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第188回 「始まるか、荒鷲の反撃」

2021年05月03日

株式会社マネーパートナーズ ホームページ寄稿
二〇二一年 五月   行天 豊雄

 トランプ時代には予見不能だった米中関係のこれからの姿がバイデン政権四ヶ月でかなり明らかになってきた。それは「歴史を左右する本格的な二大国の抗争」が始まるということである。
 中国の抬頭はもう四十年になるが、五年位前迄の中国の対米政策の基本的姿勢は「米国からより多くをより早く吸収してキャッチアップする」ことであり、そのためには現存の世界秩序を維持することが考えられていた。鄧小平の韜光養晦路線である。
 一方米国の側では、中国が発展して生活水準が向上すれば、必ず自由と人権を求める声が高まり、それは米国を盟主とする民主主義世界の拡大につながると期待されたのである。
 ところが、習近平政権になると事態は急速に進展した。中国が予想以上に躍進し、米国が予想以上に挫折したのだ。
 中国はあっという間に日本を抜いて世界第二の経済大国になり、軍事力、技術力の躍進も目覚ましく、とくにデジタル化は世界のトップを行っている。対外的には、自信と愛国心の高揚を背景に、拡張主義を推し進め、台湾、香港、ウイグル、南シナ海問題について他国の批判に一切耳をかそうとしない。リーマン・ショック後の信用収縮と需要崩壊に対して強烈な金融財政拡大で対応し、コロナ・ウイルスに対しては政府の弾圧的な措置で対応することで、他国と比すれば有効・迅速に対応できた。それがまた共産党独裁による統治体制の正統性を補強しているのである。
 対する米国は悪いことばかりである。減税で株価は上がったが、所得格差は拡がる一方だし、黒人を始めとする人種差別問題が次々と発生する。二〇二〇年の大統領選挙は僅差でバイデンが勝ったが、投票の有効性に対するトランプ側の執拗な抵抗や急進分子の議事堂乱入事件等は米国が誇る民主主義体制の正当性に疑問を投げかけるものであった。要するに、中国からすれば、米国に中国を批判する資格は全くないということである。
 どうも習近平は人一倍こういう文脈での米国観に染まっているようである。彼は経済力や軍事力という物的な領域で中国が米国に匹敵できるようになるのみならず、中国の古代王朝以来の理想である「英邁な君主による独裁」(Enlightened Dictatorship)が米国型の民主主義より優れていると本気で信じているように見える。だから彼はそれを実証するために自分が十五年でも二十年でも指導者の地位に留まることが必要だと考えているのであろう。
 とすれば、これからの米中の競合は単に数字の問題でなく、国としての理念、あるいは文明の衝突とも云うべきものになるのだろう。
 米国はやっとそれに気付いたようである。バイデン政権がオバマ時代の能天気な対中観を捨てて、「米国を再び偉大にする」路線に立ち戻ろうとしているのは当然なのである。
 米国は一九七〇年代以来、自由市場主義、形式的民主主義という      米国モデルが徐々に劣化しているのを看過してきたから、それを急速に修復するのは容易なことではない。国民が危機感を共有することが前提であるし、国内では経済と社会・政治の両面で進めなければならない。国内での努力と並行して、国際的には有志連合を再構築することが不可欠である。
 「英邁な君主の無謬性に依存する」習近平モデルに勝利するのはおそらく「個人の自由と尊厳」であろう。
 世紀のドラマが始まったのかもしれない。二〇四九年の中国建国百周年には答えが出ているだろう。

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プロフィール

  • 著者近影 行天 豊雄(ぎょうてんとよお)
    1931年生まれ。55年東京大学経済学部卒業後、大蔵省に入省。プリンストン大学留学。国際通貨基金、アジア開発銀行に出向、国際金融局長、財務官などを歴任。89年退官後、ハーバード大学、プリンストン大学の客員教授を経て、92年から96年まで東京銀行会長。95年12月に国際通貨研究所初代理事長となる。2016年10月より同研究所の名誉顧問に就任。98年には小渕首相の助言役として内閣特別顧問を努めた。著書には「富の興亡-円とドルの歴史」(東洋経済新報社)など。


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