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第733回 リスク選好でドル売りの流れもそろそろ一服?

2020年11月09日

 先週1週間でNYダウ平均は1800ドル超、日経平均株価は4営業日で1300円超の大幅な上昇となった。米・日株価は、米大統領選の開票状況を横目にしながら、その結果を“いいところ取り”する格好で上値追いの展開を続ける。当然、売り方は厳しい立場に追いやられることとなり、止むを得ず損失限定の買い戻しを余儀なくされていること自体が、さらに株価の上昇を勢いづかせる格好となっているわけである。

 既知のとおり、米大統領選でジョー・バイデン氏の当選が確実になったと伝えられている。連邦議会選の方は下院で民主党の過半数確保がほぼ確実と見られる一方、上院は共和党が過半数を維持すると見る向きが少なくない。上院選については最終決着が来年1月に持ち越される見通しとなっているが、さしあたり市場は共和党が優勢という前提で明日を展望し始めている。
 結果、これまで民主党が主張してきた大型規模での財政出動は難しくなるかもしれないものの、巨大IT企業などを対象とする厳しい規制の導入や増税などの方向性が弱まることへの期待もあり、市場は全体にリスク選好のムードを強めている。
 そもそも、米大統領選というビッグイベントを通過しつつあること自体がリスクオンであるし、仮にトランプ氏が最終的に勝利することになったとしても比較的まとまった規模の財政出動が実施され、景気浮揚効果が期待される点に変わりはない。
 むろん、なおも最終決着までに相当の時間を要する可能性は残されており、暫くの間「ある種の政治的空白が生じることを嫌気する局面が、いずれ訪れる可能性がある」という点には今後も警戒しておくことが求められよう。

 とまれ、足下では全体にリスク選好ムードが色濃くなっており、外為市場ではドル安の傾向が強まり続けている。結果、ドル/円は先週5日に長い陰線を描いて104円処の節目を一気に下抜けることとなり、足下では当面の下値のメドをつけることがなかなか難しい状況となっている。目先は102円前後が一つの目安ということになろうか。
 なお、このドル安の流れは、ユーロ/ドルやポンド/ドルの水準を大きく引き上げることにも貢献しており、ともに10月高値と顔合わせする動きとなっている。もちろん、そこにユーロやポンドの自律的な動きは見られない。
 周知のとおり、ユーロについては「域内でのコロナ感染再拡大に伴い再度のロックダウンを強いられる都市が日増しに増えていること」や「すでに欧州中央銀行(ECB)が12月の定例理事会で確実に追加緩和策の実施を決定すると見られている」ことなどが、いずれ弱気材料視されるようになる可能性が大いにある。つまり、当面の高値は自ずと限られるものとなっておかしくない。やはり、1.1190ドル処は一つの目安となろう。
 また、ポンドについては先週5日の英中銀金融政策委員会(MPC)において資産購入枠の1500億ポンド拡大(予想は1000億ポンド)を決めたことが、本来はネガティブ・サプライズであったはずなのだが、利下げ実施の決定がなかったことと折からのドル安が足下のポンド買いを誘発する格好となっている。とはいえ、今後はマイナス金利導入の観測が市場で強まる可能性もあり、やはり当面の高値は自ずと限られたものになろう。

 米・日の株高についても、そろそろ目先的にスピード警戒感が強まりやすい状況になっていると見られ、一旦調整入りということになれば、ドル安の流れにもひとまず歯止めがかかることとなろう。むろん、今後のトランプ氏の出方によっては、市場のムードが一気にリスク回避的になる可能性もないではない。
 よって、当面はドル安一服&反発の場面が訪れる可能性も大いにあると見て、ユーロ/ドルやポンド/ドルに対しては戻り売り、ドル円に対しては押し目買いで対応するタイミングを見計らいたいと個人的には考える。
(11月09日 08:45)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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