マネパの豪ドル特集

豪ドル特別コラム

2019/09/18
チーフアナリスト 武市佳史

9月18日|豪10月利下げ観測"強まる。「米FOMC」にも細心の注意が必要か・・・

 サウジアラビア石油相の『月内に石油生産は復旧』発言を背景に、リスク回避姿勢は和らいだ印象があります。一方で昨日のRBA議事要旨は“ハト派寄り”と受け止められ、金利先物を見る限り「豪10月利下げ(25bp)」との思惑は“24%(16日)⇒42%(本稿執筆時)”へと上昇しています。こうして「リスク回避の巻き戻し」から“下支え”されているものの、「ファンダメンタルズ(金利面)」が“上値を重く”しているというのが、豪ドル円を巡る現状といえます。

 こうした状況下、本日は「米FOMC」が予定されています。同じく金利先物を見ると、これまで“100%”を維持してきた「米9月利下げ」の思惑は、ここに来て“51.9%”へと低下しています。代わって「据え置き」との見方が“0.0%⇒48.1%”へと上昇しており、「米金利先安観」は幾分緩みつつあるように見えます。結果は蓋を開けるまでわからないものの、「金利面(金利格差)」から影響を受けやすいのは、やはり豪ドルと考えるのが自然です。

 基本的に「米FOMC」は“米ドル”の動向を巡るイベントですが、その結果を背景にした「米金利先安観の行方」や、そこから派生する(であろう?)「リスク回避姿勢の有無」は、どちらも豪ドル円をも大きく動意づかせる可能性を秘めています。「対岸の火事」と安易に考えずに、「細心の注意」をもって臨んで欲しいところです。


8月20日|「金利先安観」は揺るがず・・・。“手掛けにくい”状況だが・・・?

 前回の当欄で記したように、「金利先安観」に押し潰された豪ドル円は“72.926円”を境に失速しました。その後は「堅調な豪雇用統計(15日)」を機に緩やかに反発し、“72円台”を再び回復する動きも見せてはいますが、「金利先安観」そのものが揺らぐ気配は見られておりません。

本日(20日)公表のRBA議事要旨では、「必要に応じて追加緩和を行う」との方針が示されています。また「非伝統的な金融政策(マイナス金利)も議論された」と、明らかにされています。「具体的な時期の言及」がなかったことが“もう一段の巻き戻し”を誘っていますが、ファンダメンタルズそのものは“何ら変わっていない”ことが示されています。

今週のポイントは「ジャクソンホール(パウエル米FRB議長講演:23日)」と見られるだけに、それまでは“手掛けにくい”展開が想定されるところです。その上で先週進行した“リスク回避の巻き戻し”も入りやすいということになりますが、引き続き“上値は限界有”と見ておくべきかもしれません。冒頭で記した“8/13高値(72.926円)”を明確に越えることができれば、話はまた変わってくるのでしょうが…?


8月14日|「米中通商懸念」後退も、「豪金利先安観」が行く手を阻む。ポイントは明日の「豪雇用統計」

 足元の豪ドル安をけん引した最大の要因が「米中通商懸念」だっただけに、この後退は豪ドル円を“72.926円”へと急伸させました。「ドル円失速」「低調な中国経済指標(小売売上高は今年4月以来の低水準:+7.6%/鉱工業生産は2002年2月以来の低い伸び:+4.8%)」もあり、本日に入ってから押し戻されていますが、“72円台”は何とかキープしています。このため“73円ライン”を突破、“8/2高値(73.157円)”を経て、“7/22~8/7の50%戻し(73.451円)”への一段高を期待する声が高まりつつあるのは、事実です。しかしこの行く手を阻んでいるのが、他ならぬ「豪金利先安観(利下げ観測)」です。

本日発表された「豪ウエストパック消費者信頼感指数(100.0)」は“予想を上回り”、「豪賃金指数(前年比+2.3%)」は“事前予想&前期と同じ”でしたので、“ネガティブ要因”とは捉えられておりません。しかし「豪金利先安観」が後退する気配は、現時点では見られていないのが実状です。

