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第418回 ~米ドルの分水嶺~

2021年01月27日

 本日のFRBパウエル議長の記者会見に注目したい。今回のFOMCでは金利、資産買い入れ額とも現状維持を予想しているが、その分、議長の発言がこれまでとは少しでも違えば、そのインパクトは大きい。その真意を探ろうとする市場の反応が一瞬に膨れ上がってくるはずだ。

 ポイントは、既に市場をざわつかせているが、緩和政策出口を想定させることが出るかどうかだ。具体的な時期を言うことは99.999%ないであろうが、世に中、絶対ということはないので、記者たちの誘導質問に心のうちが透ける言葉や表情が出ないとも限らない。筆者は、その席に居合わせることはできないが、記者会見はFRB等のサイトで生中継されるはずなので、早起きすれば現場の雰囲気を感じることができる。

 それだけ市場の雰囲気は、FOMC待ちの空気が充満している。既に報じられているように、いくつかの地方連銀総裁からテーパリング(緩和縮小)の時期について発言があったことが大きな理由だ。FRB中枢部から否定するようなコメントも出ているが、一旦くすぶり始めた煙はそう簡単には消えない。市場は公式見解より政策当局者のAhead of the curve (先を読む)精神を重視する。筆者はこの市場の奥深さ、しつこさを何度も経験している。

 また、米国10年債利回りが昨年3月以来の1%乗せの動きも、政策変更のシグナルの匂いを敏感にしている。今年初め1月6日に1%を越えて以来、昨日まで1%超を維持している。昨日は1.04%と低下気味だが、イールドカーブもスティープニングして(立ち始めて)おり、将来の金利上昇を見込んできている。

 物価が、目標の2%に達していないことが、ゼロ金利長期化を正当化しているが、ドットチャートは政策金利見通しであり、長期金利にまで及んでいないことにも注意が必要だ。FRBが長期金利の上昇を抑えようとしたければ、日銀の行っているようにフォワードガイダンスを導入することになる。ここももう一つのチェックポイントだ。

 ところで、現在の為替相場は小康状態と言ってよい。年初1月6日にドルインデックスが2年8か月ぶりの89.209とドル安となったが、それ以降は行ったり来たりでドル小戻しの展開。ドル円も同日(1/6)に102.59円の昨年3月以来の円高となったがその後は主に103円台で小動き、過去1週間はわずか60銭余りと、まるで固定相場制に戻ったような狭いレンジであった。ユーロ、スイスフランは、上昇が続いている英ポンドを別にして、カナダドル、豪ドルともに同じような傾向を示している。

 現在のドルの水準は、2018年の春以来の低水準であり、ここからもう一段のドル安となるか、または反転してドルは上昇に転じるか、分水嶺に差し掛かっているとみている。まずはFOMCの結果をまち、正式に上院で承認されたイエレン新・財務長官の下、バイデン政権の国家財政運営に注目していきたい。

 さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は先週と同じ103.20~104.80円を予想。ユーロも同じく、対ドルでは1.2050~1.2250、対円で125.00~127.00円と予想。一方、英ポンドは堅調地合いが続き、1.3600~1.3850と、ドル安/ポンド高を予想する。

(2021/1/27, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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