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市場養生訓

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第866回

2021年06月22日

 FEDの金融政策の動向を巡り市場参加者は混乱しているように見える。それは最近の米国の長期金利の変動に反映されている。先週FOMCのメンバーの金利予測が発表されると、利上げ時期が24年から23年へと1年前倒しになったと捉えられた。それで10年国債のイールドは上昇した。短期金利の動向を反映する2年債も上昇した。FEDが従来よりもインフレ懸念を強め、金融緩和の縮小を早める可能性が増したと市場が捉えたからだ。
 その後10年債のイールドは緩んだ。早めの利上げによりインフレ懸念は抑制されるとの見方が広がったからだ。そしてセントルイス連銀の総裁の発言が追い打ちをかけた。利上げはさらに早まり来年後半の可能性を示した。それで長期債のイールドはさらに低下した。
 直近の10年債のイールドは1.49%と少し戻した(上昇した)。この間株式市場は乱高下したが、為替市場ではドル指数が上昇し、現在は少し戻している。先週2%上昇し週初0.5%ほど下落した。
 こうしてみると今回の局面の為替レートへの影響では長期金利よりも短期金利の方が強いように見える。これは妥当なのだろうか。
 ドル金利と為替レート(市場取引の9割が対ドル為替レート)の一般的な関係はよく知られているが、金利と言っても短期金利と長期金利がある。短期金利の代表は政策金利のフェドファンド金利、長期金利の代表は10国債のイールド(金利)だ。金利の変化が為替の需給に変化を与える代表的な例としては、短期金利の場合は、短期の為替ポジションのスワップコストだ。例えばドル金利が上昇すればドル円の為替ポジションの買い持ち越しコストは低下するので、ドル買いのインセンティブになる。長期金利の場合はポートフォリオのフローに影響を与える。ドル金利の上昇はドルの為替レートの採算点が低下するのでドル資産へのシフトのインセンティブを与える。
 そこで今回の局面を見ると、2年債のイールドは上昇しても期近のレートが上昇したわけではない。つまり為替のポジションの持ち越しコストにはほとんど影響はない。一方で長期金利は低下気味だ。となればドルは低下するのが筋だ。
 しかしドルは上昇した。なぜか。為替には実需為替に加えて投機為替がある。貿易や資金取引など実際の取引に絡んで発生する為替取引ではなく、裏付けの取引のない為替差益のみを求めて行う為替取引だ。
 投機取引は実需取引をベースにしながら拡大してきたが、今や為替取引の大半を占めるに至った。投機取引は実需為替の動向や金利などの為替変動要因を指針として売買する。時には誤った判断もする。だがポジションの転換も早い。
 つまり今回の局面でのドル上昇は長期金利の上昇が伴わない限り長く続くトレンドにならない可能性がある。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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