは株高、債券安、円安という動きです。ここに一つ付け加えるとしたらボラティリティの低下です。マーケットの急激な変動でボラティリティは上昇しましたが、マーケットの落ち着きとともにボラティリティは低下してきています。ボラティリティにも様々なものがありますが、ここではVIX指数、VI指数に注目したいと思います。VIX指数は米国の代表的株式指数のSP500の変動率。VI指数は日経平均の変動率です。
VIX指数は3月16日に82.69%まで上昇しましたが、9日には41.67%まで低下しています。VI指数は3月16日に60.86%まで上昇しましたが9日には40.45%まで低下しています。
まだまだ平時と呼ぶにはボラティリティは高いレベルですが、ボラティリティの低下で市場は落ち着きを取り戻しリスク選好の動きになっています。
特に新興国通貨は今週上昇しており、リスク選好の恩恵を受けているといえます。
引き続きボラティリティの低下が続くのか注目しています。
【新興国の景況感は悪化】
最近発表されたトルコ、南アフリカ、メキシコの景況感は当然ですが悪化しています。
3月トルコ製造業PMIは前月の52.4から48.1に低下。3月南アフリカの製造業PMIは前月の44.3から48.1に上昇、3月HSBC全体PMIは48.4から44.5に低下しました。3月メキシコ製造業PMIは前月の50から47.9に低下しました。
全般的に景況感は低下していますが、先進国のサービス業などの数字に比べると景況感の低下は限定的になっています。
この数字が本当に信頼できるのか、あるいは今後さらに悪化していくのかを注視する必要があります。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【トルコリラの予想】
ドルトルコリラは週明けに上昇し8日に1ドル=6.7929リラとドルの高値リラの安値まで上昇しましたが、9日に6.7割れまで下落しています。
ドルトルコリラの最安値は2018年8月の7.1513付近ですが、そのレベルに近づいてきました。
リラ円は2018年8月の安値15.55付近が視野に入るレベルに下落してきました。
リラ円は4月2日の安値15.894がサポートされ今週も16円付近がサポートとして機能しています。
3月25日の高値17.449~15.894円のフィボナッチ・リトレースメント38.2%戻し16.50付近が短期的なターゲットと思われます。
ここが上抜けできれば50%戻しの16.68付近がターゲットになりますが、16円付近を下値固めできるかどうかが重要です。
TRY/JPY1時間足BIDチャート
【南アフリカランドの予想】
ドル南アフリカランドは6日に一時1ドル=19.3472ランドまで上昇しましたが、18ランド割れまで下落しています。
ランド円は6日に5.595円まで下落しましたが一時6.083円まで反発しています。一目均衡表の雲の上限が5.95円、下限が5.9円に位置し、このレベルが重要です。
ここが維持できれば6.137円(3月25日の高値6.47円~5.595円のフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻し)付近への上昇が予想されます。
一方5.9円を下抜けした場合は5.8円への下落が予想されます。
ZAR/JPY1時間足BIDチャート
【メキシコペソの予想】
ドルメキシコペソは6日に1ドル=25.7812ペソまで上昇しペソの安値となりましたが、その後は23.63ペソ付近にペソの上昇となっています。
ペソ円は6日に4.22円まで下落しましたが4.655円まで反発しています。
4.656円は27日の高値4.79円~6日の安値4.22円のレンジのフィボナッチ・リトレースメント76.4%に当たり短期的なレジスタンスになっています。
このレンジの50%戻しの4.505円が短期的なサポートとなり、ここが維持できれば4.8円を目指す展開が予想されます。
MXN/JPY1時間足BIDチャート