3月から4月にかけては先進国の中央銀行は緊急会合を開き矢継ぎ早に金融緩和を行いました。また政府も支援策を取りまとめ財政出動を行い政府と中央銀行の連携によって経済の減速に対処しています。
そのような流れは先進国だけではなく、新興国でも進んでいます。先週はメキシコと、トルコが緊急利下げを行いましたが、それぞれの政策に中心に新興国通貨の材料と予想を行います。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【トルコリラの材料と予測】
先週お伝えしましたが4月22日にトルコ中央銀行は政策金利の1週間物レポレートを予想の0.5%に対して1%の利下げを行い8.75%としました。
トルコの3月のインフレ率は前年同月比11.86%となっており、大幅な利下げを受けて実質金利は-3.11%(政策金利―インフレ率)となりマイナス金利なっています。マイナス金利がトルコ売りにさらに拍車をかけている面があります。
トルコはイスタンブールやアンカラなどの大都市で外出制限が行われていますが感染の状況は好転していません。
トルコは観光地として有名で多くの観光客が訪れますが、今回の感染拡大の状況から観光客は期待することができず、そのことで経常収支がさらに悪化するとともに外貨準備の減少が加速する可能性があります。
トルコの4月10日の外貨準備は889.2億ドルでここ2~3か月で外貨準備の減少が目立ちます。今後も海外の資金の流出と旅行客からの収益が見込めないと外貨不足に陥り為替市場で売り材料になる可能性があります。
ドルトルコリラは先週1ドル=7リラ台まで上昇しましたが今週は若干リラ高で推移しています。7リラ台が天井圏になるのか注目です。
TRY/JPY 1時間足BIDチャート
リラ円は4月29日に15.209円に下落しましたが、15.32付近で推移しています。短期的には戻り高値の15.38付近がレジスタンスになっています。15.20付近がサポートできれば15.20~15.38のレンジ、15.20が下抜けした場合は15円、15.38を上抜けした場合は15.45付近への上昇を予想します。
【メキシコペソの材料と予測】
こちらも先週お伝えしましたが4月21日にメキシコ中央銀行は緊急理事会によって政策金利を0.5%引き下げて6%としました。メキシコの金融、経済状況は当局の想定以上の減速を見せており原油価格の下落などインフレ圧力の低下が利下げを可能にしています。 またメキシコ銀行は10項目の政策パッケージを発表しました。 この政策は、流動性を潤沢に供給する、国債を担保とする資金供給プログラムを創設、適格社債を担保とする資金供給プログラム創設、中小企業、個人向け融資をした銀行に担保を条件に貸し出しプログラムを創設、メキシコ時間外の為替介入の実施。 このように資金を潤沢に供給し経済をサポートするとともに為替介入による通貨の防衛も含まれた広範なプログラムです。 先週は一時1ドル=25.294ペソまでドル高ペソ安となりましたが、今週はドル安ペソ高の流れとなり1ドル=23.645ペソ付近までペソ高が進みました。上昇前のドルの安値23.66、23.20付近が短期的なサポートとなり、ここが下抜けできないと対ドルでのペソ安の流れは継続と思われます。
MXN/JPY 1時間足BIDチャート
ペソ円は4月25日に4.246円まで下落しましたが、4.502円まで反発しました。4月18日の高値4.553円が短期的なレジスタンスとなっており反転下落トレンドになっています。一目均衡表の雲の下限4.4円付近を下抜けして4.38付近まで下落しています。4.246~4.502円の50%戻しが4.375円、61.8%戻しが4.345円となり、このレベルをサポートできれば再度4.5円方向への動きになると思われます。ここが下抜けすると4.25円方向への動きになるでしょう。
【南アフリカランドの材料と予測】
ラマポーザ大統領は4月23日にロックダウンを5月1日に緩和し、一部産業の事業再開を認める方針を示しました。また今週はリスク選好の流れを受けてランドは上昇する局面がありました。
しかし格付け会社ムーディーズは債務の拡大と景気刺激策には懐疑的で格付けに関する懸念は引き続きランドにとっては重しとなっています。
ドルランドは24日に1ドル=19.188ランドまでドル高ランド安が進みました。しかし今週はランド高になり1ドル=18.018ランドまでランド高が進んだ後に18.72ランド付近で推移しています。
ZAR/JPY 1時間足BIDチャート
ランド円は4月23日に5.599円まで下落しましたが、30日には5.921円まで上昇し5.718円付近で推移しています。
ランド円は短期的には5.599円がサポートされましたが、4月6日の安値5.595円に続き5.59台がサポートとして機能しています。
5.921円が天井となり再び5.59~5.92円のレンジでの動きが予想されます。