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為替大観

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第435回 ~バンドワゴンに乗る~

2021年06月09日

 明日から、中央銀行の政策決定会合が開催される。ドル相場が動くきっかけになるかもしれない。今は109円台で上にも下にも明確な方向性が出ない状態が続いている。この会合を受けて、どちらの方向になるかと言えば、―両方-の可能性がある。テーパリングについて、市場の予想(思惑)と中央銀行の判断との差で決まると思うからである。その違いは「材料出尽くしで売り(あるいは「買い」)」となるかで、わからなかったら「材料が出てバンドワゴンに乗る」という手もある。もしテーパリングに関する何のコメントや政策変更がなければ、それも「材料出尽くし」となる。

 銀行別にみると、まず日銀(17-18日)はテーパリングの「テ」の字もないので、筆者は検討の対象から外している。一方で10日の欧州中央銀行(ECB)や15-16日の米連邦準備銀行(FRB)の市場公開委員会(FOMC)は注目度が高い。両者に程度の差こそあれ、これまで出口に向かって議論を始める兆しを示す煙が立っているからである。会合後の声明と共に、同時に発表される経済見通し、物価見通し、そして特にFOMCのドットチャート(委員全員の個人別の金利見通し)が大きな注目ポイントである。

 その第一弾が明日10日のECBであり、もう一つFOMCに向けて重要な判断材料ともなる、米国消費者物価指数(CPI)の発表もある。ウッドショック(木材価格が1年で4倍超上昇、先月に$1,515(1000ボードフィートあたり)に急騰していること)もあり、米国インフレ動向を判断することに一定の影響を与えるからである

 さて、為替市場の特性についておさらいをしておきたい。為替市場では、かなり先を読んでポジションを仕込む動きと、結果を受けて行動する動きが混在している。季節要因と言われる休み前や、期末(特に年末に向かっての11月後半から12月は極端)の時期はともかく、一般的には、相場に賭けるというより、材料が出たときに行動する方が多いとみている。

 一方で、ある程度ドル売りやドル買いで仕込んでおいて、「予想との差」を見たうえで、行動を起こすやり方もある。例えば、先週の雇用統計発表後の動きである。予想は675千人に対し、実数は559千人、過去2か月分の改訂を含めても586千人と予想に及ばなかった。先月の266千人(改訂前)に比べれば2倍以上も多く平均的な数字としてはポジティブに受け取られるが、昨年のパンデミック後の回復状態を考えれば、はるかに物足りない。

 雇用者数がピーク(昨年2月)の152.5百万人に比べると、今年5月は144.9百万人で、今だ760万人不足している。回復率はまだ65.7%である。失業率は5.8%とパンデミック以来最低の水準だが、それ以前の昨年3月は4.4%であり、人種別の失業率を見ても白人が5.1%に対し、黒人は9.1%と、FRBが目指す包摂雇用の点では、雇用環境の改善には道半ばである。そのため、FRBの出口開始が遠のいたとの見方から米金利は低下、買い込んでいた参加者が失望感でドル売りに転じ、再びドル指数は90割れまで下落した。判断材料はこのように広範囲にわたるため、いわゆるニュースの見出し(ヘッドライン)だけですぐ行動を起こすことは危険と考えれば、あとから市場についていくことも一つの方法となる。

 さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は、小幅円高の108.80~110.00円と予想。またユーロは、対ドルでユーロ高の1.2125~1.2275、対円では先週と変わりなく132.50~134.50円と予想。また、英ポンドは先週と同じ、1.4050~1.4300と予想する。

(2021/6/9, 小池正一郎)


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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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