「イタリア政局不安」「アルゼンチン・デフォルト懸念」「香港デモ懸念」等、依然として不透明感は漂っています。また昨日の急伸をけん引した「米中通商懸念の後退」にしても、“このまま合意に至る”との楽観論は少数といわざるを得ません。明日(15日)の「豪雇用統計」を見てからの判断にはなるのでしょうが、今回の動意は“自ずと限界有”と見ておくべきかもしれません。


8月9日|『閑散に売りなし』に望みを託す手もあるが…?

年初来安値(70.739円)”を記録した7日には“長い下ヒゲ”を貯え、翌8日には“陽線”を描いています。テクニカル的には「短期の底打ち感」が示唆された格好であり、事実、本稿執筆時には“底堅い”動きを見せています。

一方で『NZ大幅利下げ(50bp)』は、豪ドルのセンチメントを著しく悪化させました。「米中懸念」も燻り続けていますので、ファンダメンタルズ的には「何ら変わっていない」というのが実状です。このため現時点では「方向感が定まりづらい」といわざるを得ず、いわゆる「膠着」という商状が続いています。

来週は「日本がお盆休み」「欧米もサマーバケーション」というスケジュール感ですので、“流動性の低下”が懸念されるところです。テクニカル的な上値メド(目標)としては“8/6高値(72.711円)”“7/22~8/7の38.2%戻し(72.811円)”辺りが考えられますが、メジャー通貨に比べて元々流動性が乏しいオセアニア通貨としては「仕掛け的な動き」を警戒せずにはおれないところでもあります。

『閑散に売りなし』という格言に一縷の望みを託すという手もありますが、豪ドルでそれを期待するのは…?後は流れ次第ということになりますが、現時点では「その手前(72円半ば)では伸び悩む」と見るのが妥当か…?

8月7日|予想外のNZ大幅利下げが掻き回す。目先は"材料出尽くしからの反発"の期待も、限定的か?

大方の予想通り、豪政策金利は「据え置き(1.00%)」でした。しかし「豪GDP見通しは引き下げ(2.75%⇒2.5%)」られており、声明では「必要とあらば追加利下げを実施」との意向も示されました。決して芳しいとはいえない結果ですが、マーケットはそれどころではありませんでした。引っ掻き回したのは『米中通商懸念の浮き沈み(リスク回避/選好)』、そして『予想外のNZ50bp利下げ(1.50%⇒1.00%)』でした。

「中国を為替操作国に指定」にて“71.237円”へ急落した豪ドル円は、その後「人民元安容認の思惑後退」で“72.711円”へと急騰し、終値ベースでは“71.948円”へと静かに押し戻されていきました。しかし「NZ50bp利下げ」を背景にしたNZドル急落から下げ足を強めると、“昨日安値(71.237円)/大台(71.000円)”を相次いで割り込み、“09/7/13安値(70.717円)”水準へ突っ込んだ後、下げ渋りに転じています。

「豪ドルの地合い」が一段と悪化した感があるのは否めず、「米中通商懸念」「リスク回避姿勢」もネガティブに働きやすい面があるのも事実です。しかし金利先物で「豪9月利下げ」の織り込み度を見ると、上昇しているのは“わずか(46.7%⇒66.7%)”であり、しかも発表後から見ると“じりじりと低下”してきているのが実状です。

下値のメドとしては前記“09/7/13安値(70.717円)”がまず上げられ、割り込むと“心理的な節目(70.00円)”が見えてくる格好になります。ただしその間には“09/5/18安値(70.503円)/09/4/30安値(70.265)”が控えています。一方上値のメドは“昨日からの下落の38.2%戻し(71.492円)/同50%戻し(71.725円)/同61.8%戻し(71.958円)”を一つ一つ確認しながらということになります。

