先週行われたFOMCでは市場の関心は米国経済の弱さに向かいました。パウエルFRB議長が2022年まで現状の低金利を継続すると発言したことで市場は経済の弱さを嫌気し株売り、ドル買い、円高のリスクオフの流れとなりました。5月27日以降ドルインデックスは下落しドル売り、円売り、株高のリスクオンの流れとなりドルインデックスが3月27日のサポート98.27を下抜けするとこの流れが加速し6月10日に95.72までドルは下落しました。
しかし6月10日を境に株価は下落しドルインデックスも97.45まで反発しリスクオフの流れとなっています。
新興国通貨もトルコリラ、南アランド、メキシコペソとも6月10日にドルの安値・それぞれの通貨の高値まで下落した後はドルの上昇・新興国通貨の安値が続いておりドルの高値圏まで上昇しています。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【トルコリラの材料と予測】
リスクオフのドル買い以外にもトルコに対する悪材料が今週は出てきています。
16日にトルコはフランスの批判は容認できないと非難しました。これはフランスがトルコのリビア暫定政権のGNA(国民統一政府)に行っている軍事支援に対して非難していることに反発したものです。
新型コロナウイルス感染症については、トルコでは行動規制を解除しましたが、今週感染の拡大が確認されています。来週は22日に6月消費者信頼感指数、24日に設備稼働率、製造業信頼感指数、25日には政策金利発表が予定されています。
ドルトルコリラは1ドル6.7リラがサポートされ6.86リラまで上昇しています。6.9リラ付近が短期的なレジスタンスになりここが抜けなければ6.7~6.9リラのレンジが予想されます。
TRY/JPY 日足BIDチャート
リラ円は16.239円まで上昇後に15.483円まで下落しています。ここを維持できれば一目の転換線の位置する18.85円のレンジを予想します。15.483円を下抜けした場合は一目の雲の下限の15.25円付近への下落を予想します。
【南アフリカランドの材料と予測】
南アフリカでは6月18日の時点で80412人の感染が確認されており、今後冬に向けて感染者が増加すれば再びロックダウンの可能性もあります。
来週は6月23日に失業率、6月24日に消費者物価指数の発表があり注目されます。
ドルランドは6月10日に16.3319ランドまで下落しランドは高値となりましたが、その後反発し17.51ランドまで上昇しランド安となっています。
ZAR/JPY 日足BIDチャート
ランド円は6月10日に6.554円と高値をつけた後は6.093円まで下落しています。6.36円に一目の転換線が位置しレジスタンスになっています。6.12円に一目基準線6.07円が上昇前の安値となり6.12円を下抜けした場合は6.07円への下落が予想されます。6.07円付近がサポートできれば6.07~6.36円のレンジが予想されます。
6.07円を下抜けした場合は下落が加速し6円付近への下落が予想されます。
【メキシコペソの材料と予測】
11日にメキシコ中央銀行は経済と金融システムの見通しは悪化したと金融安定報告で述べました。メキシコ中央銀行は利下げと金融システム向けのサポートを行っていますが、政府の財政支援がGDPの1%に満たず、この数字が不十分と評価しています。
11日に発表された4月の鉱工業生産は29.3%の減少と予想の20%減少を大きく下回りました。これらの数字を受けて7月に発表される第2四半期のGDPは大きく悪化することが予想されています。
来週は23日に失業率、24日にCPI、25日に小売売上高、26日に政策金利発表があり注目されます。
ドルメキシコペソは9日に21.4632までドル安ペソ高になりましたが、その後反発し22.9472ペソまでドル高ペソ安になっています。22.94付近に一目の基準線が位置しておりここが短期的なレジスタンスになっています。
MXN/JPY 日足BIDチャート
ペソ円は8日に5.103円まで上昇後に12日に4.64円まで下落しています。
ペソ円は前回安値の4.64円がサポートされ4.64~4.9円のレンジに推移しています。メキシコペソが他の新興国通貨と比べて下げ止まっているのは原油価格が高止まりしていることも影響しているのかもしれません。原油価格が維持されればペソ円も4.64~4.9円のレンジが継続するものと思われます。