新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【トルコの信頼性は低下】
30日にカブジュオール・トルコ中銀総裁はインフレ率が低下するまで引き締めが必要だと述べ、自説である高金利がインフレを引き起こすという説を取り下げました。金融政策は15%のインフレに対して実質金利をプラスに保つと述べました。
2月のトルコのインフレ率は15.61%で政策金利は19%です。まさに1月のインフレ率の14.97%から15.61%の上昇したことを受けてアーバル前トルコ中央銀行総裁が政策金利を17%から19%に引き上げたことがエルドアン大統領の逆鱗に触れて解任となりました。
カブジュオール総裁が実質金利をプラスで保とうとするなら利下げ余地はあまりないと思われます。
しかし市場に対するこのリップサービスもあまり効果がなく、市場は中央銀行の中立性に対する不信感からリラは安値圏で推移しています。
USD/TRY 1時間足BIDチャート
ドルトルコリラは30日に8.4477まで上昇しましたが、3月22日の高値8.4573は超えられずに下落しました。株価が上昇する中で新興国通貨も全般的に堅調に推移し、トルコリラも上昇しています。前総裁解任後の高値8.4573~安値7.6762のレンジ継続を予想します。
短期的にはこのレンジの50%戻しの8.0690を下抜けすれば38.2%戻しの7.9754付近への下落を予想します。
TRY/JPY 1時間足BIDチャート
リラ円は12.612円まで下落後14.095円まで上昇しましたが、下落前の高値15.106~安値12.612のフィボナッチ・リトレースメント61.8%が14.155,50%が13.861となりこのレベルの上抜けは難しいのではないかと思われます。
しかし13円付近もサポートとなり13~14.155のレンジを予想します。
【南アフリカ中央銀行は次回以降利上げを示唆するか】
3月25日のSARB(南アフリカ中銀)は予想通り政策金利を3.5%で据え置きました。1月会合では2名の委員が0.25%の利下げを主張していましたが今回は全会一致となったことで政策スタンスが中立に傾いた可能性があります。
声明文では2022年のインフレ見通しを若干引き下げて利上げ時期が後ずれになったのではないかと予想されます。声明文の中ではインフレ見通しの全体的なリスクはバランスしているとして、2023年には目標レンジの3~6%の中に落ち着く見通しを出しています。
次回5月20日の会合で政策金利の引き上げの議論が開始され、最初の利上げは7月22日あるいは9月23日の会合で行われる可能性が高いと思われます。
経済成長に関しては不確実性が残るものの経済成長が安定する中で利上げ見通しはランドにとってはサポート材料になるものと思われます。
USD/ZAR 日足BIDチャート
ドルランドは3月26日に15.0905まで上昇しましたが、その後は下落し4月1日に14.6141まで下落しています。サポートされていた14.85が下抜けし短期的なレジスタンスになっています。
短期的なサポートとしては17日の安値14.6048,そこを抜けると2月24日の安値14.3863がターゲットになります。
ZAR/JPY 週足BIDチャート
ランド円は7.45円がサポートされ7.57円まで上昇し2020年1月以来のレベルに上昇しています。2018年2月の高値9.28円から2020年4月の安値5.595円のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の7円、50%戻しの7.44円を上抜けしています。短期的には7.44円付近がサポートされれば61.8%戻しの7.884円付近への上昇を予想します。
【メキシコ中銀の中立姿勢でペソ高か】
先週も書きましたが3月25日にメキシコ中央銀行は全会一致で据え置きとしました。声明文では直近では減速しているが先行きに関しては外需による成長が見込まれる。インフレ率は目先はこれまでの想定よりも上昇する可能性があるが2022年中盤にはターゲットの3%±1%に落ち着く。そのように短期的なインフレ率の上昇が見込める中で、近い将来の景気回復が見込まれれば、さらに利下げを継続する状況ではないとの判断が全会一致での据え置きとなった可能性があります。
今後の経済状況次第ですがメキシコ中央銀行が利上げに動くとしても今年の後半になると思われます。しかしここまで緩和が続いていいたメキシコ中央銀行が中立姿勢に転換したのであればメキシコペソのサポート材料になるものと思われます。
USD/MXN 日足BIDチャート
3月24日にドルメキシコペソは20.9547まで上昇しましたが、据え置き発表後は20.2663まで下落しています。3月18日の安値20.2725付近が短期のサポートとなっていますが、ここを下抜けすると2月15日の安値19.8824付近への下落を予想します。
20.6105に一目均衡表の転換線、20.9457に基準線が位置し、このレベルがレジスタンスとして機能しています。
MXN/JPY 週足BIDチャート
ペソ円は上昇トレンドが続いています。2020年2月の高値6.008から4月の安値4.22円の50%戻しの5.122円付近には週足一目均衡表の雲の上限も位置し、このレベルが維持され61.8%戻しの5.334円を上抜けして5.449円まで上昇しています。
5.3円付近が短期的なサポートとなり76.4%戻しの5.597円への上昇を予想します。