「後は流れ次第」ということになりますが、「イメージは下方向」は拭えないものの、「材料出尽くし⇒反発」は十分に考えられる局面といえるかもしれません。あくまでも目先は「自立反発の範囲内」で考えるべきですが…。

8月5日|政策金利予想は据え置きも年内0%台入りは確実か?更なる下振れリスクにも要警戒

「米中懸念」は、中国人民元を“2008年来の1ドル=7元台”へと押しやりました。“リスク回避姿勢⇒円買い”と共に、“中国からの資本流出懸念⇒豪ドル売り”が強まっている格好であり、豪ドル円は“2010/5/21安値(71.842円)”を割り込んでいます。

こうした状況下、明日6日には「豪RBA理事会」が予定されています。事前予想は“据え置き”となっていますが、すでに“過去最低水準(1.00%)”にある豪政策金利の“年内0%台入り”はほぼ確実と見られるだけに、「金利面でのアドバンテージ」はないに等しいのが実状といえます。

テクニカル的には“下げ過ぎの域”に入ったと見られ、“応分の戻り”も入ってしかるべしところではありますが、「中国関連のリスク回避姿勢」のみならず、豪経済のファンダメンタルズも「決して芳しいとはいえない」といった状況が続いています。心理的な節目・70円の大台ライン”の手前にある“2009/4/30安値(70.265円)”を割り込むのは「そう簡単ではない」と見ますが、それでも現時点では「もう一段の下振れリスク」を想定しておくべきか…?

7月31日|CPI発表直後より巻き戻しが目立つも、下値不安の払拭は容易ではない豪ドル

注目の豪CPIは、事前予想を“ 上回り(+1.6%)”ました。特にRBAが重視する豪CPIトリム平均値が“(予想に反して)減速しなかった(+1.6%は前期と同水準)”が大きいと見られ、発表直後より豪ドルは“巻き戻し”が目立っています。

これを見て金利先物では、「豪8月追加利下げ」の確率が“大きく低下(28%⇒8%)”しています。しかし「年内追加利下げ」という観点で見ると、“ほとんど下がっていない(84%⇒81%)”ことが窺えます。これは現在の動きが「あくまで巻き戻しの一環」である可能性を示し、「豪追加利下げ観測」そのものは後退していないと見るのが自然ということになります。

米・欧に比べて“ハト派色が薄い”との認識は否めないだけに、緩やかに“円買い”が進行する場面も見られたのも事実です。
しかしマーケットの関心が「FOMC」へと向かう中、それ以外の動意は“限定されやすく”、「108円半ば~後半の揺れ動き」から外れることはありませんでした。

米・欧を筆頭にして、再び世界は「金融緩和(利下げ含む)」へ舵を切り始めたように見えます。そうした状況下、緩和こそしたものの「米中懸念」はまだ払拭されておらず、ここに来て「合意なきBrexitリスク」も再燃しつつあります。

「直近の下落幅&下落スピード」を考えれば、もしかしたら目先は「もう一段、もう二段の巻き戻し」を期待できる局面といえるかもしれません。それでも「リスク回避ムードは根強い」「下値不安の払拭は容易ではない」ということは、常に頭の片隅に置いておく必要がありそうです。

7月18日|「豪6月雇用統計」は予想下回るも見た目ほど悪くない。しかし、上値は限定的か?

注目の豪6月雇用統計は、失業率は“予想通り(6.2%)”でしたが、新規雇用者数は“事前予想(+9,000人)を大きく下回り(+500人)”ました。ただ内訳を見ると、悪化の主な要因は“非正規雇用(△2.06万人)”にあり、個人消費と相関性が高い“正規雇用は良好(+2.11万人)”という結果でした。これを見たマーケットは「見た目ほど悪くない」との見方が強まり、対円・対ドル共に豪ドル買いが進行しました。

一方、「豪追加利下げ観測(織り込み度)」を金利先物で見ると、昨日から“ほとんど変わっていない(64.0%)”のが実状です。このため“買い戻し”が一巡した後は、再び“伸び悩む”展開も想定されるところです。

