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為替大観

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第431回 ~BP対SD~

2021年05月12日

 連休明けに金融市場を揺さぶった二つの出来事があるのもかかわらず、ドル円は比較的おとなしい値動きである。しかしグローバルにみると、円がいかに弱いか、が浮き彫りにされてくる。まとめていえば、ドル安・円安で相場が動いていることだ。ユーロなどのほかの通貨は強いのに、なぜ円が弱いのか、そしてこのようなドル円の関係はいつまで続くであろうか。

 その二つの要因とは、先週末発表になった米雇用統計であり、もうひとつは、今週世界的に拡大した株式相場の大幅下落である。前者は米国の景気回復の立ち止まり→成長鈍化→FRBの緩和政策の長期化→米ドル金利の低下と、ドル減価に結びつく。

 では、その米国雇用統計だが、当初100万人の増加と予想されていたNFP(非農業部門雇用者数)が、わずか+26.6万人(前2か月分の改訂を含めると+18.8万人)と、誰もがびっくりした予想外に低い数字。そして昨年4月に14.8%と急増して以来毎月減少していた失業率が、ちょうど1年ぶりに上昇、6.1%になったことも予想外であった。

 米国の雇用者数は、コロナ前の昨年2月152.5百万人に対し、先週末に発表になった4月の雇用者数は 144.3百万人、まだ63.1%の回復率である。本格回復と言えるまでに820万人不足している。この不足数は、パウエルFRB議長も雇用状況を測る重要な指標の一つとして発言している。これらから、この低調な数字の意味するところは大きい。市場としてはよりネガティブに受け取らざるを得なく、ドル売りに結びついた。

 ただ、個人的には、この低調な雇用者数は、今後順調に伸びると考えたほうが良いと考えている。アメリカ国民はバイデン大統領のコロナ対策給付金を3月から受取、4月はそのピークになっているということから判断しているからだ。一部には、失業保険も含めて月3,500ドル程度の支給があるというから、無理して働かなくてもよい状態となっていることも雇用者数が上がらない要因になっているようだ。

 しかし、4月後半からは、季節もよくなり、雇用状況も本格的に改善していることが別の統計から推定できる。それは毎週発表になる、失業保険新規受給者数(イニシャルクレイム)の減少であり、また昨11日に発表なった雇用動態調査(JOLTS)で、求人件数が3月は統計開始以来、過去最高になったこともよいニュースだ。

 そうなると、これを要因とするドルの低下は少なくとも、来月には回復。イニシャルクレイムの数字によっては、その減少幅次第で、より早い時期にドルは上昇に転じるかもしれない。

 しかし年今後6か月から1年を見通すと、話は異なってくる。より構造的な問題としてドル安が議論されてくるからである。そこで参考になるのが、米国市場で話題になっているB・P対S・D論争である。Bはバイデン大統領、PはパウエルFRB議長で、両者は積極的な財政拡大と大規模金融緩和を続けている。一方Sは経済学者のサマーズ氏、Dは前FRBNY総裁のダドリー氏で、財政規律主張で、最悪事態(長いインフレと深いリセッション)への警戒を主張している。筆者はこの議論を深堀しており、今後折に触れて紹介していきたい。

 さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は、108.00~109.50円と予想。ユーロは、対ドルで1.2050~1.2250、対円では131.00~133.00円と予想。一方、英ポンドは、1.3950~1.4250とポンド高と予想する。

(2021/5/12, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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