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第734回 「バイデン&ワクチン」でリスク選好ムード拡がる

2020年11月16日

 先週のマーケットは、週初(9日)から「バイデン&ワクチン」で沸いた。
 今月7日、米民主党のジョー・バイデン前副大統領は今回の米大統領選における勝利を宣言した。トランプ米大統領は法廷闘争も辞さない姿勢をいまだ崩していないが、市場は勝敗結果が覆る可能性は低いと見ている模様である。
 一方、米連邦上院議員選を巡っては共和党が主導権を握ると見る向きが大半となっているようで、そうなればバイデン氏が政策方針として掲げてきた増税案やハイテク企業に対する規制強化案などは通りにくくなるとの読みが、米株市場における強気の展開を支援する格好となっている。ただ、最終的に共和党と民主党の獲得議席がともに50対50になった場合は、副大統領の1票で最終決定するとされており、結果的に民主党が上院の主導権を握る可能性もまだ残されているということは押さえておきたい。
 むろん、目下の市場は様々な材料をすべて“いいところ取り”しているようなところがあり、仮に民主党が上下両院を制することになったとしても、仮にトランプ陣営の形勢が逆転することになったとしても、そうした材料を市場が無闇に悪材料視する可能性は低いと見られる。よって、全体のリスク選好ムードは今しばらく持続するだろう。

 とにもかくにも、とりあえず米大統領選というビッグなイベントを通過しつつあること自体が何よりの強気材料。そこに、先週から新型コロナウィウルス向けワクチンの話題が上乗せされる格好となって、一気にリスクマネーの動きが激しくなり始めている。
 結果、先週はNYダウ平均が一時29933ドルまで、日経平均株価が一時2万5587円まで急激に上昇する場面があり、そうした株高の展開が市場全体のムードをリスク選好的にしたことによって、米10年債利回りは一時的にも0.97%まで上昇した。
 米債利回りの急上昇と全体のリスク選好ムードは一旦円安を加速させ、ドル/円を一時105円台半ばの水準まで押し上げたが、その上値は89日移動平均線や一目均衡表の日足「雲」上限がガッチリ押さえた格好。加えて、7月半ば頃から形成されていた下降チャネルの上辺に達したことや、日足の遅行線が日々線の抵抗に押し戻されたこともドル/円の一段の上昇をテクニカルに阻止するような格好となった。
 上昇一服から調整安に転じたドル/円は、先週末にかけて再び105円を割り込む展開となり、ことに13日のロンドン時間からは一本調子の下げとなった。差し当たり、6日安値=103.18円から11日高値=105.68円までの上げに対する半値押しの水準=104.43円処が目先的な下値の目安ということになりそうで、ここは104円台半ばあたりの水準で下げ止まれるかどうかをしっかり見定めたいところである。
 仮に104円台半ばの水準を下抜ければ、再び104円の節目を試す展開になる可能性が高いと見られる。いずれにしても、前述した下降チャネル内での推移が今しばらくは続くとの見立てが基本ということになると見ておきたい。

 なお、前回更新分の本欄ではユーロ/ドルについて「当面の高値は自ずと限られるものとなっておかしくない。やはり、1.1190ドル処は一つの目安」と述べた。実際、先週のユーロ/ドルは9日に一時1.1920ドルまで上値をものの、そこは上ヒゲ部分となって結局のところ同日の日足ロウソクは陰線を描くこととなった。
 市場には、ユーロに対して強気の見方を堅持する向きも少なくないようだが、前回も述べた通り「域内でのコロナ感染再拡大に伴い再度のロックダウンを強いられる都市が日増しに増えていること」や「すでに欧州中央銀行(ECB)が12月の定例理事会で確実に追加緩和策の実施を決定すると見られている」ことなどは、やはり当面の上値の重しになっておかしくない。ただ、仮にワクチンが早期に実用化へと向かえば「その恩恵を最も大きく受けるのは英経済」との見方により、足下でポンドが強含みとなっている点は考慮したうえで相場と向き合うことも必要であろう。
(11月16日 08:40)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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