テクニカルを見ると、対円は“日足・一目均衡表の雲の下限(本日は75.686円)”に、そして対ドルは“同じく雲の上限(同0.70347ドル)”にぶち当たっています。ここを突破できれば【もう一段の反発(上値追い)】も期待されるところですが、個人的には昨日記した【良くて“上値は限定的”】を地で往く動きのように見えます。

7月17日|明日「豪6月雇用統計」は、事前予想との”乖離具合”がポイント

「米利下げ観測」を背景にした“ドル売り”を基に、豪ドルは堅調な動きを見せています。米ドル/円の上値が重いことから対円の伸びはいまいちですが、対ドルでは0.70ドル半ばへの急反発を演じています。

一方で「豪金利先安観」も根強いものがあります。「年内利下げの確率」を金利先物は“60%超”で織り込んでおり、積極的に豪ドルを買い上がるマーケット環境とはいいづらいところもあります。そうした中での堅調推移ですので、いささか“違和感”を覚えるのも、また事実といえます。

こうした中で明日(18日)には、「豪6月雇用統計」が発表されます。事前予想は“雇用者数:+9,000人” “失業率:5.2%”ですので、まずはこの数値からの“乖離具合”がポイントと見られます。ただ先週発表された「豪6月企業信頼感」「豪7月消費者信頼感」は、豪利下げを行われているにもかかわらず、どちらも“悪化傾向”を示していました。決して芳しい状況とはいえず、これで豪雇用統計だけが好内容になったとしても…?

後は結果次第ですが、個人的には【良くて“上値は限定的”】、【悪ければ“反落”】となる可能性を鑑みつつ、発表の時を迎えたいところです。堅調推移の背景にある「米利下げ観測」の成り行きを、見極めながら…。

7月3日|「75円前半の攻防戦」がくり広げられる豪ドル/円

「25bp利下げ」を行った後も、金利先物は“70%弱”の確率で「年内追加利下げ」を織り込んでいます。このため“上値の重さ”が否めず、“センチメント悪化”も受け入れざるを得ないところがあります。
ただ“6/26来の安値(75.135円)”をつけた後は、緩やかに“下げ渋り”を見せています。“日足・一目均衡表基準線(本日は75.104円)”で支えられた格好になりますので、その下の“20日移動平均線(同75.062円)-心理的な節目(75.00円)”を含め、「75円前半の攻防戦」が目先のポイントということになりそうです。

ただ明日(4日)は「米独立記念日」を控えるスケジュール感であり、この後は「流動性の低下」が懸念されるところです。となれば、「新たなポジション構築」は手控えられやすい…?「50日移動平均線の上抜け失敗」を背景に“上値の重さ”は鮮明ですが、目先は“下げ渋り”を想定しておくべきかもしれませんね。もっとも「あくまで一時的」であり、前記「75円前半の攻防戦」の動向次第ということにもなりますが…。

7月2日|追加利下げも嵐の前の静けさ漂う。RBA総裁発言に注目!

注目のRBA理事会は「25bp利下げ」を実施しました。「2ヶ月連続」「過去最低(1.00%)」という状況でもあり、発表直後に豪ドル円は“75.40円水準”へと急激に値を落としました。しかし“約85%”を金利先物で織り込んでいたことを考えれば「予想通り」の結果であり、すぐに“発表前(75.60円)”を上回る「往って来い」を演じています。
「貿易摩擦に伴う下方リスク、世界的に見て企業投資に影響」「必要とあれば政策金利を調整」という声明は、明らかに“ハト派(条件付きで追加利下げを示唆)”といえます。しかしながら「世界経済見通しは引き続き妥当」「基調インフレ率の中心シナリオ、2020年が2%」という箇所は、決して“ハト派”とはいえません。これが「気迷い」を生じさせ、「動きを複雑」にしている印象があります。
ただ昨日の大陰線(6/10以来の76.277円を付けた後、75.430円に急反落)は、テクニカル的には 「50日移動平均線(昨日は76.112円)の上抜けに失敗」と見るのが自然です。「頭打ち⇒下落トレンド」が再開しかねない状況下、本日夕方(18:30~)には「ロウRBA総裁発言」が行われます。
米国市場休場(独立記念日:4日)に向けて、これからボラティリティは徐々に低下すると見られます。同発言をキッカケに「50日移動平均線を突破(回復)できるか…?」が、目先の豪ドル円を巡るポイントといえるかもしれませんね。


