先進国の中央銀行が軒並み政策金利をゼロ近辺かマイナス圏に低下させた中で特にドルの下落が目立っています。米国の政策金利は0~0.25%です。FRBは資産買入で資金を市場に投入しています。
また米国政府は感染拡大に対する経済政策として3月に2.2兆ドルの景気対策を成立させました。金融政策、財政政策ともに拡張的であり、これを受けて将来の予想インフレ率が上昇することで米国は実質金利マイナスになったことがドル売りにつながりにユーロ買い、オセアニア買い、ゴールド買い、ビットコイン買いとなっています。
ドル売りの恩恵は一部の新興国通貨でも新興国通貨の上昇という恩恵がありましたが、今週後半になりその恩恵は薄れてきており新興国通貨は軟調に推移しています。
またドル円が24日から下落し一時104.77付近まで下落したことで対円では新興国通貨の下落が目立っています。
新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【南アフリカランドの動き】
今週のドルランドは16.6627オープン、16.9023クローズで1.44%の上昇、ランド円は6.326円オープン、6.217円クローズで0.35%の下落となりました。
23日に南アフリカ中央銀行は政策金利を予想通り0.25%引き下げて3.5%としました。実質金利の低下とコロナの感染拡大に対して経済を刺激するための利下げでした。
27日にIMFは理事会を開き南アフリカに対する43億ドルの融資を決定しました。
ドルランドは16.3260付近がサポートとなり、16.78付近まで上昇しています。16.32付近がサポートとされればややランド安となり16.32~17.05のレンジが予想されます。
ZAR/JPY 日足BIDチャート
ランド円は22日に6.54円まで上昇しましたが、その後は下落トレンドとなっており6.203円まで下落しています。この付近に一目均衡表の雲の上限が位置し、ここがサポートされれば6.2~6.42円、下抜けした場合は一目均衡表の雲の下限が位置する6.08円付近への下落を予想します。
7月31日に貿易収支、8月3日に製造業PMI、国内自動車販売、5日に総合PMI、7日に外貨準備の発表があります。
【トルコリラの動き】
今週のドルリラは6.8455オープン、6.99クローズで2.11%の上昇、リラ円は15.468円オープン、15.018円クローズで2.91%の下落となりました。
ここまでトルコリラは無風状態が続き小動きになっていました。トルコがキプロスの領海付近でガスの掘削をしていることに対してEUが制裁を加えるという思惑からリラ売りが再燃しました。制裁はハイレベル協議の停止や来年のトルコ向け資金支援の停止といったものです。
これに対してトルコは反発しましたが、米国もガス掘削の停止要請ということでトルコは掘削を一旦停止すことを発表しました。
29日にトルコ中銀はインフレ報告書を発表し2020年末のインフレ予測を前回の7.4%から8.9%に、2021年末のインフレ予測を前回の5.4%から6.2%に引き上げました。
23日のトルコ中銀の政策金利発表では予想通り8.25%に据え置きました。声明では年末のインフレが上向いていることが原因としました。インフレリポートでインフレレの上昇が確認されたことで次回以降のトルコ中銀の利上げ期待が高まる可能性があります。
ドルトルコリラはレジスタンスになっていた6.88を上抜けして節目の7を完全に上抜けすると7.05付近への上昇を予想します。
TRY/JPY 日足BIDチャート
リラ円はサポートしていた15.40付近を下抜けして15円付近で推移しています。15円付近がサポートされれば15~15.40のレンジ、下抜けした場合は5月7日の安値14.61を目指す動きになるでしょう。
8月4日は消費者物価指数の発表があり注目されます。また製造業PMIの発表もあります。
【メキシコペソの動き】
今週のドルメキシコ22.2884オープン、22.21クローズで0.35%の下落、ペソ円は4.745円オープン、4.737円クローズで0.17%の下落となっています。
23日に格付け会社S&Pは国営石油会社ペメックスや国営電力会社CFEの債務の増加が止まらなければ投資適格を維持できない恐れがあると警告しました。S&Pの担当者によるとメキシコの債務はGDPの47%だが、ペメックスとCFEの債務を合わせると60%近くとなり投資適格の維持が難しくなると指摘しました。
昨日発表されたメキシコの第2四半期のGDPは前期比年率-18.9%となり前回の-1.4%から大幅に悪化しましたが予想の-19.5%は上回りました。
ドルメキシコペソはサポートされていた22.25ペソ付近を下抜けして21.849付近まで下落しています。ドル売りの流れを受けてペソも対ドルではやや堅調に推移しています。
21.25付近が上抜けしなければ21.50~22.25のレンジを予想します。
MXN/JPY 1時間足BIDチャート
ペソ円は一目均衡表の雲の下限が4.68~上限が4.825に位置しており、ここ2週間ほどはほぼそのレンジで推移しています。ドル円でドル安円高となっていますが、ドルメキシコペソも堅調に推移しているためにペソ円は狭いんレンジでの動きになっており、引き続きこのレンジ内の動きが予想されます。
8月3日に製造業PMI、6日に設備投資の発表があります。
※チャートは日足ベースでレンジを含め昨晩深夜までの動きとなります。