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第749回 やはり、今週はFOMCと日銀会合の結果を見定めたい

2021年03月15日

 前回更新分の本欄で「米債利回りとドル/円の上げもそろそろ一服?」と述べたが、それは最終的に少々甘い見通しとなってしまった。先週11日の欧米時間までは、想定していたとおり、米国債利回りもドル/円も上げ一服の動きとなっていたのだが、週末12日には再び跳ね上がる動きを見せたのである。
 やはり、バイデン米大統領が提案していた1.9兆ドル規模の新型コロナウィルス経済対策法案が11日に成立したことが何より大きいと言える。ほぼ額面通りに法案が成立したことに加え、バイデン氏が当初の予定より1日前倒しで署名したことも強いインパクトになったと言える。また、バイデン氏が11日にワクチンの普及加速に強い意欲を表したことと、実際に米国の新規感染者数が急激に減少していることも足下の米国債利回りの上昇に一役買っている。
 結果、12日の米10年債利回りは一時1.64%まで上昇する場面があり、それを受けてドル/円も一時109.16円まで上値を試すこととなった。今月4日のウェビナーでパウエルFRB議長が足下の米国債利回り上昇を「静観」する姿勢を見せたこともドルの買い安心感につながっているようだが、果たして今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合を通過した後も、米国債利回りとドル/円の強気トレンドは引き継がれることとなるのだろうか。言うまでもなく、そこが今週最大の注目ポイントとなる。

 実のところ、FRBは3月3日までの1カ月間に中長期債を市場から952億ドル買い入れており、必ずしも米国債利回りの上昇を「容認」しているわけではない。むろん、パウエルFRB議長も先のウェビナーで容認姿勢を露わにしたわけではなく、今回のFOMCであらためて何らかのメッセージを市場に伝えようとする可能性もないではない。FRBの出方次第では、米国債利回りとドル/円の上昇が再び一服する可能性もある。
 また、今回の会合で政策点検の詳細を公表するとしている日銀の出方についても、いまだ予断は許されない。ただ、仮に日銀が具体的な動きを見せた場合、それは円の弱気材料となる可能性が高く、結果的にドル/円の上値余地が拡がることもあり得ると見られる。

 テクニカル分析の観点からは、まず先週9日に一時109.23円までの上値を試しに行ったことで、2015年6月高値(=125.85円)と2020年2月高値(=112.22円)を結ぶ長期レジスタンスラインに抵触する格好となったことが大いに注目される。
 非常に重要な節目であるだけに、同水準が当面の上値の壁として立ちはだかる可能性も十分にある。むろん、逆に同水準をすんなりと上抜ければ、そこから一段と上値余地が拡がって、より本格的な中期上昇トレンドが発生する可能性もある。
 その場合、もはや昨年6月高値=109.84円や110円処ですら「一つの通過点」ということになり、中期的には昨年3月24日につけたコロナ・ショック後の高値=111.71円が視野に入ってくることとなろう。兎にも角にも、今週は前記のレジスタンスラインを上抜けるかどうかに大いに注目しておきたい。

 一方のユーロ/ドルについては、前回更新分の本欄で「1.1900ドル処では一旦下げ渋る動きとなっておかしくない」と想定。実際、先週9日以降にドル/円が一旦調整含みとなったところから切り返す動きとなり、目下は1.2000ドル処を再び意識した展開となっている。先週行われたECB理事会では、事前に想定されていた以上に国債利回りの上昇に強く対処する姿勢を強調していたが、市場の反応は限られたものになった。
 やはり、今はドル主導の展開になっていると考えられ、その意味でもユーロ/ドルの行方は今週のFOMCの結果次第ということになりそうである。繰り返すも、今週はFOMCと日銀会合の結果によって相場が少々大きく増える可能性があるため、普段以上にポジション管理を厳しくしておきたい。              
(03月15日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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