6月28日|「週明けに窓空け」の可能性を鑑み、ポジション管理を

「米金利先安観」に加え、『追加金融緩和が達成できる効果には限界がある』とのロウRBA総裁発言が加わった今週は、幾分「豪利下げ観測が後退」しました。これに「米中首脳会談への期待感」も加わったことで、対円では“74円割れ⇒75.60円(27日)”、そして対ドルでは“0.6830ドル⇒0.70ドルの大台回復”という急反発を見せています。

ただ来週にかけては、注意しておかなければならないリスク(懸念)が“2つ”存在します。1つは今週末に行われる「米中首脳会談」、もう1つは来週2日に予定される「豪RBA政策金利発表」です。

前者のポイントとなるのは、「対中関税第4弾の取り扱い」です。「発動見送り」ともなれば“週明けのギャップアップ(上方向への窓空け)”が期待される反面、「交渉決裂⇒第4弾発動」ともなれば“ギャップダウン(下方向への窓空け)”は避けられないと見られるからです。一方で後者に関しては、「0.25%利下げ」が見込まれ(金利先物ではすでに“75%”を織り込み済)ていますが、前記「利下げに慎重な発言」が跳び出したという事実です。

これまでの経緯や織り込み具合を考えれば、よりインパクトが強いのは「発動見送り」「利下げ見送り」となった場合と考えられます。しかし結果は水物ですので、けっして決め打ちするわけにはいきません。
「期待感」や「思惑」は各々にお持ちでしょうが、まずは「週明けに窓空け」の可能性を鑑みながら、「週末のポジション管理」をしっかりして欲しいところです。

6月19日|「リスク回避姿勢(中東情勢の緊迫化)」に上値を押さえられるなか迎える米FOMC

「米中懸念緩和(米中首脳会談の開催を合意)」を機に、“買い戻し”に転じた豪ドル円でしたが、「リスク回避姿勢(中東情勢の緊迫化)」に上値を押さえられています。このため“戻りが限定”されており、“6/18安値(73.930円)”を底に反発したものの、“本稿執筆時高値(74.768円)”を高値に失速気味となっています。

こうした中、本日は豪ドルの行方を左右しかねない「FOMC(米連邦公開市場委員会)」が予定されています。「米利下げの有無」「ドットチャート(金利見通しの変化)」「『忍耐強く』との声明文言の取り扱い」「パウエル議長の記者会見」等、ポイントはいくつかありますが、要は前のめり気味に織り込んできた米利下げ観測の手前、「どこまでハト派に寄るのか?」、あるいは「思ったほどハト派には寄らないのか?(まさかタカ派に寄ることはないと思いますが…)」の一点に尽きると思います。

仮に「ハト派寄り」と受け止められれば、“金利面からドル売り⇒豪ドルは買い戻し”が活発化する可能性が指摘されます。逆に「ハト派寄りではない」と受け止められると、“ドル買い戻し⇒豪ドルは下げ基調再開”となってもおかしくありません。

昨日のローソク足は「安値圏で描かれた下髭の陽線」であることを考えれば、テクニカル的には“一旦下げ止まり”と見ることが可能…。しかしファンダメンタルズ的には、前記した懸念が…。いずれにしても本日は、今週最大のビッグイベントです。米国イベントですので「豪ドルには直接関係ない」との声もあるでしょうが、「豪ドルの今後を左右する」と見ながら、神経質なマーケットと対峙したいところです。

