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YEN蔵の外国為替見聞録

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前半はリスクオン、後半はリスクオフ

2020年08月21日

週前半のマーケットは米長期金利の低下、ドル安、株高でリスクオンの流れとなりました。19日に7月のFOMC議事要旨が発表されYCC(イールドカーブコントロール)の導入に否定的な意見が出ていたことがわかると米長期金利上昇、ドル高、株安のリスクオフの流れとなりました。
新興市場通貨ではまちまちでドルトルコリラ、ドルランドは週を通じで下落しましたがメキシコペソは上昇しました。対円ではいずれの通貨でも円高が進みました。


新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント


【メキシコペソの材料と予測】

今週のドルメキシコペソは21.967オープン、22.1896クローズで1.01%の上昇、ペソ円は4.851円オープン、4.773円クローズで1.61%の下落となりました。
先週書きましたがメキシコ中央銀行は8月13日に開催した金融政策理事会で予想通り政策金利を0.5%引き下げて4.5%にすることを決定しました。今回の声明文においてインフレ率に言及する部分がありました。「先行きについて利用可能な余地はインフレの見通しとその期待に影響を及ぼす要因」」という部分がありました。
7月のメキシコのインフレ率は前年同月比3.62%と6月の3.33%から上昇しました。コアインフレ率も3.85%と3.71%から上昇しました。原油価格が急落から上昇に転じたことや、6月以降の社会措置緩和が物価上昇に影響を与えました。メキシコ中銀はコロナの影響で今後のインフレ率の見通しが不透明になっているという観測を強め、これまでの利下げ観測をややニュートラルに戻した可能性があります。
利下げスタンスがニュートラルに戻ったのであれば、メキシコペソにとってはサポート材料になりますが、今後のコロナ感染の行方次第の部分なので不透明感があり、今後のメキシコ中央銀行のスタンスに注目が集まります。
ドルメキシコペソは22.38に一目均衡表の基準線、22.532に雲の下限が位置し、ここがレジスタンスとなっています。引き続き21.85~22.53のレンジを予想します。

MXN/JPY 日足BIDチャート

ペソ円は4.857円まで上昇しましたが7月6日の高値付近が再度レジスタンスになっています。一方で一目均衡表の基準線が位置する4.74円付近が短期的なサポートとなり、ここがサポートされれば4.74~4.85のレンジ、ここが下抜けした場合は一目均衡表の雲の下限が位置する4.71円付近への下落を予想します。


【南アランドの材料と予測】

今種の南アランドは17.3727オープン、17.3258クローズで0.27%の下落、ランド円は6.116円オープン、6.109円クローズで0.11%の下落となりました。
17日にラマポーザ大統領はコロナ対策の規制の全面解除を発表しました。この措置を受けてランド高の流れとなっています。
ドルランドは一目均衡表の転換線が17.51、雲の上限が17.58付近に位置し、ここがレジスタンスとなり一時17.1216まで下落しました。17.06に一目の基準線、16.937に雲の下限が位置し、このレベルがサポートとして機能しており、16.937~17.58のレンジを予想します。

ZAR/JPY 日足BIDチャート

ランド円は6.026円まで下落しましたがこのレベルがサポートされ、6.16円付近がレジスタンスになっています。
6.16付近を上抜けできれば一目均衡表の基準線が位置する6.25円付近までの上昇を予想します。
短期的には6.093円付近がサポートされ6.9~6.16円のレンジの動きを予想します。


【トルコリラの材料と予測】

先週のドルトルコリラは7.3699オープン、7.3493クローズで0.28%の下落、リラ円は14.446円オープン、14.413円クローズで0.23%の下落となりました。
20日に発表されたトルコ中央銀行の政策金利は予想通り1週間物レポレートを8.25%、翌日物貸出金利を6.25%、翌日物借入金利を9.75%に据え置きました。
エルドアン大統領の利上げをするなという政治的な圧力に対してトルコ中銀は裏技を使って引き締めを行っていました。政策金利の1週間物レポレートは8.25%に据え置きながら、翌日物貸出金利を9.75%、後期流動性窓口金利を11.25%にしています。トルコ中銀はこの3つの金利を使っていますが、資金供給(マーケットに必要額に応じて)の金利を翌日物貸出金利から後期流動性窓口金利にシフトしており17日も11.25%で100億リラの資金供給を行いました。ここ数週間の引き締めで銀行の資金平均調達コストは7月の7.34%から9.37%まで上昇しています。
中銀は感染拡大の影響でインフレ圧力は次第に軽減する。ただリラ安と信用状況でディスインフレ効果は軽減されるとしながらこれまでの措置の継続を表明しました。
しかし政策金利の利上げを避けてその他の補完的な措置ではマーケットの信頼を得ることは難しく、据え置き決定後のリラは売られる局面もありました。
中銀が今後利上げに動かなければリラの下落は継続しドルリラは短期的には7.2、中期的には7リラ付近がサポートとなり再び7.4を超えるリラ安に向かうものと予想します。

TRY/JPY 日足BIDチャート

リラ円も一目均衡表の基準線が14.88付近に位置し、このレベルが中期的なレジスタンスとなっています。短期的には14.33付近がサポートとなり、ここが維持できれば14.33~14.80のレンジ、14.33付近を下抜けした場合は14.20付近への下落を予想します。


レンジ等は20日深夜まで、チャートは21日に11時過ぎの時間足を利用しています。

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プロフィール

  • 著者近影 YEN蔵(田代岳)(えんぞう(たしろがく))
    投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。 為替を中心に株式、債券、商品、仮想通貨と幅広くマーケットをカバーして、分かりやすい解説を行っている。


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