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第732回 バイデン氏優勢の流れならドル/円は一旦下押し!?

2020年11月02日

 中国人民元がひとまず下げ止まった。ドル/人民元は10月21日に一時6.64元処まで下押したものの、28日には一時6.73元処まで値を戻す動きが見られている。一部報道によれば、中国人民銀行が急ピッチな人民元高をけん制し始めているという。
 人民元が下げ止まったのとほぼ同じタイミングでユーロ/ドルが直近高値=1.1881ドルをつけて反落したこととは、まったくの無縁ではないと見られる。むろん、ここにきて米10年債利回りが強含みとなってきており、結果的に米実質金利が上昇している(先週30日時点はマイナス0.835%)ことも、ある程度は関わりがあるだろう。
 さらに、そこには多分に月末要因も絡んでいるものと考えられ、必ずしも目先的なドル買い戻しの動きが持続するとは言いきれない。先週末30日にはドル/円が104.70円処まで値を戻す動きを見せていたが、これも月末のショートカバーが主要因であるものと見られ、このまま一気に105円台に乗せるといったムードでもない。
 ただ、米大統領選の投開票日まで「あと数日」という状況にあって市場全体のムードがリスク回避的になっていることだけは間違いなく、そこにはリスク回避のドル買いという側面も少なからずあるものと思われる。もちろん、同時にリスク回避の円買いという要素もあるのだろうが、そこは前述したとおり米実質金利がやや強含みになっていることでドル買いの方が勝っているとの解釈もできなくはないだろう。

 米大統領選の行方については、すでに色々と報じられているとおり、いわゆる「激戦州」における両候補の攻防が極めて熾烈となっている。
 ことに注目度が高いのは、フロリダ、アリゾナ、テキサスなど、俗にサンベルトと称せられる地域に属する各州。なかでも、10月12日から郵便投票の開票が行われているフロリダ州は他の激戦州よりも先に開票結果が明らかになると見込まれ、まずはフロリダ州の結果を受けて市場の反応は大きく出るものと見られる。トランプ氏は同州を落とすと敗色が濃厚になると見られる。また、過去40年に渡って揺るがぬ共和党支持を貫いてきたテキサス州において、今回まさかのバイデン氏勝利ということにでもなれば、もはや天と地がひっくり返るような大騒ぎとなる可能性が高い。
 市場関係者のなかには「バイデン氏優勢の流れになれば、ドル/円が一時的にも大きく下押す可能性がある」と指摘する向きが少なくない。それは、バイデン氏イコール「増税」で米国経済を冷え込ませるといったイメージがあるからかもしれない。また、バイデン氏が優勢になるとトランプ氏が黙ってはおらず、最終決着までの混とん状態が長引くと懸念されることも円買い材料視されやすい。
 とはいえ、そこで仮に短期筋がドル/円のショート・ポジションを急激に積み上げた場合は、後にそれだけショートカバーの動きも急になりやすい。仮にドル/円が104円処をすんなりと下抜ければ、少なくとも102円あたりまで下押しておかしくないと見る向きも少なくはないが、そうなれば強い巻き戻しの動きがほどなく生じる可能性が高いと見る。

 一方、足下ではユーロ/ドルの調整が顕著なものとなっており、これは多分に欧州でコロナ感染の再拡大に歯止めがからない状態となっていることが大きいと見られる。目下の欧州では、再度の都市封鎖(ロックダウン)に踏み切るところが日増しに増えている状況となっており、その影響が後に大きく出ることは必至である。もはや、欧州中央銀行(ECB)が12月の定例理事会で追加緩和策の実施を決定することは間違いないものと見られ、当面はユーロドルの下値リスクに十分警戒しておくことも必要となろう。
 前回更新分の本欄では「1.1800ドル割れから1.1700ドル処を目安に一旦ショートを振ってみるのも一手」と述べたが、既に1.1700ドル処も下抜けている。今後、仮に9月25日安値=1.1612ドルを明確に下抜けると、そのまま1.1500ドル割れを試に行く可能性も大いにあると考える。
(11月02日 09:10)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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