6月13日|豪ドル下落に拍車の可能性

注目の豪5月雇用統計は「新規雇用者数(+4万2,300人)」が前月および事前予想を大きく上回りましたが、内訳を見ると、そのほとんどが「パートタイム雇用(3万9,800人)」でした。個人消費との連動性が強い「フルタイム雇用はわずか+2,400人」に留まっており、改善と見られた失業率も「横ばい(5.2%)」でした。これを“ネガティブ”と捉えられたマーケットは、豪ドル/円を「6/3安値(74.970円)割れ」へと誘っていきました。

「米利下げ観測(ドル売り)」が燻る中、「リスク回避(円買い)」は落ち着いていますので、「豪追加利下げ観測(豪ドル売り)」のみではそこまで下がっていないのが実状です。しかし金利先物から見た「豪追加利下げの可能性(確率)」は、本稿執筆時点で“7月利下げ:51%⇒72%”“年内あと2回利下げ:57%⇒66%”へと拡大しています。

やや「織り込み過ぎ(往き過ぎ)」の印象もありますが、しかし豪ドル最大の魅力である「金利メリットのさらなる低下」は避けられないと見られます。19日のFOMCにて「米利下げ観測(ドル売り)」が緩んだり、あるいは月末に想定される「米中首脳会談への期待感(リスク選好⇒円売り)」が萎んだりするようなことがあれば…?

目先は「織り込み過ぎを確認しながら…」がテーマと見られますが、新たなポジティブ要因が加わらない限り、「豪ドル下落に拍車」という可能性に関しては、努々忘れないようにしたいところです。


6月12日|上値の重い豪ドル、明日の豪5月雇用統計に注目

実際に“利下げ”が行われたものの、“材料出尽くし”と捉えられたことから、先週の豪ドルは“買い戻し”が目立ちました。しかし「年内2回以上利下げ」の確率を金利先物では“およそ55%”織り込んでいることもあり、今週に入って“上値が重い”を再び強いられつつあります。

明日10時半には、豪5月雇用統計が予定されています。「追加利下げの可能性」をロウRBA(豪準備銀行)総裁が示唆する中、織り込まれているのは前記した“およそ55%”です。仮に雇用統計が弱めとなれば、素直に“もう一段の下値追い”となる可能性が懸念されるところです。

テクニカル的なポイントとなるのは、“6/3安値(74.970円)”…。「失業率(5.1%)」「雇用者数(+1万6000人)」からの乖離具合次第ではありますが、これを割り込むようなことがあると「“年初来安値(1/3安値:72.813円)”まで主だったサポートラインが不在」という実状は、頭の片隅に入れておきたいところです。


6月3日|下落した豪ドル/円と、緩やかに値を戻す豪ドル/米ドル

「トランプ大統領発言(メキシコ関税強化)」を機に、マーケットは“リスク回避⇒円買い”へと傾斜しました。同様に“リスク回避⇒ドル買い”からドル指数は年初来高値を更新していましたが、利益確定売りもあり“次第に失速”したこともあり、先週末は“円買い/ドル売り”が強まり、米ドル/円(USD/JPY)はレンジ下限を割り込んで108円前半へと大きく下落しました。これに引っ張られたのが豪ドル/円(AUD/JPY)であり、75円ラインへ下落していきました。一方で“ドル売り”の影響もあり、豪ドル/米ドル(AUD/USD)は緩やかに値を戻すなど、豪ドル単体としては“マチマチ”という動きとなっています。
こうした中、明日4日は「豪RBA理事会(金融政策決定会合、13:30)」が行われます。金利先物から見た織り込み度は実に“99%”に達していますので、「1.25%への政策金利引き下げ(0.25%)はほぼ確実視」されているのが実状といえます(もしも据え置かれたらば、かなりのポジティブサプライズ…!!!)。
ただしそれを除けば、「トランプ米大統領は豪州への関税賦課を見送り」との報道や、わずかながらも予想を上回った「中国Caixin製造業PMI(50.2)」等、豪ドルを巡る材料はそれほど悲観するものばかりではありません。そうなると今後の利下げ継続は戻り売りを促す要因ではあるものの、“材料出尽くし”と捉えられないか…?
同時に公表される「RBA声明」や、同日発表される「豪小売売上高(10:30)」との合わせ技とはなりますが、ひとまず“リスク回避⇒円買い”も落ち着いてきた感があるだけに…。


