11月18日の「為替大観」は筆者都合により休刊いたします。
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為替大観

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第409回 ~でこぼこ道路のバンドワゴンに乗る~

2020年11月11日


11月18日の「為替大観」は筆者都合により休刊いたします。
次回更新は11月25日の予定です。



今週初は新型コロナウイルス(以下“コロナ”)に対するワクチン報道で市場の空気(円買いの波)は一変した。発表の途端(日本時間11/9夕方)、ドル円はドル買いに転じ、その後は棒上げ状態、105.65円までドル高となった。上げ幅は2円47銭で、今年3月(3円17銭上昇)以来の大幅なものになった。

これまでは、米ゼロ金利の長期化、米大統領選挙の泥沼化、不透明化を背景に、ドル売り/円買いポジションを積み上げてきた。しかしこの不安を打ち消すような突然のニュースに、瞬時に円買いポジションをひっくり返す行動に出たものだ。反応の大きさは、金相場の急落を見てもその狼狽ぶりがわかる。一日で115ドル/1オンスも暴落、リスクオンの円売り、ドル売り(対他通貨)、金売りとなった。ユーロ、ポンドとも、9月初め以来の高値となり、カナダドルはC$1.2928(1米ドルあたり)と、ほぼ2年ぶりの高値を付けた。

今回の大きな円売りには、伏線があった。これまでの基本的なスタンスは、前記の通りだが、円買いポジションはかなり積み上げられており、彼らはいつ利食いを入れようかと悩み始めた時期であった。ただ、その過程で明らかになったFOMCの声明と雇用統計は、ドル売り円買いの正当性を裏付けるものであった。

FOMC(11/5発表)は現状維持だったが、一方でコロナ感染拡大の経済への悪影響を懸念し、12月会合(12/15-16)での再緩和可能性を匂わせたことで、ゼロ金利長期化の心証を得た。また雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が+63.8万人(予想+60万人、先月改訂後+67.2万人)、失業率は6.9%(予想7.6%、前月7.9%)であった。失業率は、大幅に予想を下回る数字であったが、NFPはいかにも少ない。今年2月をピークに2か月で雇用者は22.2百万人減少したが、その後5月から6か月間で増加したのは12.1百万人、回復率は54.5%しかない。失業保険の新規申請者数も徐々に減少しているとは言え、まだ1週間で75万人もいる(10/31現在、11/5発表)。特に製造業の回復力が弱いことが心配の種だ。

しかし、翌日(11/7夜)、バイデン氏から勝利宣言が出た。そして、週明けにはリスクオンになる(円売り/ドル買い)との予感が市場参加に広がっていった。その上にワクチン報道である。まさに二重にリスクオン要因が重なった。円売りに乗り遅れてはならないと、まさにバンドワゴン状態が出てきたのが、今日までの展開であった。

しかしこのリスクオンの流れはいかにも心もとない。その大きな要因は、すべてトランプ大統領の敗北をあきらめない言動からきている。12月8日までに選挙人が決まらなければ、トランプ大統領の逆転が現実味を帯びてくる。個人的には、アメリカ合衆国の良心にかけても、アメリカ国民がそこまでトランプの行動を正当化するとは考えたくないが、1月20日正午まではトランプ氏は大統領だ。何が起こってもおかしくない。

いつ何時リスクオフに逆戻りするか、わからないので、これまでのように円買いを積み上げていくのでなく、いつでもひっくり返せるよう慎重になると思わるので、一方的に円が強くなっていくことはないと考えている。そこで今年いっぱいのドル円レンジは、103.50円~107.00円と予想する。

今後2週間は、トランプ大統領の決断ひとえにかかっているが、解決までに長期化すると見通すと、一時的に不透明感が再燃する可能性があり、ドル円は103.75~106.25円、またユーロは1.1650~1.1950、対円では123.50 ~126.50円、英ポンド/ドルについては、ブレグジット交渉に進展がみられると期待し1.3150~1.3450と予想する。
(2020/11/11, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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