マネパの英ポンド特集

英ポンド 特別コラム

2020/07/22
チーフアナリスト 武市佳史

7月22日|こちらの堅調推移は「EU首脳会議」だけではない…!?

 同じく「EU首脳会議」での合意をキッカケに、上値を模索したポンド円。昨日は“136.437円”まで上値を伸ばしています。一方で、その後は“上値の重さ”が鮮明であり、テクニカル的には“上髭”も目立ち始めています。

 「東京市場4連休」を控えるスケジュール感を考えれば、こちらも堅調推移がどこまで続くは微妙といわざるを得ないところです。ただしこちらは「新型コロナワクチン開発(英製薬大手アストラゼネカ+英オックスフォード大)」という、ポンド特有のポジティブ要因がくわわっている事実があります。

 GBPUSDは昨日“200日移動平均線(本日は1.27001ドル)”を突破し、現時点でも維持し続けています。このまま維持し続けることができれば、GBPJPYも“200日移動平均線(同137.629円)”の突破が見えてくる…?利益確定売りが入りやすい日柄ではありますが、こちらは“もう一段の上値追い”を期待したいところです。


7月14日|利益確定売りが誘われただけ…?

 「新型コロナワクチン」を巡る楽観論から、昨日は“巻き戻し”が先行しました。この流れに沿ってドル円は“107円回復”を見せていますが、一方でポンドは対円・対ドルで共に“続落”しています。「ポンド固有の売り材料」が跳び出したという訳ではなさそうですが、ポンドのセンチメントを最も表すユーロ/ポンドが“5営業日ぶり”に“0.90ポンド越え(ポンド売り方向)”を見せているだけに、少々警戒しておく必要があります。

ただ先ほど発表された英経済指標は、GDPが“悪化(予想:+5.5%、結果:+1.8%)”したものの、鉱工業生産は“予想通り(予想・結果共に+6.0%)”、商品貿易収支は“かなりの良化(予想:△82.00億ポンド、結果:△28.05億ポンド)”という内容でした。マチマチではありますが、「緩やかな英景気回復ペース」との懸念を覆すには十分な内容でもあります。

テクニカル的に見ると、ポンド円で“日足の雲割れ(本日の先行スパン下限は134.554円)”が見え隠れしていますが、一方ですぐ下には“6/22~7/9の38.2%押し(134.325円)”と合致する“7/10安値(134.277円)”が控え、さらには“20日/100日/50日移動平均線(133.797-599円)”が並んでいます。これを割り込むとさらに加速する可能性も高まろうかといったところですが、逆に下支えられると…?

神経質な展開は続きそうではありますが、「(昨日の下落は)利益確定売りが誘われた」と見るのが、現時点では妥当なところかもしれません。


7月10日|「分水嶺に急接近中」 - ユーロ/ポンド

 昨日の“リスク回避姿勢”は、めずらしく“円買い”で反応しました。しかもリスク通貨に対するのみならず、ドルに対しても“円買い”が進行しました。この影響にてクロス円は“全面安”の様相を示しており、ユーロ円や豪ドル円は“今週初安値”をそれぞれ割り込みました。一方でポンド円は“押し戻され”こそしていますが、“今週初安値”からは程遠い(およそ50pips)水準にて下げ渋っています。

バルニエEU首席交渉官は昨日、『英国との間には、依然として大きな隔たりあり』と発言しています。これは“ポンドのセンチメント”を悪化させ得る材料といえますが、現時点ではそうは動いておりません。これはポンドのセンチメントを最も的確に表すユーロ/ポンドが、7日に突破した“心理的な節目(0.90ポンド)”を維持し、さらに“下方向(ポンド高)”へと推移していることからも窺えます。

 こうした状況下、来週初(13日)にユーロ/ポンドの日足では「雲のネジレ」が発生します。「転換のシグナル」との見方が存在する反面、「急変動のサイン」との見方も存在する当該「雲のネジレ」…。個人的には「後者(急変動のサイン)」を期待していますが、 いずれにしてもその他通貨と一線を画すポンドにとっても「分水嶺に急接近」との認識は持っておきたいところです。


7月8日|ファンダメンタルズは芳しくないが、テクニカルは…?

 「コロナ感染第2波」「ハード・ブレグジット懸念」等、ファンダメンタルズ面でポンドを押し上げる要因は“皆無”といった状況は続いています。一方で前回記した「ネックライン(6/23高値:133.981円)」を突破したことで、テクニカル面では“下値の堅さ”が顕著になりつつあります。

現時点で特段の進展は見られていない「英国-EU間の交渉(集中協議)」を考えれば、過度の上値期待は禁物といえるかもしれません。しかしポンドのセンチメントを最も的確に反映するユーロ/ポンドを見ると、“日足・一目均衡表基準線&20日移動平均線(0.90202-191ポンド)”を下抜け(ポンド高)ており、ポンド全体を押し上げる要因として機能している印象があります。

ポンド円の次なる上値メドと見られるのは“日足・一目均衡表基準線(同135.744円)”、そして“6/16高値(136.342円)”です。センチメントは揺れ動いて(リスク選好⇔リスク回避)いますが、“もう一段の上値追い”が期待できる局面と見るべきか…?


7月1日|どちらに抜けるか…?

 ジョンソン英首相が公表した『50億ポンドのインフラ投資計画』を背景に、昨日はポンドが“最強通貨”となりました。バルニエEU首席交渉官の『通商合意は可能』『合意に向けて努力している』との発言も“後を押した”印象があり、6/23以来となる“133,950円”まで反発しました。もっともその後は「利益確定売り」等を背景に、“132.979円”へと押し戻されています。  昨日の反発にて、テクニカル的には「ダブルボトム(6/22安値:131.754円-6/29安値:131.946円)」を形成した格好になります。一方で“前記高値(133.950円)”は、「ネックライン(6/23高値:133.981円)」に押し戻された格好になります。

「どちらに抜けるか…?」 が、ポンドの“次なる方向性”を探る上では、極めて重要になってきそうです。


6月30日|「仕掛け的なポンド売り」への懸念は残るが、逆に「急反発リスク」も…?

 いよいよ本日(30日)、「ブレグジットの移行期間」を延長するための申請が“最終日”を迎えます。すでに英政府は「延長申請はしない」と通告し、EU側も「合意」している内容ですので、もしかしたら大したことはないのかもしれません。しかし遅くとも10月末まで(EU27ヶ国全てが批准する手続き等に2ヶ月程度の時間が必要)に「妥協点を見い出す」必要があり、それができなければ「ハード・ブレグジット」が現実のものとなります。「センチメント」は悪化しやすく、「仕掛け的なポンド売り」が発生してもおかしくない状況ともいえます。

しかし英国-EU間の交渉は昨日(29日)からすでに始まっており、それもこれまでの「テレビ会議」ではなく、相手の表情・空気を感じることができる「対面型」に変更されています。こうした中で“下げ渋り”を見せると、「交渉進展」を期待した“ポンド買い”が跳び出してもおかしくありあません。

テクニカルを見ると、対円・対ドル共に“日足・一目均衡表先行スパンの雲上限(本日は131.809円/1.22890ドル)”が迫っています。 “突き抜ければ(潜り込めれば?)”話は変わってきそうですが、そうでなければ…?

 「センチメント」は悪化しやすく、「仕掛け的なポンド売り」への懸念も残りますが、「急反発リスク」が潜んでいることも、頭の片隅に残しておきたいところです。