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YEN蔵の外国為替見聞録

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金融政策の明暗が分かれた新興国通貨

2021年03月26日

新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント


【市場の信頼を裏切ったトルコ】

20日にエルドアン大統領が市場の信頼を裏切りアーバル・トルコ中央銀行総裁を解任して、与党・AKP(公正発展党)元議員のカブジュオール氏を後任に起用しました。カブジュオール氏は高金利は間接的にインフレを高めるとエルドアン大統領と同じ考えの持ち主のようです。
インフレの抑え込みと通貨安定のためにここまで連続利上げを行ってきたアーバル元総裁を更迭したことでトルコの信用は再び崩れ市場はトルコ急落という動きになりました。新総裁がハト派的な持ち主ということも市場の不信感を加速させました。
カブジュオール氏は21日に銀行幹部と電話協議を行い、金融政策をすぐに転換するつもりはないと説明しリラの下落をけん制しました。
23日にトルコリラの翌日物スワップレートは1400%と10年ぶりの水準に上昇しました。

USD/TRY 日足BIDチャート

週明けのドルトルコリラは8.4086リラでスタートし8.4573リラまで上昇し前週から17%の下落となりました。高値の8.4573から7.6935まで下落しましたが、このレベルに一目均衡表の基準線、また2月16日の安値6.8933~8.4573のフィボナッチリトレースメント50%戻しになり重要なサポートとなっています。
カブジュオール総裁は緊急会合は行わない、インフレ率を恒久的に引き下げることを重視すると語ったことで一段のリラの下落は一息ついています。ただ政策決定会合は毎月行われるとしており、来月の会合が注目されそれまではドルリラは高止まりしてリラを弱ぶくむことを予想します。

TRY/JPY 日足BIDチャート

リラ円は12.612円まで下落し、16.3%の下落となりました。その後14.095円まで反発しましたが、14.10付近に一目均衡表の雲の下限、13.936円に50%戻し(15.251~12.612円)一目基準線などが位置しており14円前後がレジスタンスとして機能しています。ここを上抜けできないと12.60~14.10円のレンジを想定します。


【ランドは高値圏にいるが今週はやや下落】

24日に発表された南アフリカの2月の消費者物価指数は前年比2.9%上昇と予想の3.2%、予想の3.1%を下回る弱いものでした。また中銀の目標レンジ3~6%も下回りました。医療や外食など大半の品目でインフレが鈍化しました。
これを受けて25日に南アフリカ中央銀行は政策金利を予想通り3.5%に据え置きました。これで4回連続の据え置きとなりました。過去3回の会合では2名の委員が利下げを支持していましたが今回は全会一致となりました。インフレに対する全体的なリスクは短中期的に均衡しているという見方を示しました。
ハニャホ中銀総裁は景気回復はワクチンの接種と感染状況次第、リスクが顕在しない限り21年のインフレは抑制されており22~23年に目標の中間地点に上昇すると述べました。

USD/ZAR 日足BIDチャート

ドルランドは据え置き発表直後に14.90ランドから15ランドまでややランド売りになりましたが小動きになっています。
17日に14.6048ランドまで下落しましたが、米長期金利の上昇などでドル高の流れもあり14.0197ランドまで上昇しています。
15.0245ランドに一目の雲の上限、15.0528ランドに75日線が位置しており短期的なレジスタンスになっています。このレベルが超えられないと14.60~15.05ランドのレンジを予想します。

ZAR/JPY 日足BIDチャート

18日に7.4円まで上昇したランド円は7.249円付近まで下落しています。週足で見ると上髭を形成しつつあり、7.2円付近を下抜けすれば下落が加速する可能性があります。7.2円付近には7.266円(25日移動平均線)、7211円(一目均衡表の基準線)が位置しており、ここを下抜けすれば7.108円(一目均衡表雲の上限)、7.050(75日線)6.989円(一目均衡表雲の下限)への下落を予想します。

【金利据え置きでややペソ高に】

25日にメキシコ中央銀行は政策金利を予想通り4%に据え置きました。決定が全会一致だったことで、緩和サイクルの終了ではとの見方が出てきています。声明ではコアインフレの動きは直近の四半期報告の見通し若干上回っていると指摘しました。エネルギー価格の上昇の影響は一時的にとどまる、総合インフレとコアインフレ率は2022年第2四半期に目標の3%に向かっていくと指摘しました。

USD/MXN 日足BIDチャート

緩和サイクルの終了との見方で発表直後のドルメキシコペソは20.70ペソ付近から20.5666ペソにドル安ペソ高となりました。その後は20.68ペソ付近で推移しています。ペソ円も5.267円付近から5.297円付近まで上昇後に5.279円付近で推移しています。
メキシコペソは今後緩和サイクルが終了したのかが注目材料になります。ドルメキシコペソは今週の高値20.9547ペソが上抜けしなければ20.27~20.95ペソとややペソ高で推移するのではないかと予想します。

MXN/JPY 日足BIDチャート

ペソ円は5.226円(25日移動平均線)5.21円(一目均衡表雲の上限)5.192円(一目均衡表基準線)5.182円(75日移動平均線)5.165円(一目均衡表雲の下限)が集中しています。このレベルがサポートとされれば5.16~5.36円のレンジを予想します。

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プロフィール

  • 著者近影 YEN蔵(田代岳)(えんぞう(たしろがく))
    投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。 為替を中心に株式、債券、商品、仮想通貨と幅広くマーケットをカバーして、分かりやすい解説を行っている。


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