FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

為替大観

最新の記事

第440回 ~数学対FRB~

2021年07月14日

米6月CPIが予想外の上昇となり、米ドル高が進んだ。特別に大幅なドル高、金利高にはならなかったが、それ以上にFRBパウエル議長の「物価上昇は一時的」との評価に対し、「そうではない」との声が高まってきたことに注目しなければならない。
ドル円は、先週久しぶりにリスクオフの表現で、円買いが広がったが、それこそ一時的、中期(89日)線を下回らなかったことで、すぐに反騰、三日連続の日足陽線となり、今朝は110.70円までドルは買われた。
米10年国債金利もCPI発表後に上昇、7/2以来の1.42%へ上昇した。

CPIのヘッドラインは、「前月比+0.9%、前年同月比+5.4%」であったが、細かく内容を見ると、恒常的な上昇傾向がわかってきた。その内容は、
①ヘッドラインはCPI総合の計数だが、過去3か月、6か月の年率換算上昇率は、それぞれ、+9.7%、+7.3%と1980年代初め以来上昇率であること、②コア(エネルギーと食料を除いた上昇率)が、前月比+0.9%と総合指数と同じであること、なお前年同月比は+4.5%と高止まりしている。いわゆる一般消費財等が上昇を続けていることが読み取れる。

また、③別の重要な比較として、パンデミック前の2020/2月の比較でみても上昇傾向は変わらない。総合で+3.7%(年率換算)で、コア指数でも+3.1%(同)たFRBのターゲット2%よりはるかに高い。

また④品目別に見ると、中古車の上昇は10.5%(“前月比”)で、1953年以来最大の上昇率である。年率でなく、前月比であることがより重要だ。2020年2月以来ではほかにも⑤新車価格の上昇も注目である。前月比+2.0%だが、前年同月比では、+5.3%と1981年以来の最大の上昇率で、新車、中古車合わせて、2020年2月以来の上昇率も+23.7%(年率換算)であることも脅威だ。

このように、パウエル議長の固執する「一時的」との根拠が、徐々に薄れてきていることは、近い将来、方針転換を考えられるのでないかとの憶測を呼んでいる、その意味では、今月のFOMC(連邦公開市場委員会)での議論が大きく注目される。先月の会合で、次回(7月)からテーパリングの議論を本格化すると明らかにしているので、なおさら気を付けていかなければならない。今後発表されるPPI(生産者物価)など経済指標に要注意だ.
まさに、このような“数字”が勝つか、パウエル議長の“丹力”が勝つか、興味あるポイントだ

さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は、先週と同じ111円ばさみの110.50~111.50円と予想。またユーロは、対ドルで先週よりドル高/ユーロ安の1.1650~1.1850、対円も円高ユーロ安の129.50~131.50円と予想。ただ、英ポンドは先週と同じ1.3750~1.3950と予想する。

(2021/7/14, 小池正一郎)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産取引業協会

このページの先頭へ