5月21日|豪中央銀行の発言と、価格下落を抑えた3つの要因

前回会合ではサプライズ(据え置き)となりましたが、議事要旨では「雇用のさらなる改善なくば、利下げが適切となる可能性高い」「利下げが適切となる可能性が高い2つのシナリオを検討」とされました。最も大きな変更点は「“目先金利変更する強い根拠ない”との文言削除」であり、ロウRBA総裁はその後に「次回(6月)会合で利下げを検討」とも発言しています。“ハト派”であることは疑いようがなく、金利先物ではすでに“68%”まで織り込みつつあります。

もっともこの発表&発言を受けた豪ドルは、対円・対ドルともに下げてはいるものの、現時点でそれほど大きいとはいえません。これは「住宅ローン規制緩和を背景にした豪ドル買い」と「下げ過ぎ感の台頭(オシレータ系テクニカルは軒並み下げ過ぎを示唆)」、そしてとりあえず一服している「米中貿易戦争を巡るリスク回避姿勢」が上げられます。ただ1つ目はこれら発表の前であり、3つ目は“いつ吹き出すかわからない”という懸念を抱えています。

「金利に敏感な通貨」VS「リスク回避/選好に敏感な通貨」の狭間にて、神経質な動きを見せている現在の豪ドル…。「方向感が定まりづらい」が変わったわけではありませんが、想定した通り、やはり「ボラティリティは高まりやすい」という展開には少なくともなりそうですね。

5月17日|「金利に敏感な通貨」である豪ドル

豪ドルが「高金利通貨」と呼ばれたのも今は昔…。2008年には7.25%あった豪政策金利は、2016年8月以降は1.50%で据え置かれ続けています。もちろん日銀政策金利(0.1%)に比べると高いといえますが、段階的に引き上げられた米政策金利(現在は2.25-2.50%)に後れを取る状況では、もはや「高金利通貨」と呼ぶわけにはいきません。
一方で米ドルよりも、現在の豪ドルは注目が集まりつつあります。概ね膠着を続ける前者に比べて、後者のボラティリティが上がっているからです。これは豪ドルを大きく動意づかせる要因がいくつも蠢いているからです。
まず現在、世間を騒がせている「米中貿易戦争懸念」ですが、輸出の3割を中国に依存する豪州(豪ドル)は米国よりも大きな影響を受けると考えるのが、自然です。
またこれに伴い「リスク回避/選好姿勢」が揺れ動いていますが、輸出の6割を石炭や鉄鉱石等に頼る豪州(豪ドル)は、これに敏感に反応しやすい「資源国通貨(リスク通貨)」でもあります。
冒頭で記したように、すでに「高金利通貨」とは呼べない状況ではありますが、それでも「金利に敏感な通貨」であることは変わっておりません。そして“豪金利先安観”が囁かれる中、“据え置き”となったRBA理事会(7日)では一時急騰を示したのは記憶に新しいところです。
こうした中、さらに今週末(18日)は「豪総選挙(下院は全151人、上院は約半数の76人)」が行われます。『選挙は水物』『結果を見るまでわからない』ともいいますが、世論調査では「与・野党は拮抗」「ここにきて野党優勢」と流れています。仮に政権交代ともなれば、週初(20日)オープニングで窓を空ける可能性も考えておく必要があります。
いずれも「先行きが不確か」なものですが、一ついえるのは「動意づく可能性は十分」、そして確実にいえるのは「ボラティリティは高まりやすい」…。各人の見方で方向性は変わってくるでしょうが、今後の豪ドルには要注目です。